ご宿泊のお客様、昨夜から何度も何度も、星空が見えるか雲が出ていないか気を揉んでいた。
朝、雲も多いが時より太陽が顔を出す、大勢の人達が祈るような眼差しで空を見上げる。
その時が来た。
しかし空は厚い雲に覆われ、日食メガネ無しでも太陽の場所は確認できる、少しずつ太陽の形が変わっていくのは判るが、夢に見た、あの日食の姿を捉えることは出来なかった。
厚い雲を通したぼんやりとした姿のまま日食は過ぎてしまった。
それにしても月の影でこんなにも暗くなるとは驚きだ。
多くのため息と、感動の歓声が島じゅうに響いたことだと思う。
今朝のラジオで今日は田中一村の誕生日と言っていた、彼が生きていたらこの瞬間をどのように描いたのだろうか。