堂々とした明朗喜劇
松竹の「花嫁シリーズ」の一編で監督は番匠義彰。
東京の大学に通う長崎のカステラ屋の息子(津川雅彦)をめぐる騒動を描いたたわいもない話なのに、適材適所に配された俳優、奥行きのあるセット、長崎ロケなどが相まって、堂々とした風格すら感じさせる明朗喜劇(今で言うラブコメ)に仕上がっている。
若手カップルは津川と倍賞千恵子、ベテランは佐野周二と月丘夢路、伴淳三郎と高橋トヨ、脇のコメディリリーフとして大泉滉と桂小金治というキャスティング。
津川演じる主人公がコーラスグループに所属している設定(リードボーカルは小坂一也)なので、随所に歌の場面が挿入される。(吹き替えはボニー・ジャックス)。グループの十八番が、ライバル会社日活の小林旭が歌った「北帰行」というのも面白い。