広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

入院患者の1日

2024-06-25 23:51:23 | 入院
久々の入院カテゴリー。前回はお世話になる人たちについて
今回は、(病状が安定している)入院患者の1日の流れについて。
【29日補足・この記事は、2023年度の秋田大学医学部附属病院のある診療科での入院体験を、素人の視点で記したものです。病院、診療科、時期等によって違いがあること、間違いや勘違いがあるかもしれないことをご了解の上、ご覧ください。】

全国のたいていの病院において、6時起床、朝食7時30分、昼食正午、夕食18時、21時就寝とされている。根拠は何なんだろう。
入院経験がなかった頃、そんなスケジュールを聞いて、食事はともかく、寝る時間が大変だと思っていた。病人とはいえ、夜9時に寝かされ、9時間も床に入っていなければならないのは、つらいのではと。
僕は子どもの頃から宵っ張りだった。昭和だと、小学校中学年くらいまでは20時~21時に寝る子も珍しくなかったと思うが、僕は21時40分の「ニュースセンター9時」が終わって、「銀河テレビ小説」の流れ星のオープニングが映るところまでは起きている子だった(そのわりに、大人になっても夜更かしはさほど進まず、徹夜はできないのだけど)。【26日補足・だから、「夜9時に寝る」経験は、乳幼児や発熱時以外では、今回がほぼ初めてかも。】

実際、入院してみたら、21時に寝るのは、早々に慣れて苦でなかったが、どうがんばっても(?)8時間寝るのが限度。
毎日のように、5時過ぎには目が覚め、(真冬だったので)まだ暗い中で、起床時刻を待ちわびた。【26日補足・欲を言えば、22時就寝にしてもらえたら…】


では、起床から順に、主に平日の1日を記す。
6時00分、起床。
放送が流れたり、自動で照明が点いたりはせず、看護師が各部屋を回って、「おはようございます」と言いつつ(たまに無言の人も)スイッチを点けていく。
数分遅れることも多く、待ち切れない患者が点けることもある。外の明るさ次第だが、窓際の患者はカーテンを開けることが多い。

病棟によって多少異なるが、起床から朝食までの間に、体温や体重を測るよう求められる。各カーテンの中から、チロチロチロという、オムロンの電子体温計の音が聞こえ、廊下にある体重計へ向かう人がいる。
それでも、患者たちが一斉に動き出す、というほどでもない。トイレ・洗面台は各病室にあるし、まだベッドから出ない人もそれなりにいた。

患者が起きると、看護師も忙しくなる。
看護師は、消灯中かどうかに関わらず、交代で休憩(仮眠?)を取っているらしく、出勤者が全員揃うわけではなさそう。
各看護師が、その日担当する患者全員に、朝のあいさつを兼ねて、寝られたかどうか、体調や体温を尋ねて回る。点滴などの時間が決められた患者には、その処置もする。
だから、すべての患者に看護師が来ることになっているが、そのタイミングが違う。病棟の方針や看護師の休憩シフトの関係で、6時05分に来ることもあれば、7時前後になることもあった。患者としては、顔も洗ってないところに来られるとあわてるし、なかなか来ないと、無駄足をさせるのも気が引けてトイレに行こうか迷う。

あとは朝食まで自由。
僕はテレビを見ながら、お茶を飲んで、病棟内を少し歩いて、窓から外を眺める【26日補足・上のフロアだったので、時期的に、新雪で真っ白な街並み(地上では除雪や寒さで大変だろうけど)や、山から日が昇るのを見られた】などした。
娑婆(シャバ)のあわただしい朝と比べると、起床後、朝食まで1時間半あるのは長くて持て余す。
というか、(病状等により行動が制限されている患者は別として)消灯時間以外は病院内のどこへ行っても、基本的には何も言われない。病棟を離れる時に報告するような義務付けもない。ただ、診察や検査の予定は最優先するべきだし、感染予防のため、混み合った時間に売店や外来病棟を歩き回るのはやめたほうがいいでしょう。

外来棟1階の売店・ローソンは7時開店。1度、Wi-Fiを借りに6時50分頃から行ってみた。外来棟の廊下の照明は滅灯されていて、警備員も見かけたが、通行制限などなし。
ローソンが開店すると、ちらほらと、患者がやってきた。続々というほどでもないが、店内に常に数人の客はいる状態で、なかなか繁盛。
高齢の男性が多く、ほとんどが新聞を買っていた。そういう需要があるのか。


7時30分、お待ちかねの朝食。病棟や部屋によっては、5分以上遅くなることもある(昼・夕も同じ)。きゅるきゅるという、電動アシスト付き配膳車の音が待ち遠しい。

朝食後、患者としては少しゆっくりしたい。しかし、歯磨きやトイレは早めに済ませたほうがいい。8時30分頃から9時過ぎにかけてが、けっこう忙しいので。
まずは、朝食を食べた量や、食後の服薬の確認に看護師が訪れる。これが夜勤担当者との最後の接触。
8時30分過ぎ、日勤担当の看護師があいさつに来る。並行してスタッフステーションでは、夜勤から日勤への申し送り(引き継ぎ)がされている。

そして、担当医による回診が行われる。
この時間帯は、極力病室にいるようにと言われた病棟もあった。
時刻は医師個人個人で違う。8時半辺りに来る人もいれば、9時半近くの人も。スケジュールの都合で特定の曜日だけ早く来ることもあるし、同室の他の患者に「お食事中すみません」と言いつつ朝食中に来る先生もいた。

回診は、診療科によって、実施方法が異なる。病室の患者のカーテンの中へ入って来ることもあれば、ベッドでは診察できない部位・病状の患者を別室(病棟内の処置室)へ呼んで診察することもある。
ベッドでの回診は、症状が安定していれば、「おはようございます。変わりありませんか」「明日、採血とレントゲン(の検査予約)を入れましたので、その結果で次の方針を決めようと思ってます。では」程度で、10秒もしないで終わることも珍しくない。【26日補足・患者と医師が直接会話できるのは、1日の中で回診時だけのことが多い。だから、伝えたいことや質問があれば、この機会を遠慮なく使うべき。】

平日は毎朝が原則のようだが、医師の都合で来なかったり午後のこともある。土日祝日、年末年始など、担当医が出勤しない日は、特段気になる状態でなければ回診なしだったり、科内の複数の医師で組織する「チーム」の他の医師が来たり、診療科で違うようだ。
また、曜日によっては、チームに属する医師全員が来るチーム回診や、科長である教授による教授回診のこともある(後日また)。

回診が終われば、僕の場合は気分的に一息つけた。実際、この後は、診療・治療は丸一日何もない場合もある。
とはいうものの、午前中のルーティンはまだある。


採血がある時は、9時過ぎに病棟の看護師がベッドへ来て行う。
それから少しして、担当看護師による血圧などの測定(バイタルチェック)。日曜以外は清掃の人が、カーテン内・ベッド周りも掃除に来る。曜日によってはレンタル病衣の補充、シーツ類の交換も。

10時前後は退院と入院の時刻。看護師はその対応、看護補助者とともに空いたベッドの片付けなど忙しくなる。

10時過ぎから昼前(昼食に重なってしまうことも)にかけて、外来病棟がいくらか落ち着いた頃。X線等の検査や、診療科外来での診察や治療が入っていた入院患者に、お呼びがかかる。
検査や診察の予定は、患者に事前に知らされる。上記、回診時のほか、看護師も前日や当日に教えてくれる(病棟によって紙だったり口頭だったり、たまに忘れられたりしてしまうのだが、スマホで通知するとかできないものだろうか)。
でも、その日の「いつ」呼ばれるかは、基本的にまったく分からないので、緊張して待つことになる。
他の診療科での診察は、さらにドキドキ。主治医から、その診療科に対して、依頼というかカルテを回す(電子的に)らしいのだが、受けた診療科側では、1.カルテを見て判断するだけ、2.医師がベッドまでやってきて診察する、3.患者を外来病棟に呼んで診察する、という、主に3つの対応があるようだ。1だと待ち続けたあげく拍子抜けするし、2だとお初の医師がいきなり現れて緊張するし、まあ3でもそうだけど。
看護師に尋ねても「向こうの科がどう対応するか分からない」そうだ。僕は主治医が「カルテを見るだけだと思います」と言ったのに、実際には外来に呼ばれて、しかも教授が診察してくれたことがあった。


12時、昼食。
昼後に看護師が食事量の確認に来た後、午後は、おおむね、思い思いにゆっくり過ごせる。看護補助者がベッド周りの整理や消毒に来てくれる(お掃除とは別)のは、午後が多かったか。
検査等が入ることは少なく、僕は1度もなかった。シャワーを浴びるのもいい(消灯時間外は30分刻みで自由に使える)。
下のローソンは、昼前後は外来患者と職員の利用がとても多くて大繁盛なのだが、それも一段落して、買い物しやすくなる(16時まで待てばポイント2倍になるけれど)。

ところが、主治医が現れることがある。
「検査結果が出ました」とか、他病院への出張診察や授業で、朝の回診ができなかった日に「これからちょっと診せてください」とか。
1度、ローソンへ行って戻ってきたら、「特に異常はありませんでした」と書き置き付きで検査結果の用紙がテーブルに置かれていたことがあった。お忙しい中、わざわざ来てくれたのに、留守にしてしまって申し訳なかった。それでも、おやつをローソンに買いに行きたい時は、行ってしまおうかどうか、悩ましくもあった。

そんなこんなで16時を過ぎれば、翌日の検査・診察予定を看護師が伝えに来てくれる。紙で知らせる病棟は不在でもいいが、口頭の病棟では、その機会を逃せば聞きそびれるおそれもある。何より看護師にも申し訳ないから、やはり不在にはしづらい。
さらに16時半を過ぎれば、夜勤担当の看護師があいさつに来てくれる。
夜勤のあいさつ後、夕食までの間、17時台が、いちばん心理的縛りがなく自由に過ごせる時間かも。


18時、夕食。
食後に看護師が確認に来て、後は消灯まで自由だけど、3時間ない。うかうかしていると寝なければいけなくなる。
20時を過ぎると、寝る前に点滴等をする患者が多くて、少々あわただしいことも。
シャバと比べて、朝の時間は長いが、夜の(起きている)時間は短いのが、入院生活だと思った。


21時。看護師が各部屋を回って、照明を消していく。
「電気消します。おやすみなさい」と言う人、1人ずつカーテンをのぞいてから消す人、何も言わずに消す人、さまざま。

病院によっては、消灯後も22時まではテレビを見ていいところもあるようだ。秋田赤十字病院では、テレビは21時までだが、22時が「ベッドランプ消灯」と2段階になっており、読書程度はできるのかも。
秋大病院は21時で完全消灯。スマホをいじるくらいなら、公認か黙認か知らないが、なんとかなるかも。
ただ、部屋も廊下もほぼ真っ暗になり、ベッド間は遮光カーテンではないので、スマホの画面の明かりが強く感じられ、隣のベッドまで届いてしまう。
5時に目覚めた時は、極力光をもらさぬよう掛け布団の中で、スマホをいじった。隣の人に迷惑じゃないかな…と見ると、隣のカーテンの中もうっすらと明るくて、みなさん同じようだった。気にする人は気にするだろうから、要配慮。

各病棟に1室ずつある「デイルーム」は、患者が24時間使用できる。テーブルと椅子、サントリーの自動販売機(硬貨専用。ラインナップは微妙)があり、昼は面会、夜眠れない時などに使う。大画面テレビもあり、消灯中は使えない旨書かれていた気もするが、見てもいいと話す看護師もいた。

消灯中は、看護師が、1~2時間に1回程度、見回る。
カーテンのすき間からのぞいてLEDライトで照らして、患者の顔を確認することが多い。それで目覚めてしまうこともあるけれど。

そうしてまた、新しい1日へ。

土日祝日、年末年始は、検査等はなく、午後に医師が来ることもまずなく、ローソンは朝から空いていて、平日よりもだいぶのびのびできる。年末に回診に来た先生は「特に予定はありません。退屈でしょうけど、ゆっくりしてください」とおっしゃって、その通りにさせてもらった。
看護師の人数も少ないようだが、それでもやることは多く、相変わらず忙しそうだった。入院病棟には休みはなく、それを動かす人たちのおかげで、患者は日々を過ごせる。

【26日追記】リハビリなどがあれば別だが、患者は1日中ベッドにいて構わない。でもそれだと、足腰以外にも、気分的にも弱ってしまう気がしたし、カーテンと天井しか視界に入らなくて(僕は布団派なので、ベッドだと天井が近くて圧迫感を受けた)、近眼が進んでしまいそうだった。特に窓がない廊下側のベッドでは。
少しでも、ベッドの外、病室の外へ出るように心がけたほうがいいと思った。
コメント (2)
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