放送では、言ってはいけないことがある。差別用語など明らかにまずいものもあれば、スポンサーへの配慮など視聴者としてはそんなに気を使わなくてもいいのにと感じるものまで、さまざま。
大したことじゃないけれど、ローカル番組で「えっ?! ここでそんなことまで言うんだ!」と驚いた発言が2つあった。
秋田市などで加入・視聴できる秋田ケーブルテレビ(CNA)のウリの1つが、秋田県には系列局がなく視聴できないTBS系のテレビを視聴できること。有料になってしまうけど。
CNAでは、開局当初はテレビユー山形を区域外再送信(区域外再放送)していたが、後に技術的な問題(季節よって受信しづらくなる)からIBC岩手放送に替えている。
加入者としては、TBSの全国ネット番組が見られることがいちばん大事だけど、他県のローカル番組・ローカルニュースが見られることも副次的な楽しみ。
つまらないと思う人もいるかもしれないけれど、見てみればなかなか興味深い。花巻のマルカンデパートの食堂の廃止から復活の件とか。
隣の県ならば、知人がいるとか行ったことがあるとか何らかのゆかりはあるものだし、秋田と同じ課題を抱えていたり(そしてその対応が違う)とか、無関係の話でもないこともある。
IBCで土曜朝に放送しているローカル情報版組が「じゃじゃじゃTV(ティーヴィー)」。TBSでは「王様のブランチ」を、秋田朝日放送では「サタナビっ!」をやっている時間帯。
サタナビっ!があまりおもしろくない時や、サタナビっ!より放送終了が30分遅いので気が向いた時など、たまに見る。
すると、お便りコーナーやプレゼント当選者に、「秋田市」在住の人がけっこういる。同じ考えのCNA加入者はそれなりにいるのだと思っていた。
区域外再送信には、再送信される側(IBC)の同意が必要ではあるが、本来の放送エリア(岩手県)の視聴者に対して、そのことは知らせないのが普通。別に教える必要がない。
だから、じゃじゃじゃTVの岩手県の視聴者にしてみれば「電波が届きそうにもない、山の向こうの秋田市の人がどうして見てるんだ?」と疑問を持っていそう。
IBCとしては、再送信を承諾した以上、視聴者を差別するわけにもいかないから秋田の人も読み上げたり当選させたりしているけれど、本心では「岩手県民向けの番組だから、岩手県民に当ててやりたい」と快く思っていないのかもしれないな、などと思うこともあった。
ところでこの番組では、司会者の後ろに透明な板が置かれ、生放送中に地元のプロ画家が、その日のお便りテーマを題材にした漫画仕立ての絵をかきあげる。水森亜土方式だけど、輪郭線があらかじめ書かれているなどの点は違う。
19日の放送では、「○○様限定」とかいうテーマで、最後のコマが「いわて県民様限定 じゃじゃじゃTV!!」。他県民が、岩手県外では見られないじゃじゃじゃTVをうらやましがっているイラスト。
でも秋田県民の一部(青森や宮城もそうか)も見られるんだよね…と思った瞬間、メイン司会の2人のIBCアナウンサーがこんな発言をした。
「このテレビは、秋田ケーブルテレビで秋田市方面でも放送されておりましてね」
「けっこう見てくださっているようですね」
「FAX・メールも時々いただきますんでね」
この後、大雨で秋田新幹線が止まっていることにも少し触れて、番組が終わった。
秋田で再送信されていることを、ケーブルテレビ局名も含めて言うとは驚いた。
区域外再送信のいち視聴者としては、別段取り立ててくれなくても、こっそりとのぞき見させてもらうような気持ちで見るので充分だと思う。本来は岩手県内向けの放送局・番組なんだし。【23日追記】CNAでの視聴者としては、IBCの局アナが、放送中もそのことを認識してくれていることが分かって、少々うれしいのも事実。
ただ、秋田市でも見られているということが岩手県内に広く知られれば、CMの価値が上がって、広告を出す企業が増えたり、秋田の人が岩手を訪れたりと、IBCや岩手にとって多少のメリットはあるのかも。
【22日補足】直接的には、イラストの「岩手県民限定の番組」という表現について、より正確さを期して補足しつつ、大雨被害にも配慮した発言ということかな。
【2023年3月25日追記】上記の発言をしたのは、菊池幸見アナウンサー。2023年3月25日の放送で番組担当を降板した。最後の回のエンディングで、岩手を元気にするという番組コンセプトを忘れないでなどひと通りのあいさつをした後、最後の最後の余った時間を埋めるかのように、「この番組ね、秋田の人も見てるんですよ。けっこうね。だから私、秋田に飲みに行った時、すんごいモテました。」と発言。最後でも秋田に気を遣ってくれた。
もう1つは、NHK秋田放送局の夕方の「ニュースこまち」。4月の中頃、桜が咲く直前の中継コーナー。
中盤の気象情報コーナーに続いて、秋田地方気象台のソメイヨシノ標本木前からの中継。
気象コーナーでは、村木気象予報士が「開花日は17日かな」との予想を示した。
中継では、若手アナウンサーがフリップ(※)を出し、ウェザーマップ、ウェザーニュース、日本気象協会の開花予想日を示した。フリップには社名も表示され、上から順に左記の順。
【22日補足】※昔は民放では「フリップ」、NHKと日テレ「笑点」では「パターン」と呼んでいた。今はNHKでもパターン【24日訂正】フリップかな?
NHKでは、特定の企業名や商品名は出さないことになっているが、最近のバラエティ番組などはだいぶ緩く(いい加減に)なっている。昔は歌番組の歌詞の「ポルシェ」「クレパス」なども言い換えさせられるほどだったのに。
【26日補足】2018年時点の全国放送のバラエティ番組では、「歩数計」について触れるナレーション(ベテラン局アナが担当)と字幕において、特定の企業の登録商標である「万歩計」としていた。「ゴールデンウィーク」とは絶対に言わず「大型連休」を使うほどの放送局なのに、どうして万歩計は使っていいのだろうか?
開花予報の場合、気象庁は発表しなくなっているし、大手3社を並べて表示することで公平だし、こういう使い方なら、別段問題ないというかむしろ適切(“出典の明記”として)だと思った。
でも、その中でアナウンサーが、
「村木さんの所属しているウェザーマップでは、17日と予想しています」
といった内容の発言。これはびっくり。
発言の通り、村木予報士はウェザーマップ社の人だけど、そのことを放送で言及することはこれまでなく、NHKの職員だと思っていた視聴者もいるだろうし、聞いても意味がわからない人もいただろう。
気象予報士制度や民間気象会社ができる前~黎明期では、NHKでも「日本気象協会 倉嶋 厚」といったテロップを出していたが、それ以降は、民放も含めて、気象予報士の所属会社やデータの提供会社は示さないことが圧倒的に多くなっている。ネットで調べれば(特に予報士の所属は、個人や会社の公式サイトに載っている)分かるけれど。タレントの所属事務所と同じことと思えば、そんなもんか。
また、NHK「バラエティー生活笑百科」では、吉本興業の「吉本」は言わない。「事務所」とか「新喜劇」といった表現をする。【9月22日追記】でも「米朝事務所」は言っていた。
したがって、「村木さんの所属しているウェザーマップ」発言は、NHK民放問わず、気象予報士の所属は放送上では示さないのが一般的なのを破ったことが意外で、それはいいとしても、NHKとしてこの場合に伝える必要がある企業名だったとは思えない。後者のほうは、NHKの存在意義とは相容れないように感じる。
このアナウンサー、後で怒られなかったかな…(NHK内部で問題視されなかったとすれば、それはそれで問題では?)
ちなみに、示された3社の開花予報日はそれぞれ別の日。
うち、ウェザーマップは17日。つまり直前のコーナーでの村木予報士の予想と同日。
僕は、村木予報士の「17日」は、村木さんが個人的にデータを解析して【22日追記・そして自ら桜を観察して】導き出した日付だと思っていた。つまり予報士個人とその所属する会社の予想日が、たまたま同じ日になったのだと認識したのだけど、もしかしたら、実は村木予報士の予想日は、所属会社のデータそのままなのかもしれない。
いずれにしても、秋田市では17日に開花して、予想は的中した。
大したことじゃないけれど、ローカル番組で「えっ?! ここでそんなことまで言うんだ!」と驚いた発言が2つあった。
秋田市などで加入・視聴できる秋田ケーブルテレビ(CNA)のウリの1つが、秋田県には系列局がなく視聴できないTBS系のテレビを視聴できること。有料になってしまうけど。
CNAでは、開局当初はテレビユー山形を区域外再送信(区域外再放送)していたが、後に技術的な問題(季節よって受信しづらくなる)からIBC岩手放送に替えている。
加入者としては、TBSの全国ネット番組が見られることがいちばん大事だけど、他県のローカル番組・ローカルニュースが見られることも副次的な楽しみ。
つまらないと思う人もいるかもしれないけれど、見てみればなかなか興味深い。花巻のマルカンデパートの食堂の廃止から復活の件とか。
隣の県ならば、知人がいるとか行ったことがあるとか何らかのゆかりはあるものだし、秋田と同じ課題を抱えていたり(そしてその対応が違う)とか、無関係の話でもないこともある。
IBCで土曜朝に放送しているローカル情報版組が「じゃじゃじゃTV(ティーヴィー)」。TBSでは「王様のブランチ」を、秋田朝日放送では「サタナビっ!」をやっている時間帯。
サタナビっ!があまりおもしろくない時や、サタナビっ!より放送終了が30分遅いので気が向いた時など、たまに見る。
すると、お便りコーナーやプレゼント当選者に、「秋田市」在住の人がけっこういる。同じ考えのCNA加入者はそれなりにいるのだと思っていた。
区域外再送信には、再送信される側(IBC)の同意が必要ではあるが、本来の放送エリア(岩手県)の視聴者に対して、そのことは知らせないのが普通。別に教える必要がない。
だから、じゃじゃじゃTVの岩手県の視聴者にしてみれば「電波が届きそうにもない、山の向こうの秋田市の人がどうして見てるんだ?」と疑問を持っていそう。
IBCとしては、再送信を承諾した以上、視聴者を差別するわけにもいかないから秋田の人も読み上げたり当選させたりしているけれど、本心では「岩手県民向けの番組だから、岩手県民に当ててやりたい」と快く思っていないのかもしれないな、などと思うこともあった。
ところでこの番組では、司会者の後ろに透明な板が置かれ、生放送中に地元のプロ画家が、その日のお便りテーマを題材にした漫画仕立ての絵をかきあげる。水森亜土方式だけど、輪郭線があらかじめ書かれているなどの点は違う。
19日の放送では、「○○様限定」とかいうテーマで、最後のコマが「いわて県民様限定 じゃじゃじゃTV!!」。他県民が、岩手県外では見られないじゃじゃじゃTVをうらやましがっているイラスト。
でも秋田県民の一部(青森や宮城もそうか)も見られるんだよね…と思った瞬間、メイン司会の2人のIBCアナウンサーがこんな発言をした。
「このテレビは、秋田ケーブルテレビで秋田市方面でも放送されておりましてね」
「けっこう見てくださっているようですね」
「FAX・メールも時々いただきますんでね」
この後、大雨で秋田新幹線が止まっていることにも少し触れて、番組が終わった。
秋田で再送信されていることを、ケーブルテレビ局名も含めて言うとは驚いた。
区域外再送信のいち視聴者としては、別段取り立ててくれなくても、こっそりとのぞき見させてもらうような気持ちで見るので充分だと思う。本来は岩手県内向けの放送局・番組なんだし。【23日追記】CNAでの視聴者としては、IBCの局アナが、放送中もそのことを認識してくれていることが分かって、少々うれしいのも事実。
ただ、秋田市でも見られているということが岩手県内に広く知られれば、CMの価値が上がって、広告を出す企業が増えたり、秋田の人が岩手を訪れたりと、IBCや岩手にとって多少のメリットはあるのかも。
【22日補足】直接的には、イラストの「岩手県民限定の番組」という表現について、より正確さを期して補足しつつ、大雨被害にも配慮した発言ということかな。
【2023年3月25日追記】上記の発言をしたのは、菊池幸見アナウンサー。2023年3月25日の放送で番組担当を降板した。最後の回のエンディングで、岩手を元気にするという番組コンセプトを忘れないでなどひと通りのあいさつをした後、最後の最後の余った時間を埋めるかのように、「この番組ね、秋田の人も見てるんですよ。けっこうね。だから私、秋田に飲みに行った時、すんごいモテました。」と発言。最後でも秋田に気を遣ってくれた。
もう1つは、NHK秋田放送局の夕方の「ニュースこまち」。4月の中頃、桜が咲く直前の中継コーナー。
中盤の気象情報コーナーに続いて、秋田地方気象台のソメイヨシノ標本木前からの中継。
気象コーナーでは、村木気象予報士が「開花日は17日かな」との予想を示した。
中継では、若手アナウンサーがフリップ(※)を出し、ウェザーマップ、ウェザーニュース、日本気象協会の開花予想日を示した。フリップには社名も表示され、上から順に左記の順。
【22日補足】※昔は民放では「フリップ」、NHKと日テレ「笑点」では「パターン」と呼んでいた。今はNHKでも
NHKでは、特定の企業名や商品名は出さないことになっているが、最近のバラエティ番組などはだいぶ緩く(いい加減に)なっている。昔は歌番組の歌詞の「ポルシェ」「クレパス」なども言い換えさせられるほどだったのに。
【26日補足】2018年時点の全国放送のバラエティ番組では、「歩数計」について触れるナレーション(ベテラン局アナが担当)と字幕において、特定の企業の登録商標である「万歩計」としていた。「ゴールデンウィーク」とは絶対に言わず「大型連休」を使うほどの放送局なのに、どうして万歩計は使っていいのだろうか?
開花予報の場合、気象庁は発表しなくなっているし、大手3社を並べて表示することで公平だし、こういう使い方なら、別段問題ないというかむしろ適切(“出典の明記”として)だと思った。
でも、その中でアナウンサーが、
「村木さんの所属しているウェザーマップでは、17日と予想しています」
といった内容の発言。これはびっくり。
発言の通り、村木予報士はウェザーマップ社の人だけど、そのことを放送で言及することはこれまでなく、NHKの職員だと思っていた視聴者もいるだろうし、聞いても意味がわからない人もいただろう。
気象予報士制度や民間気象会社ができる前~黎明期では、NHKでも「日本気象協会 倉嶋 厚」といったテロップを出していたが、それ以降は、民放も含めて、気象予報士の所属会社やデータの提供会社は示さないことが圧倒的に多くなっている。ネットで調べれば(特に予報士の所属は、個人や会社の公式サイトに載っている)分かるけれど。タレントの所属事務所と同じことと思えば、そんなもんか。
また、NHK「バラエティー生活笑百科」では、吉本興業の「吉本」は言わない。「事務所」とか「新喜劇」といった表現をする。【9月22日追記】でも「米朝事務所」は言っていた。
したがって、「村木さんの所属しているウェザーマップ」発言は、NHK民放問わず、気象予報士の所属は放送上では示さないのが一般的なのを破ったことが意外で、それはいいとしても、NHKとしてこの場合に伝える必要がある企業名だったとは思えない。後者のほうは、NHKの存在意義とは相容れないように感じる。
このアナウンサー、後で怒られなかったかな…(NHK内部で問題視されなかったとすれば、それはそれで問題では?)
ちなみに、示された3社の開花予報日はそれぞれ別の日。
うち、ウェザーマップは17日。つまり直前のコーナーでの村木予報士の予想と同日。
僕は、村木予報士の「17日」は、村木さんが個人的にデータを解析して【22日追記・そして自ら桜を観察して】導き出した日付だと思っていた。つまり予報士個人とその所属する会社の予想日が、たまたま同じ日になったのだと認識したのだけど、もしかしたら、実は村木予報士の予想日は、所属会社のデータそのままなのかもしれない。
いずれにしても、秋田市では17日に開花して、予想は的中した。
番組内でも県外聴取の事を触れられるようになりましたね。
去年の秋に上京したとき池袋のサンシャインビルを見ながらABSのごごマキを聴いて不思議な気分になりました。
私も県外ラジオ局にメールを出してROKラジオ沖縄やBSS山陰放送に読まれたりリクエストをかけて貰ったり。
この時に気を付けているのがプレゼントを募集していない番組に送ることです。
それでもラジオ沖縄はお皿のプレゼントを贈って下さいました。
ネットでは海外の国営ラジオ局の自国内番組もサイマル放送で聞こえますからメールをしたら珍しがられて読まれたこともあります。
それにしても国内向けだけにエリア制限するNHKラジオ局はちょっと閉鎖過ぎるなあと思います。
テレビとは対照的にも思えますが、IBCはラジオもやっているので、もしかしたらテレビでも岩手県外の人が見ていることに対して抵抗感がなく、秋田の人が見ても歓迎してくれているのかもしれません。
県外のプレゼント募集に応募してしまうのは、本来の視聴者・聴取者の当選機会を奪うことにもなりますから、放送局は地元の人たちにとっては、どうなんでしょうね。
地元限定の商品券などは当たっても困るし、宅配送料とか消費期限も問題になることもありそうです。