むぎわら日記

日記兼用ブログです。
野山や街かどで見つけたもの、読書記録、模型のことなどを載せております。

『彗星夜襲隊』渡辺洋二(光人社NF文庫)

2022年11月24日 | 読書
副タイトルが、「特攻拒否の異色集団」。
日本美濃部少佐率いる芙蓉部隊のお話しです。
フィリピンで敗北し、米軍が沖縄に迫る中、日本軍は全軍特攻で米軍を迎え撃つべく準備を始めていました。
その中で、水上偵察機乗りの美濃部少佐は、特攻の代わりに夜襲をかけて米軍を迎え撃つべく、芙蓉部隊を結成します。
夜間戦闘機「月光」乗りと、零式水上偵察機乗りが集まって、機材を集めてみると、どこの部隊でも毛嫌いされていた艦上爆撃機「彗星」しかありませんでした。「彗星」はドイツのダイムラーベンツの液冷式エンジンをライセンス生産した熱田エンジンを搭載し、至る所に電動式の装置が組み込まれ、高性能を追求する構造のため、整備が難しく稼働率が3割程度しか無かったため、どこの部隊でも持て余していたのです。
それを熱田エンジンの整備に熟達している整備兵を集め、ベテランの水偵乗り、夜間戦闘機乗りを集め、訓練を行なって夜襲をかける部隊を編成しました。その稼働率は7割を超え、動けば高性能の「彗星」を駆り活躍したのです。
牧場に偽装し草地に金網をしき、牛を放し、飛行機を林に隠す偽装をした秘密基地、岩川飛行場を本拠地に戦争末期の絶望的な戦いを繰り広げたのです。
特攻機への迎撃を少なくするため、連日、占領された沖縄へ夜襲をかけながら、潜水艦を狩り、米軍の夜間戦闘機と戦ったのでした。
米軍が何百機の飛行機で押し寄せてくるのに対して、芙蓉部隊は一桁の飛行機で反撃するので焼け石に水の感はいなめませんが、絶望的な戦力差の前に、あるものでできる限りのことをする熱意に学ぶべきことが多かったと思います。
靖国神社に展示されている艦上爆撃機「彗星」↑
(液冷式エンジンを搭載した完全な彗星は世界でこれ1機のみ現存)



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