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秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

昔の秋田の暑さ

2023-08-11 23:26:34 | 秋田の季節・風景
居座る台風によるフェーン現象のためか、最近の日本海側は猛暑。
秋田市は、8月7日から11日まで、5日連続の猛暑日。12日は猛暑日にはならなそうだが、おそらく連続猛暑日日数の記録。最低気温は5日から、連日熱帯夜継続中。寝苦しいのもイヤだけど、連日の35度越えはやはり堪える。

8月9日の最高気温は38.2℃で、観測史上最高値となった。
実際には1978年8月3日と同値なので、1位タイ記録。そのことには触れないマスコミがあるのが、ちょっと気になる。
昭和53年とタイ記録という情報がなければ、「昔はこんなに暑いことはなかった」と思いこんでしまう人もいるだろうし、反対に「40年以上前、ものすごく暑い日があったけど、あれは何度だったのだろう」と悩む人もいるのだから。
ちなみに、1978年は8月2日は32.7℃、4日は28.5℃までしか上がっておらず、8月3日だけ突出した猛暑だった。
【8月23日追記・記録更新】この後、2023年8月23日の最高気温が38.5℃となり、観測記録を更新した。この記事の内容は、それ以前のデータに基づいているので、下のランキングや統計値は“古いもの”になってしまいます。


こうした昔のお天気は、気象庁ホームページの「過去の気象データ検索」を使えば、容易に調べられる。便利な時代になったものだ。
さらに便利なことに「観測史上1~10位の値(年間を通じての値)」ページもあって、観測地点を選べば、すぐにランキングが表示される。秋田の場合は1882年10月からの141年が対象。
「日最高気温の高い方から」では2023年8月9日と1978年に次ぐ、残り8つ分(タイ記録があっても10枠しか表示されない)は、1999年以降の値ばかり。というか8月9日以外の2023年でさらに2枠も(+次点・11番目も)占めている。
やっぱり昔(=平成初め・1990年代以前)と比べて、ここ数十年は暑さが厳しくなったのかなと思わされ、ていいのだろうか。

こうなると気になるのが、ランク外の暑さあるいは1998年以前の暑さがどのくらいだったかということ。
少なくとも気象庁ホームページでは簡単には調べられないようなので、141年間(1882年10月観測開始なので、同年は除いた)の毎年の年間日最高気温の値を、表計算ソフトで並べ替えてみた。
今年のような「同一年内に高温の日が複数ある」場合は、その2番目以降を把握できないことになるので、厳密な(日ごとの)最高気温ランキングではない点はご留意願います。記事内での転記ミスや、気象の知識がないので、見落としやデータの見方を誤解しているかもしれません。
【初回アップ・8月11日時点のデータ。この後、8月23日に最高値が更新
【12日補足・↑1位のところを2023年→1978年の順で記していますが、他のタイ記録の年に合わせて、逆にするべきでした。】
自分が小さかった昭和末期~平成初期は、秋田市では30℃を越える日は珍しくなったが、35℃になった日はなかったような気がしていた。
また、最高気温35.0℃以上の日のことを「猛暑日」と呼ぶようになったのは2007年から。
だから、秋田市で猛暑日が出現するようになったのは、10位までのランキングのように、ここ20年くらいのことだと思いこんでいた。

ところが、並べ替えてみると、141年のうち、猛暑日(という名がまだなかった頃も含めて)があった年は45年。3分の1以上。
古くは1885年から明治・大正・戦前でもそこそこある。
ただ、36.0℃を越えた19年のうち、1998年以前なのは1978年と1944、1950、1954、1971年の5年だけ。36とか37とかバカ高くなったのは、21世紀に入ってからと言える。逆に言えば、秋田市では35℃台の日は、昔から2~3年に1回くらいあってもおかしくはない土地のようだ。

平均値は34.2℃。
最頻値は34.1℃(8回。平成以降では1995年と昨2022年=令和になってから唯一、猛暑日がなかった年)。
中央値も34.1℃。

いちばん低かった年(55位)は、1934年の30.2℃【11日補足・東北地方太平洋側を中心に、大凶作となった年だ】。
141年の間には、冷夏とされる年が何度かあったが、秋田市では、真夏日が1日もなかった年はなかったのだった。少々意外。
低いほうは、昭和以前の年が目立つ。平成以降で低いのは、44位・1993年 32.3℃、43位・2008年 32.6℃、42位・1996年 32.7℃。

35℃を基準にするかどうかは別として総合的に見れば、やっぱり昔よりは気温が高くなり、また高くなる年が増えている傾向にあるのは間違いない。


ちなみに、
昭和最後の夏・1988年は34.0℃(30位。8月14日)、平成最初の夏・1989年は35.5℃(15位。8月6日)。記憶にない。
冷夏で“平成の米騒動”となった1993年は32.3℃(44位。8月26日)。8月前半など20℃台前半の日もあって、寒い夏だった記憶ばかりがあるが、ピンポイントでこんなに上がっていたのは記憶にない。

終戦の1945年は34.8℃(22位。8月24日)。なお、終戦の日1945年8月15日は27.1℃。当時秋田市やその周辺にいて、「終戦の年(もしくは終戦の日)は暑かった」という人が複数いる。感じかたは人それぞれだし、心理的要因も少なくないのではないだろうか。


などとデータで遊んでみても、涼しくなるわけでもない。
夏はほどよく暑く、冬はほどよく寒く・雪が降る、秋田の本来の気候で過ごせる年は、次はいつになるだろう。
2023年夏の暑さの総括と過去との比較

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2 コメント

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台風補正でやっとこさ (FMEN)
2023-08-11 23:36:15
1982、1988、1991、2020など雨が多く梅雨明けが遅れたか特定なしであったのが台風1発で乗せた年もあります。
ちなみに昨年は猛暑日0日。
今年も7月15日豪雨まではかなり予想されていたとか。
1999と2021が今年までは突出した猛暑でやはりそのとおりでしたが、1994や2010は全国も暑く秋田も暑かったのに案外伸びてないのも意外です。

あと歴代タイでもありますが歴代最高も間違いではありません。
1978は八橋運動公園記録、今年は山王7丁目記録。
箱根駅伝の5区みたいなもんかと。
ちなみに北東北最高は78年能代39.2度でしたが昨日弘前に抜かれました。
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フェーン現象 (taic02)
2023-08-11 23:47:00
日本海側は台風接近のフェーン現象で、1~数日だけ気温が飛び抜けて高くなることが、昔から多かったようです。
台風の位置や地形などで、どこがどれだけ高くなるか、違ってくるのでしょうかね。

141年の蓄積ではありますが、観測地点もそうだし、観測方法あるいは記録方法も様変わりしているでしょう。
また、昔の気象庁(中央気象台?)を悪く言うわけではありませんが、初期の観測データの中には、信頼性は微妙なものも、なくはなかったような気がします。
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