『チャーリーとチョコレート工場』(05)(2005.7.22.丸の内ピカデリー チョコレートの匂い付き完成披露試写会)
ウォンカという板チョコに入っているゴールデンチケットを引き当てた5人の子どもたちがウィリー・ウォンカ(ジョニー・デップ)が経営する謎のチョコレート工場に招待される。ガイド役はウィリー自身。そこで彼らが目にする奇想天外な出来事とは…というファンタジー。
原作ロアルド・ダール、監督ティム・バートン、主演ジョニー・デップということで、もっとブラックなものを想像していた。確かに陽気ではないが、思いのほか楽しめた。なによりCGを使った工場内の異様な風景と、そこで働くウンパ・ルンパ(ディープ・ロイ)という同じ顔をした小人の集団の歌や踊りが愉快で、いつしか自分もこの工場を見学している気になってくる。
また、ダニー・エルフマンのさまざまなジャンルを取り入れた音楽が素晴らしい。そして、これまでのティム・バートンの映画ではいちばん明るいのではないかと思わされながらも、相変わらずバートン流の趣味や、楽屋落ちも健在で、今回は、牙で人の血を吸うドラキュラ役で有名なクリストファー・リーに、歯医者(ウィリーのトラウマの原因となる父親)を演じさせているところがいかにも面白い。
さてこの話、実はかつて『夢のチョコレート工場』(71)のタイトルで映画化されており、その時ウィリーを演じたのはジーン・ワイルダー。彼もエキセントリックな役を得意にしていたから、こちらも面白いかもしれない。
『夢のチョコレート工場』
ちょっと気になったのでオリジナルの『夢のチョコレート工場』をDVDで見てみた。どちらかといえば、自分は圧倒的にクラシック映画派で、CGの使い過ぎにも懐疑的なのだが、今回はあらゆる意味でティム・バートン版の方が遥かに素晴らしいと感じた。
オリジナルはCGなど想像も出来なかった71年の作品だから、比べてしまうのは少々かわいそうなのだが…。というよりこちらはアンソニー・ニューリーとレスリー・ブリッカスによるミュージカルという色合いが濃くて、嫌でも時代差を感じてしまう。
とはいえ、劇中で地味に歌われる「陽気なキャンディ・マン」が、サミー・デイビスJR.の歌によって一人歩きの大ヒットを記録するという副産物を生んでいる。日本でも「ピンポンパン」で、石毛恭子さんが歌っていたことを懐かしく思い出した。