『三人の名付親』(48)(1978.4.6.木曜洋画劇場)
今年3度目となった、友人が主催するCINEMA Chupki TABATA(シネマ・チュプキ・タバタ)での上映会に出席。今回は「ジョン・フォードのクリスマス」という粋なくくりで、『三人の名付親』(48)と『長い灰色の線』(55)を上映。時間の都合で前者のみを見させていただいた。
『三人の名付親』は、ハリー・ケリー主演でフォードが監督した『恵みの光』(19)の再映画化。この映画は亡くなったケリーに捧げられ、冒頭にはケリーらしき人物がシルエットで映される。ジョン・ウェインが『恵みの光』でケリーが演じた役を演じ、フォードはケリーの息子のジュニアに三人の一人を演じさせた(いい歌声を披露する)。ワード・ボンドやハンク・ワーデンといった“フォード一家”の脇役もいい味を出している。ここは音響設備がいいので、今回は3人が砂漠や岩場を歩く“音”がよく聞こえた。
ウェイン、ジュニアと共に三人の一人を演じたのが、この映画のほか、『逃亡者』(47)『アパッチ砦』(48)というフォード映画をはじめ、『007/ロシアより愛をこめて』(63)などで、国際派俳優としても活躍したメキシコ人のペドロ・アルメンダリス。
彼はウェインがジンギスカンを演じた『征服者』(55)でも共演しているが、この映画は、核実験が行われ、放射能に汚染されたユタ州の砂漠でロケされたため、ウェインやアルメンダリスをはじめ、関係者の多くがががんに侵されたという説がある(『ジョン・ウェインはなぜ死んだか』(広瀬隆)に詳しい)。アルメンダリスは病を悲観して拳銃自殺を遂げたが、息子のジュニアは、『荒野の七人/真昼の決闘』(72)の七人の一人のほか、B級映画を中心に、脇役として長く活躍した。