はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

神様ゲーム

2011-07-12 16:40:04 | 小説
神様ゲーム (ミステリーランド)
クリエーター情報なし
講談社


「神様ゲーム」麻耶雄嵩

 かつて子供だったあなたと少年少女のための……といううたい文句の作品を、麻耶雄嵩に書かせるのはいかがなものか……。
 まず最初にそう思いながら読んで、読後はさらにその思いを強くした。子供向けの平易な文章に、麻耶雄嵩独特の、あのいやーな雰囲気、驚異のどんでん返し、最後の最後まで悩ませ考えさせながら「そう来るかー!?」とひっくり返るような変化球のオチがついてきて、最高だった。
 いやあ、やっぱり好きだ。麻耶雄嵩。「夏と冬の奏鳴曲」以来、愛してやまない麻耶節が、ミステリーランドという舞台を踏襲しながらもきっちり帰ってきた。

 大好きな両親と、浜田探偵団のみんな、親友の英樹に囲まれて楽しく暮らしていた小学生の芳雄の前に、突如、神様が現れた。正確には、自分を神様だと自称する同級生・鈴木君が現れた。
 驚異の上から目線で世の中を淡々と語る鈴木君は、芳雄たちが探している連続猫殺し事件の犯人をぴたりと当てた。それ以外にも、「どうにもこいつは本物だぞ」と信じざるをえないような発言を連発する鈴木君に、やがて芳雄は全幅の信頼を置くようになる。だが、それは、もうひとつの悲劇の始まりでもあって……。
 何者かに殺されてしまった○○の仇を討とうと走り回る芳雄が、最後に頼ったのは、やはり鈴木君。その万能の能力で、人に「天誅」すら与えることのできる鈴木君は、
「ぼくが天誅を下してあげるよ」
 例の淡々とした口調でそう語り……。

 挿絵の不気味さも相まって、子供が読んだらトラウマ必死。麻耶ファンなら読むべき。そうでない人でも、一度経験しておくのは悪くないと思う。親切設計とは程遠い、突き放すどんでん返しミステリーの神髄は、ここにある。