このプラモデルの箱を開ける者は、絶望するだろうと思われるほど、呪いのキットであるマケットのT-60です。
20年くらい前、ソ連やポーランド、ウクライナなど東欧諸国がプラモデル界に参入し、日本では人気がない珍しい車両を発売して、日本の1部の戦車ファンから歓迎された時期がありました。
しかし、それは、開けてはならないパンドラの箱だったのです。
日本の製品とは違い、部品の合いは悪いわ(2~3㎜の隙間は当たり前)、説明書に間違いが多いわ、間違いがなくてもよくわからないわ、とにかく、初めから自分で削りだして作った方が楽と言われるくらい手間がかかるものが多かったのです。
しかし、手がかかる子ほど可愛いというのもありまして、パパ世代には可愛がられ、あちこちで、完成品を見せ合い苦労自慢をするのが叔父様たちの楽しみでもありました。
が、このマケット社のT-60はそれに輪をかけた難物だったのです。
まず酷いと思ったのが 履帯です。この部品はマケット社のオリジナル。
これで作り気力がそがれました。
履帯の別売りは高価なメタル製しかなく、このキットに倍の値段の履帯を履かせるくらいなら作らない方がマシでしょう。
そして、他の部品も、プラスチックの質感が違うのです。
アエロプラストのキットのランナーが入っていましたが、二組のはずが一組だけ。砲塔と車体の基礎部分だけアエロプラストのキットから流用。
フェンダー、足回り、工具箱、履帯は、マケットのオリジナルの部品で、履帯並みにやる気がない作りです。
そして、転輪には、アランホビーのSU-76Mの足回りのパーツが入ってました。
つまり、3つのキットから部品をかき集めるようにひと箱に入れているのです。
バキュームフォームで作られたとみられる増加装甲の部品や、金網用のナイロンパーツなどもついていましたが使い物になりそうにありませんでした。
いや、これは、ちょっと、完成させるの無理っぽいと思っていたのですが、中古展で、怪しげな履帯パーツが300円で売られているのを発見。どこの国のものかわからず中身を見られないのが怖いですが、低価格なので思い切って購入。これがけっこう使えたので、やる気を起こして組み立てました。
転輪が厚すぎるので削ったり、けっこう手間がかかりましたが、なんとかここまで来ました。
実車もポンコツ戦車なので、ポンコツでもいいかなぁと思います。