こんな題名の本を誰が読みたがるのだろう?
Amazonの評価を見ると165個もついているし、わたしが持っている文庫本は、3年間で12刷を数えているから、純文学としてはかなり売れている本となります。
内容は、主人公の刑務官の青年と、18歳になったばかりで殺人を犯し死刑判決を受けた少年の交流を中心に、心の揺れを描きます。
主人公の青年も、孤児であり、孤児院の仲間である青年の自殺や、恋人だった女の結婚宣言などに心が揺れます。気のいい囚人を手心を加えて仮釈放を促しますが、その囚人がすぐに強姦事件を起こし、常習犯だったことを知ります。
そのような複雑な状況を抱えながら、葛藤を感じる主人公ですが、中村作品の独特の絶望の中に熾火のように燃える生きるエネルギーが事態をほんの少し動かすのです。
梅雨時に読むのも良いかなと思える作品です。