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秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

こころ旅

2013-10-29 23:22:05 | 秋田の地理
路線バス乗り継ぎ旅ともう1つよく見ている旅番組が、NHK BSプレミアムの「にっぽん縦断 こころ旅」。
2011年から年に2回、数か月ずつ集中的に取材・放送されている。放送時間は平日朝の短い「朝版」もあるが中途半端に終わるので、基本的には土日の昼に1時間ずつ放送される「週末版」を見るのがいい。(他に総集編や単発で他番組内での放送等もあり)
各シーズンごとにコースとなる都道府県が決まっていて、視聴者からその各地にある「こころの風景」(思い出に残る土地からの眺めなど)を募集。そこを俳優の火野正平が自転車で訪ねる番組。
番組のスタイルとしては、以前に放送されていた関口知宏の鉄道の旅や「街道てくてく旅」の流れをくむ。

僕は自転車旅行なんて縁がないし、火野正平なんて人も知らなかった。
最初はガラの悪いオッサンかと思っていた正平さんだったが、見ていくうちに生き物や風景の変化に敏感な、シャイなおじさんだと分かった。そんな正平さんと各地の風景や人々との出会いが描かれる番組。
じっくりと風景を見せてくれるのはNHK(の特にBS)らしいけれど、正平さんならではの(NHKらしからぬことも少なくない)道中の会話や出来事がユニークでおもしろい。
取り上げられる「こころの風景」は著名な景勝地であることもたまにあるが、さもない公園とか道とかそんなのが多い。公共交通は通っておらず、地元の人以外は訪れることはもちろん、知られることもなかったであろう風景を見ることができるのは、自転車ならでは。バス旅とは違うようでいて、実は核心では同じ所で僕の心に響く番組なのかもしれない。

現在は1つの県を1週間に渡って取り上げ、4か所を訪れる。(ボツになった手紙の一部が月曜朝に簡単に紹介される)ロケは放送の1週前に行っている模様。
前回の目的地付近で視聴者からの手紙を読み、自転車に乗って目的地へ向かい、到着(正平さん流の言い方で「とうちゃこ~」)して、再び同じ手紙を読む(これがちょっと無駄なような…)という流れ。
各回の自転車での移動距離は20キロ前後。そのため、最初に手紙を読む場所と自転車に乗り始める場所が違うことが多い。その間は、鉄道や路線バスに自転車を積んで移動(輪行)する。あくまで自転車移動がメインの番組なので、列車やバスで移動してもその車内のシーンはない回もある。自転車はスタッフ4人(連日同じ人でなく、ローテーションで日替わり【2014年7月27日追記】前からカメラ-音声-監督-自転車メカニックの順番のようだ)ほどが隊列を組んで、軽車両として交通法規に従って進む。【30日追記】正平さんがきつい上り坂ではあはあ言う(場合によっては監督さん=担当ディレクター? への文句も)のと、高所恐怖症のため高い橋を渡る時に怖がるのはお約束。【2016年6月5日追記】行程に同行する、各放送回別の監督とは別に、同行しない「週の監督」も存在するようだ。その週すべての場所(=手紙)の選択権があるようで、「今週の週の監督さんは坂のないコースのお手紙ばかり選んでくれた」などと感謝することがあった。


今2013年秋の旅は北海道から愛知県まで13都道県がルート。放送では10月第1週が青森県、第2週が秋田県だった。秋田は2011年春以来2度目、青森は3度目?
まず、青森。
月曜朝に紹介されたボツ分には、弘前の大仏公園や深浦の北金ヶ沢の大イチョウがあった。
放送されたのは、外ヶ浜町、中泊町、つがる市、鰺ヶ沢町。ルートの都合もあって西側に集中した。

3日目(トータル255日目)のつがる市では県立木造高等学校の屋上から見る、岩木山や津軽平野の光景を訪ねた。(雨で岩木山は見えず)
この日は、中泊町小泊の港から津軽中里駅まで、弘南バスで輪行した。自転車は別料金がかかる旨のテロップが出た(JRや他のバスでは出ないし、JRの場合はたたんで袋に入れれば料金はかからない)。
バスの路線は「五所川原~小泊線(金木・中里経由)」のようで、所要時間は1時間ちょっとだそう。途中、海越しの岩木山という珍しい光景が見えた。弘前から見るのとは違う頂点が1つの岩木山。正平さんは「岩木山は好きな山3つのうちの1つ」だそう。

乗ったバスは「52405-3」号車。五所川原営業所の中型バス・日野レインボー2で、昨年購入した車だ。
番号からすれば、弘南バスは昨年、日野製車両を少なくとも5台は購入したことになる。2台だか3台は弘前営業所所属のレインボー2だけど、弘前以外にも入れているのか。内装や座席配置は弘前市内のと同じようだ。【11月13日追記】さらにもう1台を確認。最低でも6台導入していた。
ここ10年以上、弘南バスの新車の路線用中型車は一貫して日野レインボーだけを購入しており、いすゞと製造部門統合後も継続している。中型の「新車」台数に限れば、秋田中央交通より多いだろう。※ソフトバンクLTEのCMに映ったバス(外観のみ)もこのタイプだった

バスの車内から自転車を出し入れするには、前のドアからでは一苦労。
前乗り・前降りの弘南バスだけど、この時は、運転士の配慮で中ドアを開けていた。前にしかドアがない(またはあっても封鎖されて使えない)古いバスでは大変だっただろうが、幸い、このバスは車いす対応で普段は使わないものの作動する中ドアがある。
そこで、弘南バスの「開かずの中ドア」が開くという、極めて珍しい光景が見られた。
日頃使ってない(点検では開けるだろうけど)だけに、「きゅるきゅるきゅる」と新しい車両とは思えない音がして開閉。開閉時のブザーは、ちゃんと普通の音で鳴った。


257日目~260日目の秋田県では、八郎潟町、男鹿市(入道崎)、横手市(山内の「筏の大杉」)、湯沢市(院内の湯ノ沢温泉)を訪問。
ボツネタでは五城目の森山(?)、大潟村の直線道路、本荘の新山公園の階段など。
輪行は、最初に青森の五能線・十二湖駅から奥羽本線・森岳駅まで「リゾートしらかみ」、3日目に男鹿駅から横手駅まで男鹿線と奥羽本線の普通列車、4日目に横手駅から湯沢駅まで奥羽本線普通列車を利用。
「リゾートしらかみ」はブナ編成のボックス席で、正平さんも最初驚いていたがゆったりできたよう。(この番組では特急列車を利用することもたまにあるけれど)正平さんは以前、他のロケで来たことがあって五能線が好きとのこと。
月曜朝のダイジェストでは、おそらく男鹿線から奥羽線への秋田駅での乗り換え時に「秋田美人がいっぱいだ!」と正平さんが喜ぶシーンがあったが、週末版ではカットされていた。
この番組の列車移動シーンでは、通過地点で待ち受ける「Bカメ」と呼ばれるカメラに向かって、正平さんがガラスに張り付いて手を振ったりするのが定番。奥羽本線でもそうだったが、701系電車は濃い色のガラスが使われているため、残念ながらよく映っていなかった。


興味深かったのは、初日の八郎潟町。
目的地は、投稿者が「父さんの山」と呼んでいた八郎潟町三倉鼻(みくらはな)の「筑紫岳」。50年前に父が働いていた採石場があり、その石は八郎潟町の干拓(※正しくは干拓時に作られた「堤防」に)に使われて、今はマイナスの標高になっているそうで、投稿者は見たことがない今の姿を見てきてほしいという手紙。

場所は想像が付いた。奥羽本線下り列車で八郎潟の次の鯉川駅の手前、線路がカーブして上る地点で、左手に国道7号線と八郎潟残存湖と大潟村が見え、右手に(今も操業中らしい)採石場が見える。その付近に「三倉鼻公園」があると聞いていた。
【11月27日補足】現地は八郎潟町の最北部で、三種町に近い。鯉川は三種町。
再掲)この反対側の車窓に採石場
やはり、その場所だった。航空写真で見ると、線路からすぐの所に大きな穴があいているし、国土地理院の地形図ではマイナス5メートルと記されている。
番組では採石場の中に入り、その光景が映されていた。すり鉢状になった穴の深さは5メートルどころではなく、採石場の人の話では30メートル。元々の筑紫岳の高さは、手紙では150メートルとあったが、採石場の人は50メートルとか言っていた。
日本離れした光景で、底には水がたまっていた。断面の地層は縦方向。地元の人は「宝の山」と呼ぶという。
秋田にもまだまだ知らない所がたくさんある。


他の回も含めて、道中のいろいろ。
最初に列車を降りた森岳は、日本一の「ジュンサイ」産地。地元の人に教えてもらって、ジュンサイを観察する正平さんは「俺は『ジュンサイなやっちゃ』とよう言われる」とおっしゃる。
正平さんお得意のジョークかと思ったが、関西の方言らしい(国語辞典には載っていない)。
「つかみどころがない、ぬるぬるした、適当なヤツという意味やろか? 昔、京都で古い人が使っていた」と続けた。


昼食に入った食堂で、豚汁を食べた。
正平さんは「豚汁にはコショウでしょ」とテーブルコショウを振って食べていた。
僕は、豚汁にかけるとすれば(七味)唐辛子だと思っていたので、初耳。先日、試しにコショウをかけてみたら、これがおいしかった。
でも、冬は体が温まる七味唐辛子も捨てがたいから、これからは七味とコショウと両方かけよう(←邪道)。
【2014年4月12日追記】2014年春の旅・岐阜県1日目(通算309日目)では、「カレーうどんには一味。まろやかになると先輩に教わった」として、けっこうな量の一味唐辛子をカレーうどんに振りかけていた。


湯沢では、途中の田んぼでアオダイショウとたわむれる。
自転車の車輪に巻きついてしまったので、噛まれないように注意しながら素手でつかんで、腕に巻きつけ「ブレスレットです」とやったのにはびっくりした。
僕も毒のない小さいヘビならかわいいと思うし(巳年なので)触ってもいいけれど、触る度胸はない。

以前は、素手でチョウを2匹同時に捕まえたり、飛んで行くサギが落とした1枚の羽根を田んぼに入って拾ったりした。また、大雨で増水した川を見て「こういう時、鮎はどうしているんやろ? どっかで耐えているんやろな」、雲がかかった山を見上げて「あそこには生き物がいっぱいいるんやで」とおっしゃったこともあった。
身近な自然とこういう感じに付き合えるのって、素敵。

【12月8日追記】火野正平さんとバス旅の蛭子能収さんの共通点を発見。(年齢は蛭子さんが2つ上)
2人ともオムライスが好きで、番組の食事シーンでは食べることがある。蛭子さんは現地の名物料理には目もくれずにオムライスを注文することも多い。
【2014年4月20日追記】こころ旅の2014年春の旅では、オムライスにケチャップがかかっていても、さらにソースをかけるシーンが複数回ある。その食べ方が好きだそうだ。

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2 コメント

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元祖モテ男 (FMEN)
2013-10-29 23:51:22
火野氏、たくさん彼女作っている人ですよね。
「秋田美人がいっぱいだー」はキャラを理解してます。
手の早いタレントが「平成の火野正平」なんて呼ばれるのは素晴らしい。
蛭子氏といい火野氏といい遊び大好きで関わるのがはばかりそうなおじさんですが、田舎に触れて楽しむ好々爺が本当の姿なんでしょう。

八郎潟の三倉鼻の砕石はわかります。
なんかスーパー戦隊が戦ってそうですよね。
自然豊かで古き良きドライブインがいくつもあります。
湯沢の田んぼは山田あたりですかね。
あのあたり、地平線が見えそうなくらい立派なんです。
ストリートビューで一見あれ。
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端々で (taic02)
2013-10-30 21:12:09
こころ旅の端々でも、かつてを彷彿させる発言があったりします。
あと、各地でオバちゃんたちにはすぐに気づかれて取り囲まれて、たじたじの場面とか。
自転車は幼少の頃から好きだったそうですし、自然にも親しんで来られたのでしょう。

三倉鼻は前から気になっていた場所ではあったのですが、通過するだけでした。八郎潟残存湖・大潟村自体も特異な光景だし、貴重な場所と言えそうです。
湯沢市山田は、そうですね。そんな雰囲気の場所です。途中、無人販売で「観賞用ナス」みたいなのを買って、自転車に飾っての旅でした。
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