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秋田市のバスにもIC乗車券

2020-01-24 21:06:48 | 秋田のいろいろ
秋田市内の路線バスなどに、2021年春にICカード乗車券が導入されることが、ほぼ確定した。24日付秋田魁新報が1面(の左上)で「秋田市内のバス 交通系ICカード導入 市と事業者21年春開始へ協議」を報じた。他のマスコミは未報道か。【その後、1年遅れて2022年春導入予定となった。下の2020年11月30日付追記参照】

1月23日開催の秋田市議会建設委員会で、市側から報告があったもの。2021年に向けて市とバス会社とで協議を進めており、市からバス会社への補助制度を設ける方針。
あくまで秋田市主導の事業。記事には車両の写真(西口で飯島北行きとして乗車扱い中の1403号車の背中)が載っているだけで、「秋田中央交通」とはひとことも出てこない。でも、実態として中央交通に導入されるのは確実。※以下、中央交通に導入される前提で進めます。
・Suica、PASMOを始めとした、全国の主要交通系「10(テン)カード」導入を見こむ。
・一般路線バスのほか、空港リムジンバス、秋田市中心市街地循環バス(ぐるる)、秋田市マイタウン・バス(郊外部の廃止代替バス)にも導入。
といった内容。

秋田市主導で検討していることは以前から触れている通り。時代の流れとしては当然で、やっとというかついにというか、あまり感慨はない。詳細が固まっていないこともあるし。
事前に、23日に委員会が開かれICカードについての話が出ることは知っていたので、ひょっとしたら先送りとか「導入しません」とかにならないかと少し心配していたが、そうならずに済んだ。

まだ検討段階だろうから、魁の情報では疑問点も。(以下、以前の内容と重複もあります。)
・10カード導入ということは、独自規格のICカードは作らないということか。
先週、岩手県交通が、盛岡市内などの路線バスで2021年春からSuicaの「地域連携カード」を導入することを明らかにしている(岩手県北バスでも協議中で、県交通と共通化したい模様)。
秋田市のもそんな感じになるのか? ポイントとか割引はどうなるか。

・ぐるる、マイタウンバスにも導入。
空港リムジンバスでも使えるようになるのは、分かるし、カード利用者が多くなるのが予想できる。
秋田市がバス会社に委託する、ぐるるとマイタウンバスでも使えるのは、便利ではある。
でも、ぐるるのような100円バスでは、他地域では二重の割引になる、現金限定で特別に100円にしているとの理由で、100円は現金支払いのみとしている例もある。【27日補足・現行のぐるるでも、定期券・回数券だけでなく、障害者などの割引証も使えない。子どもは無料で、大人は誰でも現金100円(またはぐるる専用一日券300円)という潔い料金体系。】
また、マイタウンバスは、中央交通系列に委託しているエリアならまだ分かるが、それ以外のタクシー会社などに委託している地域でも使えるのか。現行は、中央交通の回数券が使えるはずだから、その経緯での代替措置なのかもしれないが、タクシー会社などにも補助を出して機器を設置させるのか。
あと、秋田市内に2路線だけ乗り入れる、羽後交通は対象になるか?(後半に多少関連した話あり)【24日追記・高速バスだけだけど秋北バスも】

・高齢者コインバスは?
100円といえば、手続きした高齢の市民が、一般路線を区間に関わらず1回100円で利用できるコインバス事業はどうなる?
秋田市内の一般路線利用者の一定数を占める層だけに、ここで使えれば一気に普及するし、高齢者の支払いも楽になるだろう。でも、カードの区別や仕様が複雑になるかもしれないし、使いたがらない高齢者もいそう。
【3月6日追記】コメント欄も参照。3月6日付広報あきた1956号に令和2年度秋田市当初予算案の概要が掲載された、その中に「交通系ICカード導入の推進」と別枠で「高齢者コインバス交通系ICカード導入の推進」があり、「コインバスもICカード対応とするための費用を、バス事業者に対し補助します」とあった。

・秋田市外は?
中央交通では、秋田市内から市外(五城目、天王グリーンランド)へ直通する路線もある。
隣の潟上市では、市民または市内への通勤者に割引券を交付し、五城目線と追分線の潟上市内区間を100円で乗車できる制度がある。秋田市内に乗り越す場合は、境界の追分三叉路からの運賃を別途払えという掲示が車内にあったと思う。そういう場合は、カードでは処理が面倒になる。

秋田市で導入されるなら、中央交通の秋田市外で完結する一般路線(ほとんどなくなったか)、各市町村が中央交通系列に委託するマイタウンバスでも…ということになりそうだけど、これは秋田市の事業だからそこまで面倒は見られない。
周辺市町村も同様の対応を取るか、中央交通が自前で準備するか。やらないのか。

・紙の回数券は?
ICカードが導入されれば、紙の回数券は不要。しかし、上記のように市外では使える路線は残るとすれば、全廃にはできない。共存するのか。
紙の回数券には、割引率が高い、買物回数券と通学回数券もあり、それがカードでも継承されるのかは、心配。

・乗り継ぎは?
秋田市の路線バス網は秋田駅一極集中。駅を越えて市内をバスで移動する場合には、ほぼ必ず乗り換えが生じ、現行では初乗り運賃相当額を二重に取られる。
ICカードなら、個々の乗り継ぎ経路を把握でき、初乗り分を1度しか課さない通し運賃の計算ができるはず【24日追記・もしくは2度目の運賃を一定額値引くとか】。そうなれば、実質値下げになり、乗車頻度も増すと思っているのだが、どうなるか。


ツイッターなどでは、秋田市出身で帰省した人などが「中央交通まだスイカ使えない」などと嘆く投稿が時々見られる。
たしかに、運賃表示を見て小銭を用意して払うのは、特に荷物がある時など大変だから、そう思うのも理解するし、やっと解消されそうなのはよかった。

でも、経営が楽ではないバス会社にとって、システムの維持費用が新たにかかることになる(そこまで全額補助が出るわけではないでしょう)。上記、割引率のいい回数券の廃止とか運賃値上げにつながらないとは言い切れまい。
帰省する人は、乗ったとしても年に数回だから、それでもいいかもしれない。
だけど、ひんぱんに、もしくは毎日乗る人にとっては…支払いがスマート・スムーズになったけど、負担が増えるという事態は困る。
そして、市内在住者でも日頃バスに乗らない人が、カード導入で新たに利用するようになるか。それは微々たるものだろう。
そんな費用があるのなら、乗務員の待遇改善とか増発することで、接遇や利便性の向上といった使いみちのほうが、総合的にはいい場合もなくはないかも。
個人的には、ICカード導入は基本的には歓迎するけれど、そういうことを考えると若干の引っかかりもある。「諸手を挙げて」ではなく「片手を挙げて」程度の歓迎かな。いずれ詳細が決まれば、また違う考えになるでしょう。※この記事最後に多少の続き。


そして、JR東日本の鉄道でのSuicaは?
盛岡のバスでも2021年ということで、その時に、鉄道でも盛岡支社・秋田支社(・その他各支社も)そろってとなるか。→北東北3県庁所在地周辺で2023年春導入となった

さらに、青森県のバスでは。
魁の報道では、交通系ICカードが「導入されていないのは、本県と青森、徳島の3県のみ。」としている。
導入の計画が出ていない、青森県と徳島県の県庁所在地には、どちらも市営バスがある。※徳島市営バスは民間委託化を進めていて廃止予定。
公営事業者は積極的かと思っていたが、むしろ保守的なのか。
【25日追記】上記3県は、県内全域で一切未導入という意味らしい。したがって、「県内のどこか、ごく一部分だけでも、バスか鉄道のどちらか片方でも」導入されている県はカウントされない。したがって、県庁所在地のバスでもICカードが使えない土地というのは、このほかにもまだいくらかは存在する。また、独自規格のICカードだけでSuicaなどは非対応のところもけっこうある。

【2020年11月30日追記】その後、新型コロナウイルス感染症対策名目もあり、青森市や八戸市でも、2022年春頃までIC乗車券を導入することが発表された。
秋田市は動きがないなと思っていた、11月30日、中央交通・市・JR東日本(本社)連名で「秋田地域における「地域連携IC カード」を利用した IC 乗車サービスの提供について」が発表。一般カードは2022年3月頃を目途に開始。高齢者コインバスは2022年秋頃予定。当初計画と変わらず、路線・リムジン・ぐるる・マイタウンに導入。
同日の秋田市議会でも、その旨説明があったそうで、NHK秋田のローカルニュースで、ごく簡単に伝えていた。
秋田市が予算を確保したのだから、2021年春は確定だと思っていたので、1年「も」遅くなったのは、ちょっとがっかり。でも、JR東日本も関わってくれるし、盛岡と青森と同時並行の形なので、立ち消えということはないだろうから、安心もした。しっかり準備をしてほしい。
【2020年12月1日追記】↑翌朝12月1日付秋田魁新報では社会面で報道。「カードの名称やデザインは中央交通が今後検討する。」「総事業費は約4億7千万円。(そのうち)市が負担するのは約3億2700万円。(市負担の内訳は)中央交通にシステムやカード導入費用として約2億7800万円を補助するほか、マイタウン・バスに約4900万円を投入する。」
カード作成は中央交通主導になりそうな気配。となれば、公募でなく商工会議所つながりで地元のデザイン会社かなんかに頼んで済ませそうな予感。あるいは、岩手・青森と歩調を合わせて、名前やデザインに共通性をもたせることもできそう。




秋田市議会建設委員会が開かれた1月23日の河北新報サイトに、秋田市や中央交通とはまったく無関係の秋田県内での動きが報道されていた。
羽後交通の路線バスでスマホ決済実験 専用アプリで初期投資低額に抑える 横手
羽後交通の横手市内2路線限定で、スマホを介した運賃支払の実験を行っているというもの。1月24日から3月いっぱい。

羽後交通のサイトも参考にすれば、日立製作所の「B.APP」というダウンロード不要のアプリ(ブラウザ内で動作するという意味らしい)を使う。
事前に決済手段(アプリにひも付けるクレジットカード等)を登録。乗車時は従来通り整理券を取り、車内のQRコードを読み取った上で、アプリで乗降場所を選択。降車時に整理券とスマホ画面を提示して、客自身が「運賃確定」操作をすることで決済するというもの。
バスの車両側ではQRコードを掲出するだけで設備投資はいらなそうで安くつく。客としては整理券は必要だし、両手を使うし、手間は多そう。若者が多い路線を対象にということだけど、若すぎてクレジットカードを持てない人は他のどんな決済ができるのか。
【25日追記】25日付秋田魁新報社会面で報道された。
新たに分かったことは、乗車がQRコードを読んだ後で「事前に金額が分かっていれば運賃一覧から選ぶ」こともできる。羽後交通のコメントとして「スマートフォンをあまり使わない高齢者への対応も考える」。
運賃額で指定することもできるそうだが、間違って違う額を指定してしまい、降りる時まで気付かなければ、その修正処理に手間取りそう。(以上追記)

羽後交通は位置情報アプリも提供しているし、限られた中で、自発的(=市を頼りにするなどせず)に新しいものを取り入れようとしている。とりあえずは、その積極的姿勢を評価しておきたい。
コメント (40)
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