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蔵王温泉と蔵王駅

2017-09-10 23:57:55 | 旅行記
東北小回り旅。山形市へ到着した続き。
山形市を訪れた理由は大したものではない。仙台方面へのルートの1つの途中であり、とある駅弁を食べたかった(次の記事にて)のと、どこかの温泉に安く泊まれたらといったこと。
奥羽本線沿線には、いくつも温泉地があるけれど、若干値段がお高い。探したら、蔵王温泉に格安の宿が!

蔵王は宮城側も山形側も行ったことがなく、山形蔵王といえば、スキーや樹氷、ロープウェイがある程度の認識。(御釜は宮城側なんだね)
ロープウェイのふもと側のほうに、蔵王温泉(所在地は山形市内)があって、そこに泊まった人がいたのを思い出し、聞いたらいい温泉とのこと。山形市街からバスでけっこう時間がかかるとも。

調べたら、山形駅から山交バスで40分程度、運賃1000円。それなら、いいかも。
秋田駅から太平山の仁別リゾート公園へ行くようなものかな(37分、700円)。

山形駅-蔵王温泉バスターミナル間のバスは、1時間に1本運行されており、車両はリクライニングシートの観光バスタイプ。オンシーズンとなる冬には、続行便が出て5台くらいが連なることもあるらしい。
北海道の定山渓温泉では、1時間以上、路線バスタイプの車両に揺られて参ったけれど、これは快適そう。

蔵王温泉行きは山形駅のメインである東口のバスのりばの1番が始発。東口を出て左側。
案内所があり、そこの窓口または券売機で乗車券を購入するように案内されているが、車内で現金支払い(二千円札以上の紙幣の両替はできないはず)や路線バス用回数券での支払いも可。
車両は先代三菱エアロバス(? エアロクイーン?)。乗客は10名ほどで、蔵王温泉で宿泊するであろう人が多い。

車両がいいものの一般路線バス扱いだからこまめにバス停があり、途中まで他路線と同ルート。だから、途中から何人か地元の人が乗りこんで、降りていった。
途中「鉄砲町」では、暴力団壊滅の広告放送。秋田中央交通でも流れていて、相談電話番号「893-184」に「やくざいやよ」と語呂合わせもある。山形では、電話番号が「89-3040」と違い、そのまま「89の3040」と言っていた。

市街地を抜け、国道13号線の旧道であろう県道267号線に入り、少し標高が高い郊外に。
県道をそれると、時につづら折りの道になり、ぐんぐん山を登る。この道では立ち客がいたら厳しそうだし、シートベルトを締めるようアナウンスもあった、だから観光タイプのバスを使っているのかもしれない。
極端に険しい道ではなく、景色が抜群でもなく、沿道にわりと家もあった。

大きな鳥居をくぐったところに、山形市立蔵王第二小学校があった。1970年代築と思われる、意外に大きな校舎。市街地にあってもおかしくない規模。
調べたら、現在の児童数は82名。昔は多かったのだろう。斎藤茂吉の母校だそう。

終点の蔵王温泉バスターミナルは、道路と平行に長い建物。バスは建物裏に回りこんで、プラットホーム式の乗降場に停車。建物との間にドアがあり、発車時は5分前に開く。
バスターミナル内から。「蔵王温泉駅」との表示
建物裏のホームには「1」と表示(貸切バス1号車のシールを転用)があった。
じゃあ、「2」は? と思ったら、建物をはさんで反対の道路側のバスターミナルの玄関に見えたところが実は乗り場で、曜日・季節限定運行の特急バスはそちら(間に歩道があるけど、そこに入るの?)のようだ。
奥の屋根下が1番、手前が2番
バスターミナルの建物内は、窓口と券売機のほか、ベンチと自販機、トイレ(現在改修中で外に仮設)がある程度で、がらんとしている。冬は人でいっぱいになるのだろう。

このバスターミナル、外壁には「山交バス バスターミナル」、内部には「蔵王温泉駅(蔵は旧字)」、さらにドアには「山交バス株式会社 蔵王バスターミナル」とあり、表記揺れが激しい。
公式ホームページや各種サイトでは「蔵王温泉バスターミナル」となっているので、当ブログでもそれに従いました。


標高900メートル弱の蔵王温泉は、山形市街に比べると、さすがにいくぶん涼しい。
バスターミナルは温泉街の入口。基本的にどこの宿に泊まっても、ターミナルで降りてぶらぶら歩けばいいはず。ペンションなど宿によっては歩いて行くには大変なものもありそう。【19日補足・徒歩圏内も含めて、宿によってはバスターミナルまでの送迎をしてくれるところもある】
温泉街には飲食店もそれなりにあり、コンビニはファミリーマートが1つ。【2022年1月18日追記・ファミリーマート山形蔵王温泉店は、この直後2017年10月末で閉店(後に建物解体)し、12月7日に向かいにローソン山形蔵王温泉店がオープンしたとのこと。オーナーが同じで、ブランド変更・移転なのか?】【2022年9月30日補足・電話番号はファミマ時代もローソン化後も変わっていないようだ。】

蔵王温泉のお湯はさすが。硫黄(硫化水素)の香りがし、青白く濁り、つるっとして、いかにも温泉。
酸性度が高いのも特徴。以前、同じく強酸性の北海道の川湯温泉に入った時は、ヒリヒリと刺激があったものだけど、蔵王温泉ではそのようなことはなかった。
湯煙漂う蔵王温泉街

水車と酢川温泉神社入口
「酢川温泉神社」という鳥居をくぐって入ってみると、先はとても長い階段(途中に横から入れる道路があったけど)で、疲れた。


翌朝も、バスで山形市街へ。
9時40分発のバスは、山形市の北にある寒河江(さがえ)市の寒河江営業所の先代いすゞガーラ。客数は行きと同じくらい。発車時には、ホームでジリジリとベルが鳴った。

さて、このまま山形駅まで乗り通すのもつまらないし、少しでも安く上げたい。
だけど、調べた限り、路線バス以外に蔵王温泉と山形市街地を結ぶ交通手段はない。

地図を見ると、バスが山の下へ下りてから通る県道267号線は、国道13号線、さらに奥羽本線と並走している。JR奥羽本線にはその名も「蔵王」という駅がある。【11日補足・東北新幹線「白石蔵王」駅とはまったく別。山の反対側です。】
蔵王駅は、蔵王温泉や蔵王の山、つまり観光地としての蔵王へのアクセスの役割はない。山の下一帯も、「蔵王」という地名・エリア名であり、その地域の駅としての存在。

とは言うけれど、山の下では他路線と同ルートの一般路線バスである以上、バス停は多いはず。そのどれかで降りれば、歩いて蔵王駅まで行くことが可能ではないかと予想していた。一般路線バスだから、乗る距離が短いほど、運賃は安くなる。
ただし、バスは毎時1本、蔵王駅の列車は不規則に毎時1本程度なので、乗り継ぎのタイミングは難しい。
行きは、そんな接続のほか、初めて乗るので不安だったことと、帰りの下見を兼ねて、山形駅から乗った次第。

Googleマップではバス停名称が分からないから、マピオンで調べると「成沢」というバス停がいちばん蔵王駅に近そう。ほぼ真東へ進めばよく、歩く距離は1.5キロ。
行きのバスの車窓から確認しても、大丈夫そうな雰囲気。駅方向に向かって下り坂で歩きやすそう。成沢は「なりさわ」と読み、隣(温泉寄り)の「成沢南」では少し遠くなる。
蔵王温泉9時40分発のバスは、成沢は10時02分(山形駅前は10時25分着)。蔵王駅では、下り普通列車が10時23分発(山形10時28分着)。1.5キロを20分なら、歩く自信がある。
蔵王温泉-成沢のバス運賃は810円。蔵王-山形のJRは青春18きっぷを使うから、190円節約。ちなみに、蔵王-山形の正規運賃は190円なので、その場合は合計1000円でバスと同額。

天気が雨だったら歩きたくないけれど、当日朝の蔵王温泉はくもりで安心した。ところが、バスが山を下ると…
昨日は見えた市街地が霞む。中央左に第二小前の鳥居
下界では雨が降っていた!
バス乗車券も買ってしまっているし、予定通り決行。

成沢に3分ほど遅れて到着。他に降りる人はなし。
雨の中、走り去るバス
傘を広げて蔵王駅へ急ぎたいところだけど、バス停のポールに見覚えが。
 成沢バス停
ダルマ型で、台座が金属枠で囲われ、細身でツルツルした支柱、大きめの表示板とその支柱との独特な接続方法。
秋田中央交通で近年新設されるポールで、当ブログで「頭でっかちタイプ」と呼んでいるものと同型だ!
(再掲)秋田中央交通の頭でっかちタイプ
山交バスのものは、台座の支柱がささっていない2つの穴の処理や時刻表枠の留め方は秋田とは異なるし、デザインのせいかさほど頭でっかちでもなさそうだけど、同一としていいだろう。
と、時間を使ってしまう。


バスが来た方向へ戻れば、すぐに信号のある丁字路交差点。そこを右折すれば、右に消防署。
やがて国道13号線の大きな交差点。そこを横断すれば(地上に横断歩道あり)県道170号線。この交差点までの間で、左側(南側)の歩道に横断が必要。
さらに直進すると、自動車教習所があり、ちょっと大きな須川を渡る橋。
この辺りで写真を撮りたかったものの、風と雨が強くてできず。
橋の先で、県道は右へカーブし、三叉路のような形状の交差点。旧道との分岐点だろうか。
こんな交差点形状。車は13号線側から直進できなさそう
ここで直進し、狭い道に入る。
右にスーパー「ヤマザワ」、信号機付き交差点を過ぎれば、先の突き当たりに蔵王駅!
ついに到着
古い建物をリニューアルしたと思われる駅舎。全体的な雰囲気は秋田市の土崎駅、新屋駅なんかと似ている。

蔵王駅は駅員が配置され、駅業務は子会社「JR東日本東北総合サービス」に委託されている。かつては貨物列車も発着していたらしく、駅構内は比較的広く、駅舎とホームに少し距離があった。この辺りは秋田市の羽後牛島駅に似ている。
なお、Suicaは使用できません。【11日補足・繰り返しますが東北新幹線「白石蔵王」駅とはまったく別。山の反対側です。】

駅をじっくり見たいところだけど、(バスの遅れと、雨風と、頭でっかちバス停の発見と、余裕のない計画のせいで)思ったより時間がかかり、もう列車発車3分前。
18きっぷに日付を入れてもらう必要があったが、駅員は事務所奥にいて、こちらを見て「そのままどうぞ」といった感じなので、そのまま入場。小走り気味に橋を渡ってホームへ下りてひと息つくと、719系5000番台4両編成が入線してきた。いっしょに乗りこんだのは3~4人。車内はそこそこ先客がいたものの、なんとか後ろ向きの2人掛け席にありつく。

ということで、成沢バス停→蔵王駅15分はギリギリ。
国道横断で信号待ちも見ておく必要があるし、蔵王→成沢では上り坂なのでさらに時間がかかりそう。実行するのなら、20分強は時間を見ておけば安心でしょう。でなければ、もっと時間を取って駅前のヤマザワ、あるいは国道沿いなどのお店で時間をつぶすなど。


雨で濡れた服と汗で濡れた体が乾かないまま、山形へ到着。きっぷに日付を入れてもらっていったん外へ。名残惜しいけれど次の仙山線で仙台へ向かうことにした。
今回はまったく見物できなかった山形市街地はほんとにまたいつか。蔵王温泉へはぜひとも再び訪れたい。

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2 コメント

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使い勝手が悪い駅 (FMEN)
2017-09-11 19:13:59
日本のあっちらこっちらにある使い勝手が悪い駅にも思えます。
秋田でいうなら四ツ小屋とか。
山交が福島の飯坂線みたいな蔵王線なんかを作っていたらどうだったのか。
白石蔵王よりも空気的な感じもあります。

蔵王っていえば7月場所で解説をしていた親方がザオウニシキという四股名だったんですが、漢字では蔵王でなく、蔵「玉」となっていて驚き。
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蔵王高速電鉄 (taic02)
2017-09-11 23:50:38
地元のための駅に徹しているということなんでしょう。遠くない範囲に、東北文教大学と東海大山形高校があって、通学にも使われているようです。
四ツ小屋駅はできた当時は、御所野なんて何もなかったでしょうから仕方ない面もあるものの、もし線路と駅の場所が違っていたら、また違う街ができていたでしょうね。

蔵王温泉へは、終戦直後に「蔵王高速電鉄」なる私鉄を建設する計画があって車両の発注まで行われたものの、頓挫してしまったらしいです。標高差が大丈夫なのか疑問ですが…

蔵玉錦は、画数で験を担いだようですね。
最近の話題としては、山の「蔵王山」の読みを「~さん」か「~ざん」かで、山形と宮城でモメているというか、こだわり方に温度差が生じているそうです。
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