三浦綾子の傑作『氷点』のその後を描く続編となります。
『氷点』では、冒頭の幼女殺人事件から、青函連絡船の遭難事故、陽子の自殺未遂まで大きな事件が続きましたが、続編では、そこまで大きな事件はおきません。
淡々としている分、テーマがしっかりしていて、読みごたえがありました。
そのテーマとは、人の罪を許すことです。
人間は原罪を背負っており、そのまま人を非難してしまう。しかし、大切なことは、人の罪を許すことなのです。
しかし、本当に許すことは、並大抵のことではありません。
また、愛とは、感情ではなく意志であるという言葉もしみました。
自分が無償の愛を与えようとする意志があることが大切であり、それもまた、難しいことなのです。
正しく生きることは、それ自体を正しいと思った瞬間、他は間違っていることになり、それもまた、傲慢なのです。
では、どうやって生きていくのか?
正解などありません。
ほんとうに正しいことなど無いのですから。宗教を信じている人は、神こそ真理なのでしょうが、それなしでは、むずかしいのでしょう。
まあ、わたしは正しくなくても良いので、それなりに生きていければ良いと思っています。
尊い小説でした。