貧しいアジアの障害者たち物乞いの実態を徹底的に密着取材した労作。
ポル・ポト政権の虐殺の傷痕が残るカンボジア
至る所に不発弾が残る村で暮すラオス
カンボジアからの難民が乞食化しているタイ
枯葉剤の後遺症か障害児が生まれてくるベトナム
ハンセン病者が住む森の中の村ミャンマー
仏教の業と向き合いながら生きるスリランカ
麻薬と呪術の組み合わせネパール
マフィアの赤ん坊狩りの犠牲者たちインド
など、各国に別々のテーマで切り込んでいます。
障害者になる理由は病気、薬害、不発弾、暴力など様々ですが、途上国では、福祉政策が不十分なこともあり、物乞いを生業として生きている人たちがいます。
そういう人たちを不幸だとか、可哀そうだとか言う目ではなく、ほんとうにどう感じているのか密着した取材が著者の真骨頂です。
他の著作もそうですが、彼らは彼らなりの楽しみがあり、生活のビジョンがあります。情報も遮断されていますが、とにかく、懸命に生きていることは確かです。酒を飲んでも、歌を歌っても陽気になり、目をつぶされ乞食を強いられている子供も、あそんでよと笑いながら袖をつかんできたりします。
そのままで良いとは思いませんが、かけ離れた生活をしている我々も彼らを理解する努力をすべきでしょう。
それとは別に、先進国に生まれることが、本当に幸福なことだとつくづく思ったりもします。