多分、こんな経験は人生初めてだ。
今日も寒かったので、会社帰りに温かい物でも食べて帰ろう。そう思ったのが事件の始まりだった。
さーて、温かい物といってもな……と、考えながら自転車で走っていると「うどん」の看板が目に入った。
「うどん」の文字を見た途端に閃いた。「うどんと稲荷ずしのセットを食べたら、さぞや美味かろうなあ」と。
手動ドアを開く。店内には私以外に客は一人だけ。サラリーマン風の男がうどんをすすっていた。
男がすすっているのは釜揚げうどんだった。冷奴が小鉢として付いているのがいいじゃないか。
サラリーマン風の男はうどんを食べ終えれば「ふぅー」と溜息を吐いてから、首を左右に回して後、素早く勘定を済ませ店から出ていった。
店員が注文を取りに来る。私は釜揚げうどんと稲荷ずしを注文した。注文をすませばもう安心とばかり、店内を見回す。厨房の奥では店主らしき人がゴソゴソとやっている。
あっ。冷凍うどんを冷凍庫から出しているぞ!!
別に手打ちを食わせろとは言わないけど……冷凍うどんを堂々と使わないでください。早くも暗澹たる思いになる。
10分くらい待つ。すると店員が「お客さん、肉うどんでしたっけ?」と訊いてきた。まだ私の料理に手を付けていないんかい。
驚きを隠せない私。とはいえ、怒るのも大人気ないので「いや、釜あげうどんです。あと、稲荷ずし」と比較的明瞭に告げた。
それからまた10分くらい待って、釜あげうどんと稲荷ずしがやってきた。
この10分間にチンッという電子レンジの鳴る音が聞こえてきたけど、何が電子レンジで熱せられたというのか? 冷凍うどんは普通に鍋に投入されているみたいだし。
うどんは熱い湯に浸されており、それを掬って汁につけて食べるのが釜揚げうどんの醍醐味だ。おや、汁の量が少ないな。
一口分のうどんに汁に付けてから、啜る。
…………辛い。塩辛い。
あああああああ、わかった。これ、二倍か三倍に薄めて使う蕎麦つゆをストレートで使ってやがるっ!!!!
釜揚げうどんのお湯で汁を伸ばして泣く泣く食べる。なんか、辛い。からいじゃなくてつらい。
思わずトイレに駆け込んで、トイレの中からお店に電話して「おいっ!」と叫びたくなる。
いやいやいやっ。そんな陰鬱なる気持ちも、稲荷ずしを食えばニコニコですよ。どうして稲荷ずしを発明した人にノーベル平和賞をあげないんだっ!
甘くてしょっぱい油揚げと寿司飯のコンビは最強ですよ。ははは……。そんな風に稲荷ずしを口に入れてみたのですが。
熱い……。なんで稲荷ずしが熱いんだ? もしや!? まさか? さっきのチンッは稲荷ずしを温めたのか。なんで稲荷ずしを温める必要があるのだ。
本能的な危険を感じる。やばい……上下の歯が稲荷ずしを噛まない。無理やり稲荷ずしを噛む。
硬い……。飯が硬い。固く飯が炊かれているのでなく、米粒が乾いて硬い。
何より驚いたのが、これは寿司飯じゃない。普通の飯を稲荷揚げで包んだだけのものだ。そりゃもう稲荷ずしじゃあないだろう。
推測するぞ。前日に、炊飯器の底にへばりついている余った飯を稲荷揚げに詰め、それを冷蔵庫か冷凍庫で保管してやがったな……?
稲荷ずしを注文して残したのは、生まれて初めての経験でした。怒りを通り越して、泣けてきた。もう一刻も早くお家に帰りたい。
一生懸命はたらいた帰り道で、どうしてこんな目に合わなければいけないのだろう。
とりあえずうどんを全部すする。食事というよりは、厄介なものを片付けるという作業になる。冷奴も事ここに至っては作業終了までの障害物にしかならない。
うどんと冷奴を全部食べ終えた私。ようやく食べ終えたことで「ふぅー」と溜息を出してから、首を左右に回す。ああ、ひょっとしたらさっきのサラリーマンも……?
帰りに寄ったコンビニで買った稲荷ずし。とても美味しかったです!!
今日も寒かったので、会社帰りに温かい物でも食べて帰ろう。そう思ったのが事件の始まりだった。
さーて、温かい物といってもな……と、考えながら自転車で走っていると「うどん」の看板が目に入った。
「うどん」の文字を見た途端に閃いた。「うどんと稲荷ずしのセットを食べたら、さぞや美味かろうなあ」と。
手動ドアを開く。店内には私以外に客は一人だけ。サラリーマン風の男がうどんをすすっていた。
男がすすっているのは釜揚げうどんだった。冷奴が小鉢として付いているのがいいじゃないか。
サラリーマン風の男はうどんを食べ終えれば「ふぅー」と溜息を吐いてから、首を左右に回して後、素早く勘定を済ませ店から出ていった。
店員が注文を取りに来る。私は釜揚げうどんと稲荷ずしを注文した。注文をすませばもう安心とばかり、店内を見回す。厨房の奥では店主らしき人がゴソゴソとやっている。
あっ。冷凍うどんを冷凍庫から出しているぞ!!
別に手打ちを食わせろとは言わないけど……冷凍うどんを堂々と使わないでください。早くも暗澹たる思いになる。
10分くらい待つ。すると店員が「お客さん、肉うどんでしたっけ?」と訊いてきた。まだ私の料理に手を付けていないんかい。
驚きを隠せない私。とはいえ、怒るのも大人気ないので「いや、釜あげうどんです。あと、稲荷ずし」と比較的明瞭に告げた。
それからまた10分くらい待って、釜あげうどんと稲荷ずしがやってきた。
この10分間にチンッという電子レンジの鳴る音が聞こえてきたけど、何が電子レンジで熱せられたというのか? 冷凍うどんは普通に鍋に投入されているみたいだし。
うどんは熱い湯に浸されており、それを掬って汁につけて食べるのが釜揚げうどんの醍醐味だ。おや、汁の量が少ないな。
一口分のうどんに汁に付けてから、啜る。
…………辛い。塩辛い。
あああああああ、わかった。これ、二倍か三倍に薄めて使う蕎麦つゆをストレートで使ってやがるっ!!!!
釜揚げうどんのお湯で汁を伸ばして泣く泣く食べる。なんか、辛い。からいじゃなくてつらい。
思わずトイレに駆け込んで、トイレの中からお店に電話して「おいっ!」と叫びたくなる。
いやいやいやっ。そんな陰鬱なる気持ちも、稲荷ずしを食えばニコニコですよ。どうして稲荷ずしを発明した人にノーベル平和賞をあげないんだっ!
甘くてしょっぱい油揚げと寿司飯のコンビは最強ですよ。ははは……。そんな風に稲荷ずしを口に入れてみたのですが。
熱い……。なんで稲荷ずしが熱いんだ? もしや!? まさか? さっきのチンッは稲荷ずしを温めたのか。なんで稲荷ずしを温める必要があるのだ。
本能的な危険を感じる。やばい……上下の歯が稲荷ずしを噛まない。無理やり稲荷ずしを噛む。
硬い……。飯が硬い。固く飯が炊かれているのでなく、米粒が乾いて硬い。
何より驚いたのが、これは寿司飯じゃない。普通の飯を稲荷揚げで包んだだけのものだ。そりゃもう稲荷ずしじゃあないだろう。
推測するぞ。前日に、炊飯器の底にへばりついている余った飯を稲荷揚げに詰め、それを冷蔵庫か冷凍庫で保管してやがったな……?
稲荷ずしを注文して残したのは、生まれて初めての経験でした。怒りを通り越して、泣けてきた。もう一刻も早くお家に帰りたい。
一生懸命はたらいた帰り道で、どうしてこんな目に合わなければいけないのだろう。
とりあえずうどんを全部すする。食事というよりは、厄介なものを片付けるという作業になる。冷奴も事ここに至っては作業終了までの障害物にしかならない。
うどんと冷奴を全部食べ終えた私。ようやく食べ終えたことで「ふぅー」と溜息を出してから、首を左右に回す。ああ、ひょっとしたらさっきのサラリーマンも……?
帰りに寄ったコンビニで買った稲荷ずし。とても美味しかったです!!