広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

富田とその仲間の町

2018-10-29 00:38:11 | 津軽のいろいろ
弘前大学文京町キャンパスの前を通る路線バスは「富田大通り経由」として区別される。※関連記事
大学正門が面する青森県道127号のことを富田大通りと称するのは間違いないけれど、そのうちどこからどこまでが富田大通りなのかは、分からない【桝形交差点より北側らしい。末尾の追記参照】。
富田大通りの由来は、通りのある地名が「富田」だから。のはずだけど…

大学の所在地は、その名の通り文京町。その向かい(東)側の広い範囲が「富田」という地名なのは、漠然と知っている。
弘前駅からバスで来て、大学前の1つ手前のバス停が「富田三丁目」。
大学前の次のバス停「弘大農学生命学部前」の近くには、「弘前富田郵便局」がある。
少なくともバス停3つ分。南北方向にけっこう長く「富田」なのか?
近くに富田ではないけど、別の「富」が付く町名もあったな…

まとめてみた。
Googleマップに加筆(境界線は厳密ではありません)
北から順に、富田一丁目、富田二丁目、富田三丁目、富野町、大富町、富田町、南富田町。
※弘前市では、すべての町名に「大字」を冠するのが正式(大字富田一丁目 等)ですが、ここでは略します。
実に7つの町。丁目の区分を除いても5つ。

北は富田三丁目の1つ手前の「住吉入口」バス停付近、南は柴田女子高(2019年度から柴田学園高)、東は取上交差点(松森町)辺りまで、おおざっぱに東西・南北とも約1キロ四方が、「富田」とそれっぽい地名なのだった。
【29日追記】感覚としては、例えば弘前市中野(一~五丁目)とか秋田市保戸野(保戸野○○町各町)といった、大まかにまとめたエリアに相当しそう。公式でなく地元の合意もないと思うが、「富田地区」「富田エリア」と総称できなくもなさそう。

歴史的には、元は今より広範囲が「富田町」だったのが、1956年に富田(1~3丁目)、富野町、大富町が、1968年に南富田町がそれぞれ分離したようだ。【29日補足・隣接する他の町から編入された部分もあると思われ、旧・富田町と現在の富田エリアが完全に一致するわけでもないはず。】さらにさかのぼれば「富田村」だったらしい。
その経緯からして、富野町、大富町の「富」は、親の「富田町」からもらった命名なのだろう。富田1~3丁目を作ったのだから、富野町・大富町を4~5丁目にすればスッキリとして良かったような気も(よそ者としては)してしまうが、そうもいかない都合があったのかな。
弘大のある文京町の向かい側は、富野町なので、弘前富田郵便局も富野町にある。開局時は富田町だったのかもしれない。
【31日補足】以前のエリアから独立して新しい町ができる際、元の町名にちなんだ、もしくは文字をもらって命名するケースとしては、秋田市の下北手桜から分離した、桜、桜ガ丘、桜台がある。

それぞれの町の境界線は、道路や水路に従った所もあるが、道路にこだわらずに区分されているところが目立つ。
弘大付近は、バス通りを境に東側だけが富野町。しかし、富田一丁目~三丁目は、バス通りを越えた通りの西側もエリアとする部分もある。例えば、大学隣の弘前銘醸や焼肉モーモー&Uマート(旧・マルサン→マルエス)付近。

昔はもっと広かったであろう富田町は、今は桝形~取上の道路(薬王堂=旧・ブックマックス前)の両側に沿う細長い町。沿道の家屋の敷地に従っているようで、隣接する町との境界線はギザギザ。「街村(または路村)」の集落ということか。
また、市立第三大成小学校の敷地は、取上地区の中に食いこむような形で富田町。
富田町本体と小学校がつながっているわずかな部分は、橋のない水路らしい。だから、富田町本体から小学校へ行き来するには、南富田町もしくは取上をいったん経由しなければならないので、「飛び地」に近い。
富田町東部。薄い赤色が富田町部分

桝形~取上の通りの桝形寄り・薬王堂の近くに、信号機付き丁字路交差点がある。南方向へ曲がればハローワークや柴田女子高方向。
かつては、この突き当りに、スーパー「主婦の店マルエス」があったが、後に移転(それが上記モーモーの下)し、跡はコインランドリーだかクリーニング屋になっていたが、今は更地。
【2021年11月23日追記】余談だが、主婦の店マルエスは、さらに昔は近くの別の場所に存在したそうだ。弘前市立中央公民館のツイッターによれば、1979頃の時点で、桝形交差点の北側、道路と道路に挟まれた土地に交差点に面して店があった。現在、東奥信用金庫富田支店がある位置だが、当時は西半分だけが信金で、東半分がマルエス。
場所としては悪くなさそうだけど
更地の向こうに裏側が見える家並みは、大富町。そのすぐ左方は富野町。奥の高い建物は国立病院機構弘前病院で、そこが富野町の北端。

富田大通り経由でない路線バスといえば、本数は多くない(昔よりは微妙に増えた?)が、桝形~取上の道路を通る。「松森町経由」と言えばいいのかな。
この道路には3つのバス停が置かれ、西・桝形寄り、薬王堂と丁字路の間にあるのが、
「富田町」
通りの中間地点が、
「大富町入口」
秋田市には「~入口」という名のバス停が多いが、弘南バスでは珍しい。
たしかに大富町の入口ではあるが、富田町バス停のほうも距離としては同じ。道路に沿って細長い富田町だけに、命名は苦労したのかも。
【2022年2月28日追記】この付近に、かつて「富田温泉」という天然温泉の銭湯があった。この記事参照

あと1つは、取上交差点寄り、みちのく銀行松森町支店付近に「松森町角」(経路が分岐するため、別の位置にもある)。

それにしても、この桝形~松森町・取上の通りには、通称・呼び名がないのだろうか。古くからある通りのようだし、あったほうが分かりやすいのに。完全に富田町と重なるから「富田町通り」としたいけれど、富田大通りとまぎらわしいね。


ちなみに、湧水「富田の清水(しつこ)」(関連記事)は紙漉町、青森銀行富田支店は富士見町と、わずかに現在の富田エリアからは外れている。
この点は、文京小学校が中野にあったり、みち銀松森町支店が富田町にあったり、秋田市などよそでもよくある事例。
それから、これだけ広い富田エリアなら「富田小学校」があっても良さそうだけど、第三大成小があるし、隣接する町に大成小(旧・第二大成小)と文京小があるから、それはかなわなかった。したがって通学区も分割されていて、元は1つの富田町(村)であったであろう地域にしては、一体感は薄くなってしまっているのかもしれない。
【29日追記】記事冒頭の地図を見ても分かるように、富田一丁目と大富町の間、二~三丁目・富野町の東側は、富田エリアが切り欠かれた形になっていて、そこが大成小のある「御幸町(みゆきちょう)」。1956年にできた町で、それ以前は一部が「富田新町」だったそうだ。

【11月12日追記】第三大成小学区を指して「三大地区」という呼称があるそうだ。地域づくり連絡協議会や社会福祉協議会など、公的な組織の名称にも使われていて、公式なエリア名と言えよう。秋田市では、地域や学校名をそのまま使うのが普通で、「学校名の略称」を使うのは新鮮。
同様に「一大地区」「二大地区」も、少なくとも以前は使っていたが、両校が統合されて大成小学校となった現在はどうなっているのかは不明。

【2019年11月4日追記】陸奥新報の連載「津軽の街と風景」の10月28日アップ「「軍都」から「学都」へ=122」より。
●富田大通り
「県道127号は、桝形(ますがた)を境に北側が富田大通り、南側が松原通りと称している。」
とのことで、富田大通りは富田地区とおおむね一致することになりそうだ。
松原通りとは初めて聞いた。また、「戦前までは師団通りとも呼ばれていた。沿道に第8師団の関係施設が並んでいたから」とのこと。

●桝形の歩道橋
桝形交差点の文京小と第三中の間で県道を渡る(位置的に松原大通りということか)歩道橋は、1967(昭和42)年12月完成で、「文京歩道橋と称され、弘前市で最初の歩道橋である。」「県内では最も早い段階で設置された歩道橋の一つだった。」。
秋田市二丁目橋交差点の土手長町歩道橋と同い年。

●富野町に旧市立図書館があった!
現在弘前公園・市役所向かいの市立観光館などがある「追手門広場」で保存されている「旧弘前市立図書館」の洋館が、富野町にあったことがあったそうだ。
1906(明治39)年に、当時東奥義塾があった、現在の追手門広場に建築(義塾から市へ寄贈)。
1931(昭和6)年に「東奥義塾校舎の拡張に伴い民間に払い下げられ、富野町に移された。」「郵便局裏側の住宅街」で「歴代の所有者が下宿や喫茶店として利用してきた。大幅に改築されず、ほぼ原形をとどめ続けてきた」
1990(平成2)年に、弘前市制100周年事業で、現在地に移築。
という経歴だった。
連載では、1980年撮影の文京歩道橋から北側を見た写真が出ていて、その頭が写っている。富野町で「この建物が大切にされてきた」「現時点で図書館時代を合わせても富野町時代の方が長い。」としている。

移築されたとは聞いていたが、東奥義塾→追手門広場のほぼ同じ場所の中のことだと思いこんでいた。
しかも、近くはない富野町に移され、所有者や用途が何度かかわっているらしいのに、元の場所に(ほぼ)元の状態に復元できたというのがすごい。やはり、弘前には古いものを大切にする精神が根付いていると思わないわけにいかない。(以上追記)


桝形~取上の通りの「裏通り」について、いずれまた

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