広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

弘大周辺の温泉

2014-04-23 23:59:28 | 津軽のいろいろ
人生には大小さまざまな後悔はつきもの。
15年前に弘前で4年間暮らした者として、今思えば後悔していることが2つある。

1つは、青森県内のいろんな場所へ出かけておけばよかったということ。
青森県は広い(面積よりも、地形や気候的な面で)ので、さまざまな風景、風土、文化があるのだから、もっと接するべきだった。
今も隣の秋田県にいるとはいえ、例えば下北半島へ行くとなればけっこうな旅になるし、当時あった下北交通の鉄道線や南部縦貫鉄道のレールバスは、今はもう乗ることができなくなってしまった。


もう1つが、温泉に入っておけばよかったということ。
(日本はたいていそうだけど、)青森、とりわけ弘前周辺には、温泉が多い。
山あいの温泉、碇ヶ関や大鰐といった有名な温泉もあるが、それは今でも入浴できるから行こうと思えば行ける。また、弘前市の市街地の外側には、新たな日帰り温泉施設がいくつかできている。
その一方、かつてあった温泉に入れなくなったものがあり、それに入っておきたかったのだ。僕が温泉に入る楽しみを知ったのは、卒業してからだった。

以前、バカヤローカーブのことで参考になった、弘前大学「学園だより」の連載「弘大かいわい」がここでも参考になる。
その第10回(1997年3月18日発行 第115号)が「温泉めぐり」だった。

連載の中では特異な回で、通常なら大学周辺の特定の1つの場所や店舗を取り上げて紹介するのに、この回では碇ヶ関、黒石などまで含めた弘前近郊の温泉をまとめて紹介している。(「かいわい」にしては広すぎる気もする)
執筆者も、通常なら大学の教員から選出された「編集委員」だが、これはその号の編集委員ではない教養部 健康・スポーツ科学分野の大澤義介教官(いずれも当時の組織体系・職名)によるもの。
大澤先生(職階としては教授だったはず)は、いわゆる一般教養の体育の講義・実技の先生で、僕も講義を受けたことがある。実技は合気道なんかも担当されていたはず。青森放送テレビの平日夕方の「出会いふれあい生テレビ」に時々出演されていた。
1997年9月の教養部廃止に伴って教育学部へ異動して、停年退官(定年退職)されていると思う。
【2022年9月17日追記・大澤先生は2022年9月12日に87歳で亡くなった。山形市出身、弘前大学名誉教授。お名前は「ぎすけ」だと思っていたが、「よしすけ」。】

学園だよりでは、
「弘前大学のキャンパスのごく近くにも温泉があります。車で30分ほどの圏内にはすてきな温泉が数え切れないほどありますが、案外と知られていないようなので」として、温泉入浴の科学的意義などとともに、30の温泉をリストで掲載している。
僕はこれを読むまで知らない温泉ばかりだったが、行ってみようという気にならなかったのが、今からすれば悔やまれる。

注目するのは、「弘前大学のキャンパスのごく近く」の温泉。
秋田市でも、市街地に温泉はいくつかあるものの、塩分の強い温泉がほとんどで(保温作用が強いため)夏は汗だくになるし、スーパー銭湯タイプであるため入浴料が少々高い(大都市圏に比べれば安いけど)。
弘前市の市街地の温泉は、泉質がさまざまで、昔ながらの銭湯扱いなので入浴料は500円以下(ただし石鹸・シャンプーは備え付けがないことが多い)。青森市や鹿児島市は温泉銭湯が多くて有名だが、弘前市もわりと多い街なのだ。

学園だよりで紹介されている30の温泉のうち、「弘前大学のキャンパスのごく近く」と呼んで差し支えない場所にある温泉は3つ。いずれも文京町キャンパス周辺の住宅地にあり、大学生が住むアパートも多い。
しかし、このうち2つが、現在は廃業してしまっている。

※以下の温泉に関するデータは、ホームページ「ちょいとひと浴び 街の温泉めぐり(北海道・青森編)」(http://machispa.la.coocan.jp/html_aom/hirosaki.htm)も参考にしました。

唯一現在も営業しているのは「桔梗野温泉」。 桔梗野4丁目の第四中学校の隣にある、銭湯形式のもの。
学園だよりでは36.5度の弱食塩泉。
【2022年5月18日追記】桔梗野温泉は、2022年5月初め頃に廃業した。張り紙によれば「設備老朽化の為、また長期に渡るコロナ禍の影響の為」。

あとの2つは「富田温泉」と「寒沢温泉」。
富田温泉はpH8.0の単純温泉。
弘前市富田町83-1という所在地だったそうだが、弘南鉄道の東高校前駅から枡形へまっすぐ伸びる道の中ほど。松森町とか大富町の近く。
これも銭湯タイプで、僕は何度も前を通っていたが、ただの銭湯だと思っていた。
跡地をストリートビューで見ると、現在は新しそうなアパートが建っている。
ホームページ「街の温泉めぐり」には、「地下404mからゆう出する無色透明無味無臭の源泉を加熱利用」とあるが、今はどうなっているんだろう? 出すには維持費がかかるんだろうけど、温泉があるのに使っていないとは、もったいない話でもある。

寒沢温泉は、弱食塩泉で37.0度、pH8.8。
その名の通り、弘大西側にある「寒沢スキー場(寒沢の坂)」の下に広がる寒沢町にあった。おぼろげに記憶にある。
「街の温泉めぐり」によれば、1999年に廃業した「弘前温泉観光ホテル(実際には旅館か?)」で日帰り入浴を行っていた。「地下600mからゆう出する無色透明の塩化物泉を加熱かけ流し」だそうで、これも使わなくなったのはもったいない。
所在地は寒沢町5-4なので、寒沢の坂の通りと弘高下駅のちょうど中間辺り。土淵川は近いが、川沿いだったわけではないのだろうか。現在は駐車場(と住宅やアパート?)になっている。

なくなってしまった2つの温泉は、大学の敷地から直線で400メートルほどの至近距離。(桔梗野温泉は700メートルほど)
「大学帰りに入浴してから帰宅」なんてことができた(??)のに、当時は温泉に入る楽しみを知らなかったのが悔やまれる。
Googleマップに3つの温泉の位置関係を示す。弘前駅や弘前公園より近くに温泉があった

ほかにも、大学からは若干遠い、旭ヶ丘にあった「緑ヶ丘温泉ホテル」は2002年に廃業。現在は温泉付きの高齢者施設になってしまい、一般人は入浴できなくなってしまった。(秋田市土崎の「あったまりーな」と同じ展開)
あと、富田大通りの枡形交差点近くにも、銭湯があった気がするけれど、あれは温泉ではなかったのかな?


とは言っても、弘前周辺にはまだまだ魅力的な温泉がある。
学園だよりの大澤先生はなぜかリストに入れていないが、緑ヶ丘温泉の近くにある「桜ヶ丘温泉」は、すごい。ここは入ったことがある。
住宅地にある銭湯なのだが、そのお湯は、白濁して硫黄のにおいがする。乳頭温泉なんかにも負けないと思う。(泉質はナトリウム-塩化物炭酸水素塩泉だから、微妙に異なるはず)

あと、弘前公園近くのホテルドーミーインは、旧・岩木町の植田というところから運んでいるようで、いいお湯だったと思う。(源泉掛け流しではないことになるので、こだわる方には不向きでしょうが)

弘南鉄道に30分乗れば大鰐温泉にも入れるのだし、弘前は恵まれている。
(主に郊外のほうに行けば、いろんな意味でよそ者にとって敷居が高い温泉もあるにはあるのだけど…)
大澤先生も、このように結んでいる。
「この恩恵に浴して感謝しながら健康づくりに活用させてもらおうではありませんか。」

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4 コメント

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銭湯 (あんなか)
2014-04-24 00:20:59
私も川崎時代銭湯巡りを知れば良かったと後悔しています。
銭湯にハマって近隣の銭湯は巡ったのですが一番特色のある川崎区やちょっとハイソな麻生区の銭湯はついに手つかずでした。
銭湯が好きなグループもあるみたいですが都内銭湯の資料や壁絵を記録しても
川崎は数の多さと何時でも行けると思っている内に廃業するスピードが殊の外速くあまり記録出来なかったそうです。

私の一番お気に入りの銭湯は壁絵がベルギーのアントワープの風車!でした。
何でも本当はフランス好きなのでエッフェル塔にしたかったそうですが「描けない」と断られて風車にしたそうです。
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銭湯 (taic02)
2014-04-25 23:48:04
銭湯は全国的に激減しましたが、秋田市はほぼ全滅ですね。僕も秋田では1度も銭湯に入ったことがありません。

銭湯の絵といえば富士山ですが、そればかりじゃないんですね。
弘前の桜ヶ丘温泉には、何もなかったような… 建て直されていて、そう古くはない建物のようですが。
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Unknown (ケント)
2021-08-07 12:48:32
ふと寒沢温泉のことを思い出して検索しててたどり着きました。
食堂も併設してて、地元の野菜とか家庭料理が嬉しかったです。
88E〜なので少し年代が違いますけど、バカヤローコーナーとか懐かしい響きです。
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寒沢温泉 (taic02)
2021-08-07 23:21:09
7年先輩ですね。我々は「バカヤローカーブ」でしたが、「~コーナー」でしたか。
寒沢温泉は旅館併設だったようですので、日帰り入浴施設のような雰囲気だったのでしょうか。
今は、郊外のほうに日帰り温泉が増えましたが、街中・大学の近くにあったのは、ぜいたくなことだったかもしれません。
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