今年度から採用されている低コストな信号機の一環として、サイズがちょっと小さくなった車両用信号機。
秋田市楢山と御野場に新しく設置された押しボタン式信号機も、そのタイプ。今回は、そのアームに設置された表示板に注目。
「押ボタン式」(表示板のサイズは従来通りか?)
秋田県の信号機を見慣れた人(もしくは秋田県外の信号機をあまり見たことがない人)は、おやっと思うかもしれない。
見慣れたものは、
(再掲)「押ボタン式信号」
押しボタン式であることを示す表示板の「信号」が省略されたのだ。
押しボタン式のほか、時差式、歩車分離式・スクランブル式であることを示す表示板の書式については、各都道府県警ごと、あるいはその中でも設置時期(あるいは気まぐれ?)によって異なり、「~式信号」「~式信号機」そして「~式」などがある。
運転中に視界に入る情報は、極力簡略化したほうが分かりやすいと思うので、今回の秋田県警の変更は理解できる。
ただ、時差式や歩車分離式ならともかく、押しボタン式であることを運転者に知らせる意味は薄いと思う(押しボタン式を軽視して信号無視する運転者がまれにいる。青森県では表示しない)のだけど。
さて、最近、秋田市内の2か所(上とは別)で、既存の信号機にある機能が追加され、供用されている。
その1つ、歩行者横断地下道が廃止・埋められた手形陸橋西側の丁字路「千秋城下町」では、従来からの時差式と歩車分離式に加えて、新たな機能が追加されたので、アームには表示板がずらり。
4枚の表示板
道路管理者管轄で、地下道があった頃から使われていた「千秋城下町」の表示板は地色がやや汚れているが、警察管轄の3枚はまだ新しい。その中でひときわ白く、「~信号」が省略された「音響式」が増設された機能。
「音響式」って分かるでしょうか? 秋田ではやはり見慣れないが、これも都道府県によっては前から使われている。
機能自体についても、実際にはほとんどの人が知っている。歩行者用信号が青の時にスピーカーから音を出す、信号機に付加する装置のこと。
そう、通りゃんせ/故郷の空とかピヨピヨ/カッコーでおなじみのあれ。目が見えない・見えにくい歩行者のためのものだけど、その名を一般の人はどう呼ぶのが一般的だろうか。
と言っても、秋田県警でさえ、その名称をどう周知するかには苦慮していたようだ。信号機の表示板では、
「盲人用信号付」→「視覚障害者用信号付」→「視覚障害者付加装置付」(2000年代に少数?)→再び(2009年頃から)「視覚障害者用信号付」→「音響式」
と変遷している。
(いずれも再掲)
昔は「盲人用」だった。「盲」は1文字で訓読みすると差別用語になるが、「もう」「盲人(もうじん)」と読めばそうではなく、盲導犬とか盲人会といった公式な名称として今も使われている。
しかし、やはり差別用語を連想させるのか、あるいは単に漢字自体やその読みが分かりにくいのか、現在は「視覚障害者」のほうが一般化している。
しかも先週まで知らなかったけれど、「もう」と「視覚障害」は厳密には異なる概念だそうで、前者には視力が弱い人は含まないのだそうだ。「盲学校」が「視覚支援学校」に改称している(秋田県では2016年度から)のも、そういう判断もあるのだろう。
信号機から音が出るものを警察内部では「音響式視覚障害者用交通信号付加装置」と呼称するそうだ。
秋田県警では「視覚障害者用」に変えた後の一時期、それにならって「視覚障害者付加装置付」としていたが、長ったらしくて分かりにくかったのだろうか、短期間で元に戻していた。
【18日追記】従来は「~付」としていたのも特徴的。「付加装置」だから「追加で付けてます」ということで理屈は合っているけど、理屈っぽいように思えなくもない。
※ちなみに「音響式」でなく振動で青信号を知らせる装置もある。昔(平成初期頃まで?)は秋田市の中央通りにもあって、腰ほどの高さのスタンド式の灰皿のような黄色い筒が立っていて、青信号に連動して頂部が振動していた【18日補足・頂部に指を触れたりてのひらを載せたりして認識するはず】。大阪や和歌山辺りでは今もあるようで、LEDやスピーカーと一体化した新しいものもあるらしい。
そして、今年から「音響式」。(上記の通り、表示板の記載が変わっただけで、モノについては従来とまったく変わらないと思われる)
「音が出る」ことが分かるストレートな意味だし、文字数も少なくて、ベターだと思う。
【18日追記】「音響式」では視覚障害者用であることは伝わらなくなるけれど、我々一般歩行者だって、音が鳴って分かりやすい場合もある。視覚障害者“専用”ではないとも言えるし、表示板で用途が分かったからどうというわけでもないだろうから、別に構わないだろう。理屈っぽく「音響式“付”」としなかったのはよかった!
だけど、押しボタン式と同じく、音響式もあえて表示する必要はないように思えなくもない。音響式でない信号だって視覚障害者は横断することがあるのだし…
【18日追記】一方、歩車分離・スクランブル式や時差式では、表示板設置によって信号誤認や思いこみによる事故を防止する一定の効果がある。過去には、神奈川県で時差式の表示がないことで事故になったとして、裁判になったことがあった。
ということで、千秋城下町交差点は、歩行者信号が青の間、ピヨピヨカッコーの音が鳴る(スピーカーごとに音の種類と鳴るタイミングを変えた「異種鳴き交わし」式なので方向感覚もつかみやすいはず)ようになった。信号サイクルは変わらず。(地下道撤去・交差点改良時にまとめて工事すればよかったのに…)
もう1か所音響式になったのは、楢山登町の登町上丁バス停近く(氷屋さんがあったところ)の押しボタン式信号。「押ボタン式信号」と「音響式」の表示板が並ぶことになった。
「ボタンを押してください」とかしゃべるわけではなく、青信号の間、ピヨピヨ鳴り、点滅時はピーポーピーポーと鳴る。(千秋城下町の点滅時は不明【25日追記】城下町もピーポーあり)
ところで、千秋城下町の上の写真とは反対向きの信号機は、アームが短い。
「千秋城下町」は別の信号機に設置
以前は2枚の表示板が中央寄りにすき間を開けて取り付けられていた。
現在は3枚の表示板がキツキツに設置されている。従来の2枚を右へずらして詰めて、左へ1枚増設したため、すき間がないどころか板どうしが重なっており、右の「時差式信号」の左側の枠線が見えない。
裏側
時差式→歩車分離→音響の順に、端がわずかに重なって取り付けられている。時が経てば汚れやサビがたまっちゃいそう。
秋田県では今後は、時差式や歩車分離でも「時差式」「歩車分離式」と「信号」を略す表示板になるのだろう。
なお、昨年度末に設置された押しボタン式歩車分離式の交差点では、
「押ボタン式/歩車分離信号」
「歩車分離」のほうには「式」がなかった。
今年度以降、これを設置するとすれば「押しボタン式/歩車分離式」なのかな?
【19日追記】千秋城下町は3枚の機能を示す表示板が別々に設置されているのに対し、押しボタン式歩車分離では一体化している(保戸野の既存の歩車分離に押しボタン式を追加したものでは、既存の板を撤去して一体化に交換した)。千秋城下町はそれぞれが独立した別々の機能で、それがたまたま3つ共存しているだけなのに対し、押しボタン式歩車分離は、押しボタンと歩車分離が連動した密接な関係にある機能だから一体化した表示にしたのかもしれない。
【18日追記】ニッポン放送系ラジオ11局が、毎年クリスマスに「ラジオ・チャリティー・ミュージックソン」というチャリティー番組を放送している。「通りゃんせ基金」として募金を呼びかけて視覚障害者のために活用される。その名の通り、当初は音響式信号の設置が目的だったものの、現在はそれ以外にも点字図書や教材など幅広い分野に使われている。
青森放送やIBC岩手放送も参加しており、青森では「RAB通りゃんせ基金」と表示されたボックスが道端に立っている(弘前のヒロロ前とか?)。秋田放送では参加していないけれど、秋田では比較的音響式信号が増えていると思う(少なくとも弘前市よりは)。秋田県が自腹で設置しているということになろう(それが本来のやりかた)。
※その後2024年時点では、「信号」なしの表示板は継続して採用され、既存表示板の更新も進んでいる。文字の太さについて。
秋田市楢山と御野場に新しく設置された押しボタン式信号機も、そのタイプ。今回は、そのアームに設置された表示板に注目。
「押ボタン式」(表示板のサイズは従来通りか?)
秋田県の信号機を見慣れた人(もしくは秋田県外の信号機をあまり見たことがない人)は、おやっと思うかもしれない。
見慣れたものは、
(再掲)「押ボタン式信号」
押しボタン式であることを示す表示板の「信号」が省略されたのだ。
押しボタン式のほか、時差式、歩車分離式・スクランブル式であることを示す表示板の書式については、各都道府県警ごと、あるいはその中でも設置時期(あるいは気まぐれ?)によって異なり、「~式信号」「~式信号機」そして「~式」などがある。
運転中に視界に入る情報は、極力簡略化したほうが分かりやすいと思うので、今回の秋田県警の変更は理解できる。
ただ、時差式や歩車分離式ならともかく、押しボタン式であることを運転者に知らせる意味は薄いと思う(押しボタン式を軽視して信号無視する運転者がまれにいる。青森県では表示しない)のだけど。
さて、最近、秋田市内の2か所(上とは別)で、既存の信号機にある機能が追加され、供用されている。
その1つ、歩行者横断地下道が廃止・埋められた手形陸橋西側の丁字路「千秋城下町」では、従来からの時差式と歩車分離式に加えて、新たな機能が追加されたので、アームには表示板がずらり。
4枚の表示板
道路管理者管轄で、地下道があった頃から使われていた「千秋城下町」の表示板は地色がやや汚れているが、警察管轄の3枚はまだ新しい。その中でひときわ白く、「~信号」が省略された「音響式」が増設された機能。
「音響式」って分かるでしょうか? 秋田ではやはり見慣れないが、これも都道府県によっては前から使われている。
機能自体についても、実際にはほとんどの人が知っている。歩行者用信号が青の時にスピーカーから音を出す、信号機に付加する装置のこと。
そう、通りゃんせ/故郷の空とかピヨピヨ/カッコーでおなじみのあれ。目が見えない・見えにくい歩行者のためのものだけど、その名を一般の人はどう呼ぶのが一般的だろうか。
と言っても、秋田県警でさえ、その名称をどう周知するかには苦慮していたようだ。信号機の表示板では、
「盲人用信号付」→「視覚障害者用信号付」→「視覚障害者付加装置付」(2000年代に少数?)→再び(2009年頃から)「視覚障害者用信号付」→「音響式」
と変遷している。
(いずれも再掲)
昔は「盲人用」だった。「盲」は1文字で訓読みすると差別用語になるが、「もう」「盲人(もうじん)」と読めばそうではなく、盲導犬とか盲人会といった公式な名称として今も使われている。
しかし、やはり差別用語を連想させるのか、あるいは単に漢字自体やその読みが分かりにくいのか、現在は「視覚障害者」のほうが一般化している。
しかも先週まで知らなかったけれど、「もう」と「視覚障害」は厳密には異なる概念だそうで、前者には視力が弱い人は含まないのだそうだ。「盲学校」が「視覚支援学校」に改称している(秋田県では2016年度から)のも、そういう判断もあるのだろう。
信号機から音が出るものを警察内部では「音響式視覚障害者用交通信号付加装置」と呼称するそうだ。
秋田県警では「視覚障害者用」に変えた後の一時期、それにならって「視覚障害者付加装置付」としていたが、長ったらしくて分かりにくかったのだろうか、短期間で元に戻していた。
【18日追記】従来は「~付」としていたのも特徴的。「付加装置」だから「追加で付けてます」ということで理屈は合っているけど、理屈っぽいように思えなくもない。
※ちなみに「音響式」でなく振動で青信号を知らせる装置もある。昔(平成初期頃まで?)は秋田市の中央通りにもあって、腰ほどの高さのスタンド式の灰皿のような黄色い筒が立っていて、青信号に連動して頂部が振動していた【18日補足・頂部に指を触れたりてのひらを載せたりして認識するはず】。大阪や和歌山辺りでは今もあるようで、LEDやスピーカーと一体化した新しいものもあるらしい。
そして、今年から「音響式」。(上記の通り、表示板の記載が変わっただけで、モノについては従来とまったく変わらないと思われる)
「音が出る」ことが分かるストレートな意味だし、文字数も少なくて、ベターだと思う。
【18日追記】「音響式」では視覚障害者用であることは伝わらなくなるけれど、我々一般歩行者だって、音が鳴って分かりやすい場合もある。視覚障害者“専用”ではないとも言えるし、表示板で用途が分かったからどうというわけでもないだろうから、別に構わないだろう。理屈っぽく「音響式“付”」としなかったのはよかった!
だけど、押しボタン式と同じく、音響式もあえて表示する必要はないように思えなくもない。音響式でない信号だって視覚障害者は横断することがあるのだし…
【18日追記】一方、歩車分離・スクランブル式や時差式では、表示板設置によって信号誤認や思いこみによる事故を防止する一定の効果がある。過去には、神奈川県で時差式の表示がないことで事故になったとして、裁判になったことがあった。
ということで、千秋城下町交差点は、歩行者信号が青の間、ピヨピヨカッコーの音が鳴る(スピーカーごとに音の種類と鳴るタイミングを変えた「異種鳴き交わし」式なので方向感覚もつかみやすいはず)ようになった。信号サイクルは変わらず。(地下道撤去・交差点改良時にまとめて工事すればよかったのに…)
もう1か所音響式になったのは、楢山登町の登町上丁バス停近く(氷屋さんがあったところ)の押しボタン式信号。「押ボタン式信号」と「音響式」の表示板が並ぶことになった。
「ボタンを押してください」とかしゃべるわけではなく、青信号の間、ピヨピヨ鳴り、点滅時はピーポーピーポーと鳴る。(千秋城下町の点滅時は
ところで、千秋城下町の上の写真とは反対向きの信号機は、アームが短い。
「千秋城下町」は別の信号機に設置
以前は2枚の表示板が中央寄りにすき間を開けて取り付けられていた。
現在は3枚の表示板がキツキツに設置されている。従来の2枚を右へずらして詰めて、左へ1枚増設したため、すき間がないどころか板どうしが重なっており、右の「時差式信号」の左側の枠線が見えない。
裏側
時差式→歩車分離→音響の順に、端がわずかに重なって取り付けられている。時が経てば汚れやサビがたまっちゃいそう。
秋田県では今後は、時差式や歩車分離でも「時差式」「歩車分離式」と「信号」を略す表示板になるのだろう。
なお、昨年度末に設置された押しボタン式歩車分離式の交差点では、
「押ボタン式/歩車分離信号」
「歩車分離」のほうには「式」がなかった。
今年度以降、これを設置するとすれば「押しボタン式/歩車分離式」なのかな?
【19日追記】千秋城下町は3枚の機能を示す表示板が別々に設置されているのに対し、押しボタン式歩車分離では一体化している(保戸野の既存の歩車分離に押しボタン式を追加したものでは、既存の板を撤去して一体化に交換した)。千秋城下町はそれぞれが独立した別々の機能で、それがたまたま3つ共存しているだけなのに対し、押しボタン式歩車分離は、押しボタンと歩車分離が連動した密接な関係にある機能だから一体化した表示にしたのかもしれない。
【18日追記】ニッポン放送系ラジオ11局が、毎年クリスマスに「ラジオ・チャリティー・ミュージックソン」というチャリティー番組を放送している。「通りゃんせ基金」として募金を呼びかけて視覚障害者のために活用される。その名の通り、当初は音響式信号の設置が目的だったものの、現在はそれ以外にも点字図書や教材など幅広い分野に使われている。
青森放送やIBC岩手放送も参加しており、青森では「RAB通りゃんせ基金」と表示されたボックスが道端に立っている(弘前のヒロロ前とか?)。秋田放送では参加していないけれど、秋田では比較的音響式信号が増えていると思う(少なくとも弘前市よりは)。秋田県が自腹で設置しているということになろう(それが本来のやりかた)。
※その後2024年時点では、「信号」なしの表示板は継続して採用され、既存表示板の更新も進んでいる。文字の太さについて。
制度として、「盲学校、聾学校及び養護学校」が「特別支援学校」となったのは2007年度からで、秋田大学附属はこの年に変更されています。
秋田きらり支援学校が開校したのは2010年ですので、養護学校とはせず、当初からこの名称とされています。
盲学校と聾学校は、この時点ではきらり支援学校と同居移転しただけなので、名称変更されませんでした(する機会ではあったと思いますが)。
秋田県では言われていないですが、盲とか聾という言葉に対する、差別的ニュアンスからさっさと校名改称したところもあれば、逆に言葉の本質的な意味から変えないでほしいという運動が起きた地域もあったようです。
信号機の標識については、その辺の経緯があったかは不明ですが、統一的な見解が定まらないところがあるということかもしれませんね。
言葉の意味としては、新旧でイコールではないし、障害を障碍、外人を外国人とするような、どこかパフォーマンス的な空気も感じます。
信号機では、無難なところで決着したのかもしれないし、単に文字数が少なくて判読しやすいからかもしれません。
今回書かれた記事は看板系のネタなので、その中で一つ気になったものを…
秋田県では「時差式信号」と表記されていますが
警察庁の通達では「時差式信号機」の6文字にするよう指示されています。
僕が住む北海道では古くから6文字で統一されており、通達が出てから6文字に改称した地域もあるようですが
秋田みたいに通達に従わず独自の表記にしている地域も多くあるようです。
へえ。正式には「~信号機」と表示する決まりなのですね。従わない都道県もけっこうあることになりますが、おそらく読みやすさを考えているのでしょうから、理解はできます。
東京都などでは、□と■を組み合わせた市松模様ですが、最初見た時は戸惑ったし、いまだにどうして時差式=あの模様なのか理解できません。まあ、覚えてしまえば遠くからでも分かりやすいですが。
確認したところブログのメッセージ送信機能としては正常に作動しているようですので、いまいちどそちらの操作や設定をご確認願います。