それなりに報道されているように、3月16日のダイヤ改正で、JR東日本エリアの車内販売(車販)が縮小されることになった。
四国や北海道では同様の動きが既にあった。利用状況と人手不足からすれば、東日本でもいずれはこうなると予想でき、それはやむを得ないことだと思っていた。
だけど、それがこんなに早く、こんなに大規模に行われるのは予想外で衝撃だった。
秋の消費税増税も頭をよぎった。ワゴン販売の飲食物は軽減税率(8%すえおき)の対象になるそうだ。酒やグッズ類は10%になるから、買い控えられたり、計算が分かりにくくなってしまう、といった事情は…関係あるかな?
明らかにされた情報だけでは、疑問点もいくつかある。
マスコミの取り上げかたは、相変わらず公式発表をなぞっただけの薄っぺらなものが多く、見ても解決しない。とりあえず、ここにまとめておく。
●公式発表 【2019年5月29日補足・この後、2019年7月にもさらに縮小が実施されました(末尾追記参照)。以下は2019年3月の変更点ですので、お間違いなく。】
JR東日本2月18日付プレスリリース「新幹線・在来線特急列車の車内販売サービスの 一部列車の終了と取扱品目の見直しについて 」から。
現在、東日本エリアで一手に車内販売を行う日本レストランエンタプライズ(NRE)ではなく、JR東日本本体からの発表。NREのサイトでも、本体へのリンク掲載で済ませている。
1.列車や区間別に、ダイヤ改正時をもって販売終了/取扱品目見直し/そのまま継続の3パターンに分類される。
・3月15日で車内販売終了
新青森-新函館北斗(はやぶさ・はやて)、盛岡-秋田(こまち)、やまびこ、酒田-秋田(いなほ)、関東周辺の特急のいくつか
・継続するも、取扱品目見直し
東京-新青森の東北新幹線、つばさ、とき、あずさ、ひたち、新潟-酒田のいなほなど
・継続 かがやき、はくたか
2.取扱品目見直しの内容は、
中止:弁当・サンドウィッチ等軽食、デザート、お土産、雑貨
継続:ホットコーヒー、ソフトドリンク類、菓子、アルコール、つまみ
●報道で分かったこと
・取扱品目見直しの列車では、アイスクリームの扱いも終了(デザート類に含まれるということでしょう)
惜しむ声が上がっていることが、複数のマスコミやネットメディアで取り上げられている。
個人的にも惜しい。秋田で車内販売以外でスジャータのアイスクリームを入手するのは、おそらく不可能だから。また、地域や路線によっては、スジャータ以外のご当地アイスを売ることもあって、その出会いもなくなる。10年以上前の「あずさ」では、なぜか小岩井ブランドのアイスだった。
【5日補足】冷凍保存の必要があり、管理が大変だったのは想像に難くない。車内の準備室にも冷凍庫はなく、ドライアイスとアイスバッグを使っていたらしい。一方、聞きかじった昔の話では(現在は不明)、ホットコーヒーとアイスクリームは、売上に応じて販売員に報奨金が出るようなこともあったとか。
【6日補足】スジャータのアイスクリームは、「JR東日本(NRE)の新幹線・特急で販売をやめる」のであって、北陸新幹線や東海道新幹線等では販売を継続する。スジャータのアイスクリーム自体が製造中止になるわけではない。ただ、東日本限定の期間限定品の再発売は難しくなりそう。
・NHK秋田では「JR東日本によりますと(中略)昨年度の売上高は前の年度より5%減少しているということです。」としている。これはJR東日本全体の売上高ということだろうか?
●疑問
・観光快速列車の車内販売は?
タイトルが「新幹線・在来線特急列車の」とあるのと矛盾はないけれど、「リゾートしらかみ」などの臨時快速列車の車内販売についての言及がない。
ネットでは継続されるとの情報もあるが、根拠は不明。
乗車時間が長く、乗車途中での供食が難しいローカル線を走るものもあり、そんな時こそ、食べ物やアイスがほしくなるものだけど…
【8日追記】らちが明かないからJR東日本へ問い合わせた。やはり観光列車は今回の発表の対象外であり、3月16日以降も車内販売を継続するとのこと。ただ、将来的にはどうなるか分からないし、突発的・局所的に何らかの変更が生じる可能性も、当然あり得るだろう。特にごはん時に長時間乗る時は、乗車前に販売品目を確認したほうが無難でしょう。
【20日追記】ところが、遅れて4月から「リゾートしらかみ」の車内販売も縮小されることになった。末尾リンク先の続編参照。
・NRE秋田営業支店はどうなる?
これにより、秋田県内または秋田支社管内を走るすべての定期列車(こまち、いなほ)から、車内販売がなくなる。
NREでは管内各地に「営業支店」があって、従業員の所属や販売商品の補充を行っているようだ。秋田にも、秋田駅2番線と秋田支社の間辺りに「秋田営業支店」がある。こまち、いなほ、リゾしらを担当しているはず(一部便は別支店担当)。
そのうち、こまちといなほは確実になくなるわけで、秋田営業支店の存在意義はほぼなくなる。最大でも1日3往復だけの「リゾートしらかみ」のために、支店を存続させるのかという疑問もある。
秋田の各マスコミは、この点に気づいて突っこんで取材できないのでしょうか…
以下、憶測。
新青森にも営業拠点(盛岡支店の営業所扱い)があり、改正以降も存続すると考えられるから、秋田支店を廃止して、リゾートしらかみを新青森に移管したほうが自然。ただ、その場合、弘前発着のリゾしら1往復をどう対応するかは問題。
NREの前身は、国鉄時代の「日本食堂」。
秋田駅には、かつてはその食堂もあったが、なくなった。そして車内販売も? となると、残るのは駅弁だけということになる。
・従業員はどうなる?
秋田以外も含めて、今回の縮小によって、必要な従業員の数はだいぶ減ることになりそう。人手不足であっても、今よりは少なくなるかも。
そのみなさんの処遇はどうなるんだろうか?
商業施設や工場の閉鎖だとマスコミは騒ぎ立てるけど、こういうのはいいんでしょうか…
販売員はパートやアルバイトの人も多かった。特異な勤務形態・就業環境であって、ネット上では、学生の頃にアルバイトしていた思い出を紹介されている方もちらほら。
一方で、近年は、山形新幹線1往復半で53万円売り上げた(平均は7万円)カリスマ車内販売員が本になるといった話題も。
あと、1988~1995年にテレビ朝日で放送されたドラマ「さすらい刑事旅情編」の鉄道警察隊リーダー格の刑事・香取達男(三浦洋一)の妹、恵里(相川恵里)が車内販売員をしているという設定だった。劇中では日本食堂の制服だったが、別の企業ということになっていたそうだ。東北新幹線、踊り子、北斗星と東京起点のあらゆる列車に乗務し、捜査で乗車中の兄としょっちゅう鉢合わせして、「おい恵里。お前なんでこんなところにいるんだ?」「お兄ちゃんこそ!」のやり取りが定番だったイメージ。
・納品する企業への影響は?
車内販売での扱いをやめる品目の製造販売元は、どう感じているだろう。
アイスクリームのスジャータなんかは、大企業だから大したことはないかもしれないけど。各地の駅弁や土産用お菓子はどうだろう。納品数としてはさほどではないのかな。【20日追記】大館の鶏めし弁当の花善では、さほどの影響はないとのこと。末尾のリンク先参照。
●雑感
・お土産
車内販売のメイン商品が、ホットコーヒーとお菓子を中心とするお土産だと思っていた。ある程度日持ちして在庫管理しやすいだろうし。そのお土産がなくなるのが意外。
買い忘れた時だけでなく、降り立ったわけではない土地のお土産(?)も入手できるのも魅力。
1982年の東北新幹線開業直後からしばらく(大宮または上野-盛岡の頃)は、そのお土産といえば、雷おこし、郡山の薄皮饅頭、仙台の笹かまぼこが定番で、各駅ごとに売りに来ていたはず。
薄皮饅頭は、郡山を通過する通称「スーパーやまびこ」や「こまち」でも、売られていたかと思う。
東京帰りの人から「郡山に行ったわけじゃないけど、車内販売にあったので」と思いがけず薄皮饅頭をいただいて、普段秋田では買えないものなので喜んで食べたことがあった。※薄皮饅頭の店舗は、東北地方では福島県内と仙台だけ。
いつの頃からか、東京ばな奈シリーズ、岩手のかもめの玉子や小岩井のクッキー、山形のラスクフランス、秋田の金萬なども積まれるようになり、さらにちょっとマイナーというか地元でもさほど知られないお菓子もあって、知名度向上に車内販売が貢献したかもしれない。
【4日補足】かもめの玉子が広く知られるようになったのは、平成初期だったと思う。僕は平成元年に存在を知ったが、少し後に秋田のダイエーでたまに売るようになり、初めて食べた。
秋田新幹線では、秋田産エダマメをチョココーティングした「青豆のドラジェ」や、秋田市の菓子店・中野屋のサブレ入りモナカ(?)「幸福朗(こうふくろう)」なども近年登場。
※幸福朗には秋田市立四ツ小屋小学校の児童が関わったと記憶して調べてみたら、小学校考案バージョンの派生商品(4色あって、育てた米粉使用)が存在するということらしい。車販は通常版だと思われる。
長らく秋田市に住む者としては、どちらも目新しいお菓子の部類で、どちらも食べたことがない。
そういう新入りの代わりということか、現在は、雷おこしや薄皮饅頭は扱わなくなっている。会津若松の「丸峰 黒糖まんじゅう(おしながきより。正確には「丸峰庵」?)」なるものを扱っているそうだ。
・駅弁
本件を伝える複数のマスコミでは、「車内で駅弁を買うことができなくなる」と象徴的に書いたりコメントしているものがあった。
「駅弁」とは「駅で売る」から駅弁なのであり、車内販売の代表商品として駅弁を挙げることに対して、個人的には少々異議があるが、それもまた事実。
窓が開かなくなって、停車時間が短くなって、途中駅で買うことは難しくなって、車内で買うのも仕方がない。食堂車やビュッフェが廃止され、車内販売が唯一の供食手段になったという事情もある。
でも、車内販売に積みこまれる駅弁は、種類も数も少ない。例えば「こまち」の仙台駅からは「網焼き牛たん弁当」は定番だけど、それ以外はあっただろうか。そんな点では、車内の駅弁に賭けるのはリスクが大きい。
ただ、車内でも駅と同価格で売られていたので買っても損はしないし、(乗車してすぐ販売員に頼み、途中駅から積みこんでもらう等)予約できることもあり、便利ではあったか。
さらに次のような問題も。
・食事難民?
運行時間が長く、途中駅の停車時間が短い列車で、車内販売で弁当を扱わないとなれば、どうなるだろう。
「こまち」「いなほ」など、駅で充分に周知しないと、空腹で何時間も過ごす客が出てしまいそう。
あるいは「こまち」の盛岡での少々長い停車中に、ホームの売り場にかけこむか。1分半停車の仙台では、危ない。
はたまた「いなほ」。新潟と秋田の間では、駅弁を売る駅は今はなくなった。駅のコンビニの品揃えもどうだろう。乗車前にお買い求めをと言っても、買いっぱぐれるかも。
・コーヒー難民?
秋田を朝早くに出る「こまち」では、車内販売の最初の巡回で、コーヒーがけっこう売れていた記憶がある。
これからは、盛岡までお預けになってしまう。秋田駅のスタバは7時開店だから間に合わない。改札向かいのNEWDAYSは5時半からやっていてコーヒーマシンもある。
・NRE以外がやったら?
NREがやらないのなら、他社はできないものか。
昔は上越新幹線の「聚楽(じゅらく)」など、ホテル系列の車内販売業者がいくつか存在した。その他にもあり、こまち開業前の「秋田リレー号」では、伯養軒も担当していたそうだ。
今の時代、新規(もしくは再度)参入はやっぱり難しいか。
では、駅弁業者が短区間だけ乗って売ることはできないだろうか。
大館の花善の鶏めしは、かつて(2008年頃まで??)は花善自身で車内販売を行っていた。
昼前後の特急(当時青森まで行っていた「いなほ」など)で大館→東能代→大館だったか。おばさん2人組があわただしく乗りこんで、車内放送を入れて、あわただしく車内を行って戻って、あわただしく降りていったけれど、今にして思えばぜいたくなサービスだった。【12月19日・弁当のほかに商品は、プラスチックのフタ兼コップ付き容器にお湯とティーバッグを入れた100円の緑茶のみ。いちおう「お茶だけ」を買うこともできたようだが、ぶっきらぼうに対応していた印象。】
今もその程度ならできる業者もいるかもしれないし、助かる客もいるはず。でなければ、駅ホームでの立ち売りの復活とか…
でも酒田付近のような駅弁業者自体がないところでは、それもできない。
【4日追記】自動販売機について。
1990年代中盤の新車両やリニューアル車では、車内に飲料の自動販売機を設置するのが流行ったが、2000年代までに撤去されたり新造車に設置されなくなり、一過性の動きだった。1990年の初代山形新幹線400系や1994年初代2階建て新幹線MaxのE1系にはあった(E1系は弁当の自販機もあった)が、2008年に終了。1997年の秋田新幹線初代E3系には一切なかった。【5日補足・小容量PETボトルが普及した時期と重なり、自販機が対応できなかったという理由もあるかもしれない】
運用上の問題があったのだろうが、こうなってしまったら、再度設置してはどうだろうか。車内で飲み物が入手できず、熱中症やエコノミークラス症候群になった、なんてことが起きないように。
【5日追記】それから、昔の新幹線や特急では、車内に「冷水器」が設置されていた。薄っぺらな紙コップで、無料で自由に飲むことができた。近年の車両にはなくなったし、洗面所やトイレの蛇口には「飲まないでください」とか書いてある。車内販売もない列車では、まさに水すら飲めなくなる。
【5日追記】個人的な偏見だけど、車内販売員が巡回しながら話す口上は「ホットコーヒーにサンドウィッチ、冷たいお飲み物はいかがでございますか」「ビールにおつまみ、お弁当はいかがでございますか」が定番だと思っていた。東北上越新幹線開業記念の車内放送カセットテープ(後にCDも登場)で、効果音として収録されていた販売員の言葉で覚えた気がする。
実際には、営業所や販売員個人、さらに時間帯や区間によって違い、無言でアイコンタクトで回る販売員も登場した。
【18日追記】最近はデッキから客室に入ってすぐ「車内販売でございます」と“名乗って”から、「ホットコーヒーに…」と続ける人も少なくなかったが、昔は「失礼いたします」だけで名乗ることはあまりなかったかもしれない。(以上追記)
車内販売がなくなっても、首都圏は駅ナカ、ホーム等いろいろ店があって影響は少ないかもしれないが、地方にはつらいかも。
※車内販売縮小時の報道やアイスクリームについてはこちら。
【4月11日追記】JR東日本のクレジットカード「ビューカード」会員向け月刊紙「VIEW's news」には、切り取って使うJR東日本系列の飲食店などの割引券「ありがとうクーポン」が付いている。
その1つに、車内販売のホットコーヒーの割引券もあった。以前は100円引きだったが、最近は50円引き(Sサイズ・Lサイズとも)。以前は毎月2枚(1枚につき1杯)だったが、後に1枚(同)に。ただし、会員サイト掲載のPDFファイルを印刷する場合は、2回まで印刷できることになっていた(そう書いてあるだけで、3回以上の印刷もでき、そのことを識別できなかったはず)。
2019年2月号には、2月28日まで有効なクーポンが従来どおり掲載されたが、3月号からは掲載がなくなった。
【5月28日追記】その後5月28日付発表で、7月1日からさらに縮小されることになった。
・ホットコーヒーも廃止。
・北陸新幹線も、他と同内容に縮小。
車内販売の代名詞とも言えるホットコーヒー。それだけテイクアウト店やコンビニのコーヒーが脅威だったのか、あるいは淹れたり注いだりが手間だったのか。これにより、かなり省力化できてしまいそう。3か月おいて2段階での縮小になったのは、従業員の雇用契約の問題なんかもあるのかもしれない。
【7月16日追記】さらに7月1日から、車内販売や案内業務を「株式会社JR東日本サービスクリエーション」という新しい子会社(4月にNREの子会社として設立、7月からJR東日本本体の完全子会社に)に移管していた。
四国や北海道では同様の動きが既にあった。利用状況と人手不足からすれば、東日本でもいずれはこうなると予想でき、それはやむを得ないことだと思っていた。
だけど、それがこんなに早く、こんなに大規模に行われるのは予想外で衝撃だった。
秋の消費税増税も頭をよぎった。ワゴン販売の飲食物は軽減税率(8%すえおき)の対象になるそうだ。酒やグッズ類は10%になるから、買い控えられたり、計算が分かりにくくなってしまう、といった事情は…関係あるかな?
明らかにされた情報だけでは、疑問点もいくつかある。
マスコミの取り上げかたは、相変わらず公式発表をなぞっただけの薄っぺらなものが多く、見ても解決しない。とりあえず、ここにまとめておく。
●公式発表 【2019年5月29日補足・この後、2019年7月にもさらに縮小が実施されました(末尾追記参照)。以下は2019年3月の変更点ですので、お間違いなく。】
JR東日本2月18日付プレスリリース「新幹線・在来線特急列車の車内販売サービスの 一部列車の終了と取扱品目の見直しについて 」から。
現在、東日本エリアで一手に車内販売を行う日本レストランエンタプライズ(NRE)ではなく、JR東日本本体からの発表。NREのサイトでも、本体へのリンク掲載で済ませている。
1.列車や区間別に、ダイヤ改正時をもって販売終了/取扱品目見直し/そのまま継続の3パターンに分類される。
・3月15日で車内販売終了
新青森-新函館北斗(はやぶさ・はやて)、盛岡-秋田(こまち)、やまびこ、酒田-秋田(いなほ)、関東周辺の特急のいくつか
・継続するも、取扱品目見直し
東京-新青森の東北新幹線、つばさ、とき、あずさ、ひたち、新潟-酒田のいなほなど
・継続 かがやき、はくたか
2.取扱品目見直しの内容は、
中止:弁当・サンドウィッチ等軽食、デザート、お土産、雑貨
継続:ホットコーヒー、ソフトドリンク類、菓子、アルコール、つまみ
●報道で分かったこと
・取扱品目見直しの列車では、アイスクリームの扱いも終了(デザート類に含まれるということでしょう)
惜しむ声が上がっていることが、複数のマスコミやネットメディアで取り上げられている。
個人的にも惜しい。秋田で車内販売以外でスジャータのアイスクリームを入手するのは、おそらく不可能だから。また、地域や路線によっては、スジャータ以外のご当地アイスを売ることもあって、その出会いもなくなる。10年以上前の「あずさ」では、なぜか小岩井ブランドのアイスだった。
【5日補足】冷凍保存の必要があり、管理が大変だったのは想像に難くない。車内の準備室にも冷凍庫はなく、ドライアイスとアイスバッグを使っていたらしい。一方、聞きかじった昔の話では(現在は不明)、ホットコーヒーとアイスクリームは、売上に応じて販売員に報奨金が出るようなこともあったとか。
【6日補足】スジャータのアイスクリームは、「JR東日本(NRE)の新幹線・特急で販売をやめる」のであって、北陸新幹線や東海道新幹線等では販売を継続する。スジャータのアイスクリーム自体が製造中止になるわけではない。ただ、東日本限定の期間限定品の再発売は難しくなりそう。
・NHK秋田では「JR東日本によりますと(中略)昨年度の売上高は前の年度より5%減少しているということです。」としている。これはJR東日本全体の売上高ということだろうか?
●疑問
・観光快速列車の車内販売は?
タイトルが「新幹線・在来線特急列車の」とあるのと矛盾はないけれど、「リゾートしらかみ」などの臨時快速列車の車内販売についての言及がない。
ネットでは継続されるとの情報もあるが、根拠は不明。
乗車時間が長く、乗車途中での供食が難しいローカル線を走るものもあり、そんな時こそ、食べ物やアイスがほしくなるものだけど…
【8日追記】らちが明かないからJR東日本へ問い合わせた。やはり観光列車は今回の発表の対象外であり、3月16日以降も車内販売を継続するとのこと。ただ、将来的にはどうなるか分からないし、突発的・局所的に何らかの変更が生じる可能性も、当然あり得るだろう。特にごはん時に長時間乗る時は、乗車前に販売品目を確認したほうが無難でしょう。
【20日追記】ところが、遅れて4月から「リゾートしらかみ」の車内販売も縮小されることになった。末尾リンク先の続編参照。
・NRE秋田営業支店はどうなる?
これにより、秋田県内または秋田支社管内を走るすべての定期列車(こまち、いなほ)から、車内販売がなくなる。
NREでは管内各地に「営業支店」があって、従業員の所属や販売商品の補充を行っているようだ。秋田にも、秋田駅2番線と秋田支社の間辺りに「秋田営業支店」がある。こまち、いなほ、リゾしらを担当しているはず(一部便は別支店担当)。
そのうち、こまちといなほは確実になくなるわけで、秋田営業支店の存在意義はほぼなくなる。最大でも1日3往復だけの「リゾートしらかみ」のために、支店を存続させるのかという疑問もある。
秋田の各マスコミは、この点に気づいて突っこんで取材できないのでしょうか…
以下、憶測。
新青森にも営業拠点(盛岡支店の営業所扱い)があり、改正以降も存続すると考えられるから、秋田支店を廃止して、リゾートしらかみを新青森に移管したほうが自然。ただ、その場合、弘前発着のリゾしら1往復をどう対応するかは問題。
NREの前身は、国鉄時代の「日本食堂」。
秋田駅には、かつてはその食堂もあったが、なくなった。そして車内販売も? となると、残るのは駅弁だけということになる。
・従業員はどうなる?
秋田以外も含めて、今回の縮小によって、必要な従業員の数はだいぶ減ることになりそう。人手不足であっても、今よりは少なくなるかも。
そのみなさんの処遇はどうなるんだろうか?
商業施設や工場の閉鎖だとマスコミは騒ぎ立てるけど、こういうのはいいんでしょうか…
販売員はパートやアルバイトの人も多かった。特異な勤務形態・就業環境であって、ネット上では、学生の頃にアルバイトしていた思い出を紹介されている方もちらほら。
一方で、近年は、山形新幹線1往復半で53万円売り上げた(平均は7万円)カリスマ車内販売員が本になるといった話題も。
あと、1988~1995年にテレビ朝日で放送されたドラマ「さすらい刑事旅情編」の鉄道警察隊リーダー格の刑事・香取達男(三浦洋一)の妹、恵里(相川恵里)が車内販売員をしているという設定だった。劇中では日本食堂の制服だったが、別の企業ということになっていたそうだ。東北新幹線、踊り子、北斗星と東京起点のあらゆる列車に乗務し、捜査で乗車中の兄としょっちゅう鉢合わせして、「おい恵里。お前なんでこんなところにいるんだ?」「お兄ちゃんこそ!」のやり取りが定番だったイメージ。
・納品する企業への影響は?
車内販売での扱いをやめる品目の製造販売元は、どう感じているだろう。
アイスクリームのスジャータなんかは、大企業だから大したことはないかもしれないけど。各地の駅弁や土産用お菓子はどうだろう。納品数としてはさほどではないのかな。【20日追記】大館の鶏めし弁当の花善では、さほどの影響はないとのこと。末尾のリンク先参照。
●雑感
・お土産
車内販売のメイン商品が、ホットコーヒーとお菓子を中心とするお土産だと思っていた。ある程度日持ちして在庫管理しやすいだろうし。そのお土産がなくなるのが意外。
買い忘れた時だけでなく、降り立ったわけではない土地のお土産(?)も入手できるのも魅力。
1982年の東北新幹線開業直後からしばらく(大宮または上野-盛岡の頃)は、そのお土産といえば、雷おこし、郡山の薄皮饅頭、仙台の笹かまぼこが定番で、各駅ごとに売りに来ていたはず。
薄皮饅頭は、郡山を通過する通称「スーパーやまびこ」や「こまち」でも、売られていたかと思う。
東京帰りの人から「郡山に行ったわけじゃないけど、車内販売にあったので」と思いがけず薄皮饅頭をいただいて、普段秋田では買えないものなので喜んで食べたことがあった。※薄皮饅頭の店舗は、東北地方では福島県内と仙台だけ。
いつの頃からか、東京ばな奈シリーズ、岩手のかもめの玉子や小岩井のクッキー、山形のラスクフランス、秋田の金萬なども積まれるようになり、さらにちょっとマイナーというか地元でもさほど知られないお菓子もあって、知名度向上に車内販売が貢献したかもしれない。
【4日補足】かもめの玉子が広く知られるようになったのは、平成初期だったと思う。僕は平成元年に存在を知ったが、少し後に秋田のダイエーでたまに売るようになり、初めて食べた。
秋田新幹線では、秋田産エダマメをチョココーティングした「青豆のドラジェ」や、秋田市の菓子店・中野屋のサブレ入りモナカ(?)「幸福朗(こうふくろう)」なども近年登場。
※幸福朗には秋田市立四ツ小屋小学校の児童が関わったと記憶して調べてみたら、小学校考案バージョンの派生商品(4色あって、育てた米粉使用)が存在するということらしい。車販は通常版だと思われる。
長らく秋田市に住む者としては、どちらも目新しいお菓子の部類で、どちらも食べたことがない。
そういう新入りの代わりということか、現在は、雷おこしや薄皮饅頭は扱わなくなっている。会津若松の「丸峰 黒糖まんじゅう(おしながきより。正確には「丸峰庵」?)」なるものを扱っているそうだ。
・駅弁
本件を伝える複数のマスコミでは、「車内で駅弁を買うことができなくなる」と象徴的に書いたりコメントしているものがあった。
「駅弁」とは「駅で売る」から駅弁なのであり、車内販売の代表商品として駅弁を挙げることに対して、個人的には少々異議があるが、それもまた事実。
窓が開かなくなって、停車時間が短くなって、途中駅で買うことは難しくなって、車内で買うのも仕方がない。食堂車やビュッフェが廃止され、車内販売が唯一の供食手段になったという事情もある。
でも、車内販売に積みこまれる駅弁は、種類も数も少ない。例えば「こまち」の仙台駅からは「網焼き牛たん弁当」は定番だけど、それ以外はあっただろうか。そんな点では、車内の駅弁に賭けるのはリスクが大きい。
ただ、車内でも駅と同価格で売られていたので買っても損はしないし、(乗車してすぐ販売員に頼み、途中駅から積みこんでもらう等)予約できることもあり、便利ではあったか。
さらに次のような問題も。
・食事難民?
運行時間が長く、途中駅の停車時間が短い列車で、車内販売で弁当を扱わないとなれば、どうなるだろう。
「こまち」「いなほ」など、駅で充分に周知しないと、空腹で何時間も過ごす客が出てしまいそう。
あるいは「こまち」の盛岡での少々長い停車中に、ホームの売り場にかけこむか。1分半停車の仙台では、危ない。
はたまた「いなほ」。新潟と秋田の間では、駅弁を売る駅は今はなくなった。駅のコンビニの品揃えもどうだろう。乗車前にお買い求めをと言っても、買いっぱぐれるかも。
・コーヒー難民?
秋田を朝早くに出る「こまち」では、車内販売の最初の巡回で、コーヒーがけっこう売れていた記憶がある。
これからは、盛岡までお預けになってしまう。秋田駅のスタバは7時開店だから間に合わない。改札向かいのNEWDAYSは5時半からやっていてコーヒーマシンもある。
・NRE以外がやったら?
NREがやらないのなら、他社はできないものか。
昔は上越新幹線の「聚楽(じゅらく)」など、ホテル系列の車内販売業者がいくつか存在した。その他にもあり、こまち開業前の「秋田リレー号」では、伯養軒も担当していたそうだ。
今の時代、新規(もしくは再度)参入はやっぱり難しいか。
では、駅弁業者が短区間だけ乗って売ることはできないだろうか。
大館の花善の鶏めしは、かつて(2008年頃まで??)は花善自身で車内販売を行っていた。
昼前後の特急(当時青森まで行っていた「いなほ」など)で大館→東能代→大館だったか。おばさん2人組があわただしく乗りこんで、車内放送を入れて、あわただしく車内を行って戻って、あわただしく降りていったけれど、今にして思えばぜいたくなサービスだった。【12月19日・弁当のほかに商品は、プラスチックのフタ兼コップ付き容器にお湯とティーバッグを入れた100円の緑茶のみ。いちおう「お茶だけ」を買うこともできたようだが、ぶっきらぼうに対応していた印象。】
今もその程度ならできる業者もいるかもしれないし、助かる客もいるはず。でなければ、駅ホームでの立ち売りの復活とか…
でも酒田付近のような駅弁業者自体がないところでは、それもできない。
【4日追記】自動販売機について。
1990年代中盤の新車両やリニューアル車では、車内に飲料の自動販売機を設置するのが流行ったが、2000年代までに撤去されたり新造車に設置されなくなり、一過性の動きだった。1990年の初代山形新幹線400系や1994年初代2階建て新幹線MaxのE1系にはあった(E1系は弁当の自販機もあった)が、2008年に終了。1997年の秋田新幹線初代E3系には一切なかった。【5日補足・小容量PETボトルが普及した時期と重なり、自販機が対応できなかったという理由もあるかもしれない】
運用上の問題があったのだろうが、こうなってしまったら、再度設置してはどうだろうか。車内で飲み物が入手できず、熱中症やエコノミークラス症候群になった、なんてことが起きないように。
【5日追記】それから、昔の新幹線や特急では、車内に「冷水器」が設置されていた。薄っぺらな紙コップで、無料で自由に飲むことができた。近年の車両にはなくなったし、洗面所やトイレの蛇口には「飲まないでください」とか書いてある。車内販売もない列車では、まさに水すら飲めなくなる。
【5日追記】個人的な偏見だけど、車内販売員が巡回しながら話す口上は「ホットコーヒーにサンドウィッチ、冷たいお飲み物はいかがでございますか」「ビールにおつまみ、お弁当はいかがでございますか」が定番だと思っていた。東北上越新幹線開業記念の車内放送カセットテープ(後にCDも登場)で、効果音として収録されていた販売員の言葉で覚えた気がする。
実際には、営業所や販売員個人、さらに時間帯や区間によって違い、無言でアイコンタクトで回る販売員も登場した。
【18日追記】最近はデッキから客室に入ってすぐ「車内販売でございます」と“名乗って”から、「ホットコーヒーに…」と続ける人も少なくなかったが、昔は「失礼いたします」だけで名乗ることはあまりなかったかもしれない。(以上追記)
車内販売がなくなっても、首都圏は駅ナカ、ホーム等いろいろ店があって影響は少ないかもしれないが、地方にはつらいかも。
※車内販売縮小時の報道やアイスクリームについてはこちら。
【4月11日追記】JR東日本のクレジットカード「ビューカード」会員向け月刊紙「VIEW's news」には、切り取って使うJR東日本系列の飲食店などの割引券「ありがとうクーポン」が付いている。
その1つに、車内販売のホットコーヒーの割引券もあった。以前は100円引きだったが、最近は50円引き(Sサイズ・Lサイズとも)。以前は毎月2枚(1枚につき1杯)だったが、後に1枚(同)に。ただし、会員サイト掲載のPDFファイルを印刷する場合は、2回まで印刷できることになっていた(そう書いてあるだけで、3回以上の印刷もでき、そのことを識別できなかったはず)。
2019年2月号には、2月28日まで有効なクーポンが従来どおり掲載されたが、3月号からは掲載がなくなった。
【5月28日追記】その後5月28日付発表で、7月1日からさらに縮小されることになった。
・ホットコーヒーも廃止。
・北陸新幹線も、他と同内容に縮小。
車内販売の代名詞とも言えるホットコーヒー。それだけテイクアウト店やコンビニのコーヒーが脅威だったのか、あるいは淹れたり注いだりが手間だったのか。これにより、かなり省力化できてしまいそう。3か月おいて2段階での縮小になったのは、従業員の雇用契約の問題なんかもあるのかもしれない。
【7月16日追記】さらに7月1日から、車内販売や案内業務を「株式会社JR東日本サービスクリエーション」という新しい子会社(4月にNREの子会社として設立、7月からJR東日本本体の完全子会社に)に移管していた。
車内で飲むアツアツのコーヒーは、良い眠気覚ましと気分転換になったのですが。
缶コーヒーではあの香りはなかなか味わえませんし、NEWDAYSであらかじめ買うと、大曲の辺りでもう冷めてしまっていると思います。スマホの電波が通じなくなる田沢湖以降でこそコーヒーを飲みたいと思うのですよね。
それならばせめて、昔あったという自動販売機を復活させてほしいのですけれど、置く場所もないですし、そもそも経費節減なら置くわけがないですよね…。悲しいです。
小さいステンレスボトルでも持っていくかな…。
帰路、東北新幹線区間内でビールか缶チューハイを買っておいて、どうやって冷やしたまま維持するかも考え中です。
税率に関しては、酒とグッズは税率10%、その他飲食物は税率8%でPOSの売価を設定しておけばよいことだし、車販の会計が外税方式になるとは考えづらいので、今回の車販縮小の原因ではないのではないかと思います。
今年も宜しくお願い致します。
いなほ経由で食事難民になりました。
車内販売でも弁当を積んでいなかったみたいで
新潟駅で買うはずが次の新幹線発車をせかすアナウンスで気が付けば新幹線に乗っていました。
周りを見るとノートパソコンを広げたりと仕事モードで誰も飲食していなくて
「これで駅弁を広げたら目立つ」と思い買わず良かったと。
最近のJRのやることなすことを見ていると
「ストはしてもやっぱり国鉄の方が良かった」ですね。
最近全ての障害者手帳の割引に対応したJALやANAの飛行機で上京でしょうかね。
近くの席の人が買ったおこぼれの香りでも、ちょっとうれしいものです。
秋田から1時間半以上経って、最初の販売。待ってましたとばかりに売れるのか、今さらいいやと売れないか、どうなるでしょう。
かつて車内(デッキ)にあった自販機は小型で、ラインナップが少ないものでした。こまめに補充しないといけなかったことでしょう。
今の技術でもこの辺は変わらないかもしれませんが、列車内に1台でいいから、駅ホームの自販機業者に補充を工夫してもらって…とかできたらいいのですが。
>Unknownさん
座りながらに熱いもの冷たいものを買えるのが、車販のメリット。
NEWDAYSに保冷保温容器の貸し出しをやってもらうとか、大曲ホーム上での出張販売をしてもうとか、ひと工夫できないでしょうか。
>あんなかさん
ご無沙汰でした。こちらこそ、よろしくお願いします。
それは大変でしたね。
車内販売があっても、欠品が手強いですね。積みこみ数は販売員の裁量と聞きますが、難しいのでしょうけれど。
新しい新潟駅は、いなほと新幹線の対面乗り換えになり、弁当を買う暇(場所も?)なんてないでしょう。新潟はおいしそうな駅弁が多いのに惜しいです。
羽越本線の新幹線構想も出てきていますが、実現したとしてもそっけない旅になってしまいそうです。
この辺りは迷走感もあります。
首都圏のグリーン車の簡易車内販売は継続されるようですが、Suica決済できるのは今のところ常磐線のみだそうです。グリーン券はSuicaに誘導しておきながら、10年以上経っても車販は非対応というのも、なんだか分かりません。