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ふじかわの車窓

2022-11-28 23:23:22 | 旅行記
JR東日本パスの旅。甲府駅から身延線の特急「ふじかわ」で、静岡へ
身延線は、甲府→富士が上り。甲府駅を出てすぐは、中央本線上り方向と並走して東へ進むが、すぐに右カーブして、あとはおおむね南へ進む。
甲府市を出ても、しばらくは家と田畑が続く。
国母→常永間
車窓左には富士山。甲府駅周辺よりも3~4キロ近付いた。それに手前の山の稜線が変わって、わずかにより下まで見えるようになった。
この付近で、リニア中央新幹線と交差することになるらしい。その「山梨県駅」は、身延線よりも少し東側に造られ、身延線がアクセス路線とはならないとのこと。

この後、富士山は、手前の山の形により、また上しか見えなくなる。
そして、甲府から15分ほど、2つ目の停車駅・東花輪駅付近を最後に、まったく見えなくなってしまう(甲斐岩間駅付近で、少しだけ見える)。
身延線は、富士山の西側を周り、距離としてはどんどん近くなるのに、そんなに富士山が見える路線ではない。山梨県側では。

ふじかわは、山梨県内では停車駅が多い。甲府を出てから5~10分に1度は停まる。
甲府からの折り返し列車が多い鰍沢口(かじかざわぐち)、路線名でもある身延、武田信玄の隠し湯・下部温泉(しもべおんせん)の各駅は知っていたが、あとは初めて聞く駅ばかり。初代・市川團十郎の出身地という市川大門(いちかわだいもん)、内船(うつぶな)など、由来や読みかたが興味深い駅も。
この時点では、列車の速度は速いとは思わないが、そんなに遅いとも感じなかった。停車時間も含めた平均速度である表定速度では、甲府→内船は48.4kn/h。停車駅の多さも原因だが、速度もそんなに早くはないようだ。身延線の最高速度は85.0km/hとのこと。

徐々に家が少なくなって、低い山が迫り、トンネルもある。人家がまったくない区間もあるが、少し走れば、少しは家がある。その繰り返し。山深いというより、中山間地域といった感じ。身延線でないと見られない車窓ではないが、典型的な日本の田舎の風景かもしれない(北東北は地形や雪対応で、典型的ではない田舎だと思う)。

反対側なので最初は気付かなかったが、下部温泉を出て少しした所から、右・A席側に富士川が寄り添う。D席側は山が迫って、風景はあまりおもしろくない。
そして、カーブが多くなる。気が付けば、速度がかなり遅い。悪天候や工事のため速度規制がかかっているかのように。後部運転台の速度計をのぞいたら40~50km/hほど、最高でも60km/h程度のようだった。

甲府→静岡は、乗車時間では内船付近、距離では内船の少し先で、中間地点。さらにその先で、山梨県から静岡県へ。
内船の次は富士宮。30分間ノンストップだが、相変わらず遅い。内船→富士宮は23.4kmで、表定速度46.8km/h。車窓も引き続き富士川沿い。
稲子→芝川間
富士市の河口近くでも同じだが、富士川は水量は多くなく、河川敷の大部分が白い石で埋まっている。

やがて富士川から離れる。まもなく富士宮。
身延線上り列車では、進行方向左側に富士山が見えるのが基本。しかし、ここでも反対側に富士山が見える区間(この直前に見た、中央本線新府駅などのような)がある。それが富士宮の手前であることは知っていたので、右側の空席に座ってスタンバイ。
沼久保駅を通過する時に、右前方にちらりと見えた。相変わらずのくもり空だが、今まで見えていたのより、ずっと大きい。

すぐに見えなくなって、写真は撮りそこねた。富士宮市内に入れば、今度は左側で存分に見られるし…と考えていたら、前の運転席へ行っていた車掌から放送が入った。
「まもなく、進行方向右側に富士山がご覧いただけます。この区間から見える富士山は、身延線内でもっとも美しいと言われております」
まだ右側に見えるのか。※この区間でも線路にカーブが多く、放送時点では、進行方向正面に富士山が位置し、すでに運転席からは見えていたのだと思う。

再び右側へ行って、ほかの乗客も目を向ける。線路が左にカーブすると、
でーんと
甲府を出て以来の大きな街である富士宮市街地を見下ろす後ろに、すそ野までくっきりと、富士山が大きくそびえていた。
線路が、市街地より少し高い所を通っているので見晴らしがいい。今は線路際に建物が連なるが、それがない昔は、より見遠せたとか。

右前方に見えたのは、1分ほどだろうか。
突如現れる雄大な富士山に感動した。日本三大車窓に含めてもいい絶景だと思う。
下り甲府方面行きだと、富士宮市街地通過中にすで富士山を見てしまっているので、突如現れる感動は味わえないことと、やや後方で少し見づらそうなので、上り列車で見るべきでしょう。

今度は右へ大きくカーブして、ほぼ180度進行方向を変える。そして、定番の左側の富士山を見ながら、富士宮駅到着。
富士山本宮浅間大社 一之鳥居。左に少し写るのが2017年にできた静岡県富士山世界遺産センター

残りの区間でも、街並みの中に富士山が見え続けるわけだが、前に見たことがあるし、距離的には富士山から遠ざかっている(富士宮駅がいちばん近い)し、何よりさっきの絶景の後では…
でも、久しぶりの静岡県の車窓を楽しむ。

身延線を走破して富士駅で4分停まって、東海道本線の下り列車となる。運転士、車掌とも交代。
進行方向が変わるが、座席転換については特に放送もなく、誰も回転させなかった。上り甲府行きでは、始発静岡の時点で、身延線内に合わせた反対向きにセットされているという。「こまち」と同じ。

富士から静岡まで34.0km、30分弱。
最高速度は110km/hに上がり、途中停車駅は清水だけだが、そんなに飛ばさないようで、富士→静岡の表定速度は75.5km/h。
なお、身延線のみ甲府→富士は49.1km/h、全区間通しでは53.2km/h。身延線内で、下りふじかわと2度行き違ったはずだが、長時間停車して待たされることはなく、ダイヤは考えられているようだ。
ちなみに、奥羽本線・秋田~青森の特急「つがる」は、69km/h程度。

東海道本線では、右・D席側に富士山、左・A席側に駿河湾と一部区間でわずかに富士山が見える。
富士川を渡る
今回、どちら側の車窓を見るかで悩んだものの決め手に欠け、えきねっとにお任せしてD席が取れた。富士宮手前のあの富士山が見られるし、富士川も見えるから、A席を取ったほうがいいかもしれない。

今夜の宿泊先・興津へは、富士か清水で降りるべきだが、その先の静岡まで乗車。
富士~静岡の東海道本線は何度も乗っているが、普通列車だと混雑しがちで退屈で冗長に感じる。今回は特急でゆったりできるのがうれしくて、乗り通した。
甲府から122.4km、2時間19分(奇しくも、前日乗ったあずさ25号の新宿→岡谷200.1キロと同じ時間)。JR東海の数少ない在来線特急電車の旅も楽しかった。かなり久しぶりに静岡駅に降りた。続く。→次の記事は番外編・駅前のビルの名前。 旅行記本編の続き

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