わんわんらっぱー

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森林火災は放射性物質を再拡散する。ゴミ焼却炉も放射能微粒子を放出する。

2017-05-03 08:43:18 | 放射能
「帰還困難区域」になっている福島県浪江町井手の十万山(448メートル)で起きた山林火災は2日も鎮火せず、発生から丸3日たっても延焼している。 350人体制で消防にあたっている。

 森林火災によって、放射能を含んだ微粒子(PM)大量発生し、風にのって飛んでしまう。環境中の放射能濃度も上昇する。それによって甚大な健康被害が発生する。日常的な微粒子の排出源は焼却炉である。ブログ「ずくなしの冷水」ではゴミ焼却場を千葉1区の人口動態悪化要因として挙げている。
http://inventsolitude.sblo.jp/archives/20170401-1.html

 針葉樹林を手入れしないと、密生とそれによって発生する枯れ木によって火災が発生しやすくなる。草地では火の手が高く上がらないが、森林地域では火の手が高く上がり延焼しやすくなる。監視と消化体制の強化が望まれる。
 
 チェルノブイリ付近では1992年に大規模火災が発生し、12000ヘクタールが消失した。
(1平方キロメートル=1ヘクタール)
監視塔と偵察機を使った防火監視体制を設置して、1995年以後消失面積は減少を続けた。2005年には36ヘクタールとなった。
とはいえ、2002年、2008年、2015年4月、6月にも森林火災は発生している。


20121107「がれき焼却で、なにがおきるのか」講師 山本節子

山本節子氏によると、森林火災によって幾度も放射能拡散が起きる。
ゴミ焼却場によっても放射能微粒子が放出される。

どうすれば良いのか?
○生ゴミは畑に埋める。
○特に枯れ木や枯れ草などは燃やさないで、土中に埋める。
○無人偵察機やドローンで森林火災を監視する。
○衛星によって森林火災を監視する。
○監視塔を設置して、森林火災を監視する。
○常時モニタリングシステムを設置して、森林火災によって放出される放射線量増加を観測する。
○監視カメラを増強して、森林火災を監視する。
○消防ヘリコプターを増強する。






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英国の科学誌「ニュー・サイエンティスト」2015/2/9付の記事転載
http://blog.goo.ne.jp/flyhigh_2012/e/6b2b203b921975a1249b0b710ece8849
山火事が再び掻きたてるチェルノブイリの放射能

世界最悪の核事故の放射能は、とにかく消えさらない。ウクライナとベラルーシのチェルノブイリの深い森で山火事が発生すれば、土壌の上層部に閉じこめられた放射性物質が放出され、再び放射能の雲がヨーロッパに拡散するかもしれない。

その地の森林火災はすでに、その放射性物質をヨーロッパに再拡散してきた。だが、気候変動、政治的不安定――および枯れ葉に対する放射能の特異な作用――によって、この状況をさらに悪化する条件が整っている。
チェルノブイリ原発の原子炉が1986年に爆発し、ウクライナおよび隣接するベラルーシの最もひどく汚染された4800平方キロメートルの地域の人びとは避難を余儀なくされた。この「立入禁止区域」は、野生生物の安息地になり、深い寒帯林に覆われることになった。

ノルウェー大気研究所(Norwegian Institute for Air Research)のニコラオス・エヴァンゲリオ(Nikolaos Evangeliou )らは、同地域の森林火災の影響を分析し、その将来の頻度と規模を計算した。そのために研究チームは、2002年、2008年の火災実態を示す衛星画像、およびその地域に堆積する放射性セシウム137の計測値を、大気運動と火災のモデルに入力した。

彼らは、チェルノブイリ事故によって8京5000兆ベクレルの放射性セシウムが放出され、立入禁止区域の土壌上層部にいまだ2000兆ないし8000兆ベクレルが潜在していると推計した。別の生態系であれば、侵食や植生の除去によって、この放射能値は徐々に落ちていくだろう。だが、これら放置された森林では、「樹木が放射性イオンを取り込み、枯れ葉がそれを土壌に返す」とエヴァンゲリオはいう。


放射性の煙

研究チームは、3度の火災によって、セシウムの2ないし8パーセント、約500兆ベクレルが煙とともに放出されたと計算する。これが東ヨーロッパに拡散し、南方遠くトルコで、また西方遠くイタリアとスカンジナビアで検出された。

英国政府の放射線リスク委員会の元委員長であり、チェルノブイリの健康への影響を研究したイアン·フェアリー(Ian Fairlie)は、「このシミュレーションは、おそらく潜在的なリスクを過小評価している」という。それは、研究チームが想定したセシウム137の半減期にもとづいて推測値が算出されているためであり、それより長いと信じている研究者もいると彼はいう。

研究チームが計算した放出量にもとづけば、近隣にあるウクライナの首都、キエフの住民は、放射線量を平均して10マイクロシーベルト――年間許容線量の1パーセント――を浴びたことになる。論文の共著者であり、コロンビア市サウスカロライナ大学のティム・ムソー(Tim Mousseau)は、「この被曝量は、とても小さい。だが、これらの火災は、汚染物質がどこに行くかを知らせる警告にはなります。もっと大規模な火災が発生すれば、人口集中地域にもっと重大な結果をもたらすでしょう」と言う。

また、平均線量が問題なのではない。火災は、セシウムだけでなく、放射性のストロンチウム、プルトニウム、アメリシウムを不均等に撒き散らすし、たとえばマッシュルームがセシウムを取りこむように、食品のなかには、こうした重金属類を濃縮させるものがあるので、ずっと多くの放射線量被曝を被る人たちがいる。「摂食による内部線量が重大になりえます」と、ムソーはいう。結果として被る癌を、被曝量の少ない大勢の人々中から特定するのは困難である。「しかし、本人にとって、その癌は非常に重大なことになるでしょう」。

森林火災の発生頻度も、やはり増大しそうである。気候変動に関する政府間パネルによれば、当該の地域は乾燥化に向かうはずである。研究チームは、旱魃のために、森林火災が被災地域と規模の両面で悪化していることを明らかにしており、この傾向がなお悪くなると予測されている。

これは、森林管理の欠如など、一連の要因のためなのかもしれない。たいがいの森林は、枯れ木の除去、道路整備や防火帯伐採によって管理されているが、立入禁止区域の森林は管理されていない。しかも、火災の元凶である枯れ死した植生の堆積物が1986年以来で倍になる率で蓄積している、と研究チームはいう。

殺虫効果?

これは部分的には、放射線そのものが枯れ葉の腐食を妨げるためであり、おそらく放射線が主要な虫類や微生物を殺すせいだろう。「非汚染区域の枯れ葉を運び込んでみると、半分だけの速度で腐食することがわかった」と、エヴァンゲリオはいう。

モデルによれば、森林火災は2023年から2036年にかけて最盛期になる。2060年まで森林火災が発生しつづけるだろうが、そのときまでに放射性降下物の多くは減衰しているだろう。

情けないことだが、いざ火災が発生すると、この地域の消防隊は、1000ヘクタールあたりの隊員数と装備の規模がウクライナ全国の7分の1の貧弱さである――目下の紛争を考えれば、状況が改善するとは思えない。国連環境計画が火災監視ビデオ装置を設置しているが、道路封鎖のため、森林の多くは進入不能であるか、到達時間が遅くなる。「現地はまるでジャングルである」と、エヴァンゲリオはいう。

世界保健機関ヨーロッパ事務局放射線防護部の元部長であり、クオピオ市は東フィンランド大学のキース・バヴァーストック(Keith Baverstock)は、「これは明白に重要な問題であり、かなり広大な森林地が汚染されているフクシマにも当てはまることです。これには非常に正統な論点があります。森林管理の欠如、放射線に被曝した植生の明らかに緩慢な腐食、渇水をもたらす気候変動、森林地の拡大、これらすべてが森林火災のリスク増大に寄与し、したがって半減期の長い放射性核種のさらなる拡散を促します」という。

最近の火災で再拡散された放射能の実際の量は、1986年にヨーロッパに堆積した量の約10分の1であり、その健康に対する影響は、いまだ疫学者たちの論争の対象である。だが、半減期の長い放射線源は存続し、蓄積するので、いかなる線量も凶報である、とムソーはいう。「ますます大きく蓄積する情報によれば、それ以下では影響がなくなる閾値は存在しないという考え方が支持されています」。







チェルノブイリ原発事故20年、日本の消防は何を学んだか?―もし、チェルノブイリ原発消防隊が再燃火災を消火しておれば! (近代消防ブックレット)
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