広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

羽後岩谷駅

2024-06-10 23:59:00 | 秋田の季節・風景
5月初め以来の羽越本線。
由利本荘市(左)と秋田市の境
くもり空。日本海は穏やか。男鹿半島はうっすら。

市境の小さな川。線路と並行する県道56号(バイパス・下浜道路開通前は国道7号)の橋は「雪川橋」と標識が立つ。また、由利本荘市側の地名は「岩城勝手字雪川」。
ということで、この川の名は「雪川」だと思っていた。
ネット上に情報は少ないが、実はそうではなかった。国土交通省東北地方整備局「水系別総括表」によれば、これは準用河川「雪川川」。準用河川は市町村管轄で、ここでは秋田市でなく由利本荘市管轄。
ちなみに、この少し北、秋田市下浜で、同じくらいの川が、同じようなシチュエーションで存在するが、そちらは「鮎川」だと思っていた。
こちらは「下浜鮎川」が正式だそうで、県管轄の二級河川。由利本荘市には、一級河川・子吉川水系の支流に「鮎川」があるそうなので、秋田県としては識別したいのか。

羽後岩谷手前。田植えも終わった

羽後本荘の1つ手前、羽後岩谷(うごいわや)駅で下車。由利本荘市、2005年まで大内(おおうち)町。
3番線・秋田方向
北側の単式ホームが3番線、南側の島式ホームが1・2番線。1番線が上り、3番線が下りで、2番線はレールはあるが草が茂り、架線は撤去されている。
3番線・羽後本荘方向
全般に古い構造物ばかりだが、どちらのホームにも待合室があり、3番線はとても長く感じた。今は普通列車のみ停車し、一部が3両編成、ほとんどが2両編成。快速があった頃は羽後岩谷に停まっていたが、国鉄時代は急行でも停まっていたことがあったのだろうか。調べた限りでは、「天の川」「きたぐに」「しらゆき」は通過していた。

羽後岩谷駅は、Wikipediaでは「地上駅」と分類されているが、「橋上駅」ではないだろうか。出札窓口と改札口は、跨線橋の上にあり、そこから線路の両側へ下りられるのだから。
ただ、現在は窓は閉まり、改札も行われていない。無人駅。

国鉄時代1981年から(当時は大内町へ?)簡易委託されていた。秋田地区では簡易委託でも、集札(降車客のきっぷ回収)を委託駅員が行う駅があり、羽後岩谷もそうだった。
2023年春に、由利本荘市内の4駅(ほかは岩城みなと、羽後亀田、西目)が一斉に無人化された。無人化の打診はJR側からあったようだが、由利本荘市が売り上げ低迷と、人件費節減のため決定。
改札外側から。「電車のりば」の言い回しが、路面電車とか私鉄っぽい
跨線橋から階段を数段上ったところに窓口があり、以前はこの前で委託駅員が集札していた。今はひっそり、そして薄暗い。
無人化されても、自動券売機はおろか、乗車証明書発行機さえ設置されていない。ワンマン列車乗車時は、(前の車両の後ろ寄りドアから乗って)車内の整理券を取ることになり、秋田駅の自動精算機では精算できないことになる。降車時は、いちばん前のドアだけが開き、きっぷは車内の運賃箱へ。

改札を出ると、左右に自由通路がつながっている。
左(北)方向に長く、先で簡単な出口へ下りる。そこは国道105号の「道の駅おおうち」【11日補足・道の駅は指定管理者が交代するため、2024年6月以降、一時営業しない施設があるので注意】。伝承館や体育館もあり、昼は人も車も多い。
当ブログでは、以前取り上げたと思って、今回は写真を撮らなかった。実際には、産直の食べ物やコミュニティーバスを取り上げただけで、道の駅自体や全体像はまだでした。またいつか。→今回、道の駅で買った加工食品について

初めて、反対の南側へ行ってみた。
改札のすぐそばに地上への階段がある。直接真下へつながる階段と、夜間は閉まるという建物の中へつながる階段の2つ。後者のほうへ。なお、自由通路にはエレベーターもあるが、改札内にはなし。
階段の踊り場のようなスペースがある。点字案内では「中二階」ということになっていた。
けっこう広く、明るい
色あせた地域を紹介する写真パネルが掲出され、黒いピンク電話(硬貨専用)、ベンチがある。ベンチは背もたれはないけれど、座布団のおかげかふかふか。
改札口前にも、多少のベンチがあったはずだが、こちらのほうが快適。どちらにしても、通常時は案内放送などはないので、乗り遅れ注意。
さらに階段を下って1階へ。
またベンチ
飲料自動販売機と、トイレもある。もちろん道の駅側にも自販機とトイレがあるので、その点ではこの駅は充実している。【18日補足・改札内には自販機もトイレもなし。】

建物内には、ほかに貸しホールなどもあるようだが、閉まっているし、ネットでも情報が少なくてよく分からない。
建物正面。奥行きより横幅のほうが長いかな
左側には「JR羽後岩谷駅」と表示はある。
右には「PR館おおうち」。正式には「由利本荘市PR館」で、同条例第1条は「羽後岩谷駅舎と複合させた新たな顔づくりとして、商工業振興の核となる総合的な情報拠点を目指し、観光及び特産物のPRを推進するため、由利本荘市PR館おおうちを設置する。」。
これをもって、羽後岩谷を地上駅としているのかもしれないが、公共施設ではあるが駅としての機能はないから、やはり駅舎ではないような。
ともかく、今は由利本荘市の施設のようだ。

道の駅、自由通路、PR館は、いずれも2000年にできた。
その当初は、PR館には大内町商工会が入っていて、駅舎と商工会の合築ということだったらしい。当時は大内町役場は関与していなかったのだろうか。
現在は、商工会も合併して由利本荘市商工会となり、その大内支所は、市役所大内支所などが集まる、近く別の場所(古そうな建物)にある。
左が自由通路へ直接上がる階段。公衆電話ボックスも
ここの自由通路の愛称は「ぽぽロード」。金文字が輝く。
秋田市の秋田駅の自由通路は「ぽぽろーど(全部ひらがな表記)」。完成は羽後岩谷のぽぽロードがわずかに早く、以前ちょっと触れたように、秋田のぽぽろーど決定時には、ちょっと問題になった。秋田市民として恥ずかしい。

羽後岩谷駅前の風景
国道105号の旧道がこちら側だが、少し先で、駅前は通っていない。上記の通り、役所なども少し離れたところにある。そちら方面には若干ある店も、駅前にはなく、民家ばかり。【12日補足・役所支所付近も含めてコンビニはなく、食堂や食料品店・酒店があるかなという程度。】
屋根付きの立派なバス停
これも2000年整備だろうか。両方向に同じバス停がある。
「羽後岩谷駅前」本荘行き側のポールは地面に埋まる
羽後交通の路線バス「岩谷線」が本荘市街とつながっている。折り返す終点は道の駅側なのだが、その前にこちら側にも立ち寄る。運賃区分が異なるため、駅前で乗降したほうが安くなる。減便が進んで、平日5本、休日3本。【11日追記・大内地域内を走る由利本荘市コミュニティバスは、道の駅発着で、駅前側には入らない。】


休日だったからかもしれないが、南側では建物内も外も誰一人、いや車の1台も見かけなかった。道の駅のにぎわいとは対照的。いっしょに電車を降りた人も、道の駅へ迎えの車が来ていた。
ちあきなおみの「喝采」に歌われる「ひなびた町の昼下がり」とはこんな情景なのかと思ったりもした。羽後岩谷に限らず、市町村合併、人口減少を経て、あちこちでこうなっていくのかと、しんみりしてしまった。
PR館内は、天候と空調未作動のため少々暑くて、人がいなくてなんだか心細くはなったものの、清掃や管理は行き届いていた。それだけにもったいなくも思った。【11日追記・PR館といいながら、ピーアールはほぼしていないのも、なんだか。PRは道の駅側に任せたほうがよかったのでは。】
コメント (2)
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