アフターデスティネーションキャンペーンに連動して発売されている、復刻駅弁。
まず、先日食べた「鶏樽めし」の続報2つ。
秋田駅中央改札口前(改札外)のNEWDAYSでは、先週末は先々週よりも大量に入荷しているようで、ケースの4分の1くらいを占めていた。通常の鶏めしと特上鶏めしもあったが、それらはいつもより少なく10個もなかったのではないだろうか。
日頃から鶏めしがわずかに売られる、秋田駅前のフォンテAKITA地階のスーパー「ザ・ガーデン自由が丘 西武 秋田店」でも、鶏樽めしも5個ほど置いてあった。
そんなわけで、期間限定とは言うものの、かなり入手しやすくなっている。
もう1つは、鶏樽めしに入っているカマボコ「いそべあげ」。
秋田市の「宮城屋蒲鉾店」で製造終了となっていた製品を、鶏樽めしのために再度製造してもらっているとのこと。
秋田市の通町にある宮城屋の店舗では、月例の商店街の「通の市」などに合わせて、時々、カマボコのパック詰めを販売している。
「寅巻」のような長いカマボコをカットしたものが何種類か入っているのだが、それに混ざって、
いそべあげ!
こんな所で会えるとは!
花善向け専用としての復刻ではなく、製造中は一般向けにも発売してくれるのだろうか?
それとも、たまたま余っていたからパックに入れたのだろうか?
この状態で味が付いていたから、鶏樽めしにはそのまま載せているだけなんだろう。
さて、もう1つ復刻されたのが、秋田駅で古くから駅弁を売っている「関根屋」の「稲庭割子」。稲庭うどんの駅弁である。
「稲庭うどん」は最近は全国的にもかなり認知されているようだけど、秋田県内陸南部、湯沢市稲庭地区(平成の大合併前は稲川町)特産のうどん。平らで細くてのどごしが良いのが特徴で、うどんとしては高級品の部類。秋田では贈答品としても用いられる。
関根屋の公式ホームページには、稲庭割子の情報は一切なし。ウェブマガジン「旅色」10月号で牛めしが紹介されたことはアップされているので、「放置」ではないわけだが…
一方、JR東日本「駅弁味の陣」ホームページでは紹介されている(http://www.ekiben-ajinojin.com/ekiben/detail.php?id=9)。「昭和61年頃~平成7年に季節限定商品として販売され好評を博した」とあるが、それ以降もしばらく受注生産はしていて、完全になくなったのはここ10年くらいだろうか。
秋田駅NEWDAYSでは大量入荷の鶏樽めしとは対照的に、今回も昼前の段階で1個だけ売られていた。
製造所が近いので頻繁に納品されるのかもしれないし、麺だからあまり作り置きすると「伸びる」のかもしれないけれど、昼前なのに1個だけとは寂しい。
稲庭割子 1000円
発泡スチロールと紙でできた平らな黒い容器。消費期限は一般的な駅弁並みの、製造後12時間か。
掛紙には「秋田名物 いなにわうどん 稲庭割子 つけ麺」「三百年の伝統を誇る手造りの味」とある。
品名や原材料が書かれたシールでは「いなにわ割り子」表記となっている。
品書きや復刻版であることを知らせる文言はなく、そっけない。
長らく存在は知っていたものの買う機会がなかった稲庭割子と、念願の対面。
つまようじ(箸と別の袋)とおしぼり付き
白いトレイで区切られていて、上半分は小さく8区画。ここに一口大の稲庭うどんにトッピングしたものが6種類と、残りの2区画に薬味(刻みネギと袋入りワサビ)と桜漬。
トッピングは、ナメコ2つ、イクラ3粒、山菜の塩漬け?(原材料では「せり」が該当しそうだけど…)、トンブリ、錦糸卵、とろろ昆布。
下の区画には、舞茸が載った秋田県産米の味付け(炊き込み)ご飯、めんつゆ、エビとシシトウの天ぷら。
食べるに当たって、めんつゆをどうするか。うどんの上に「かけて」もよさそうだけど、掛紙には「つけ麺」とある。だから、つゆの容器が入っている部分が深くなっているので、そこに空けて「つけて」食べるのが正しそうに思えたので、そうした。
容器にはなぜか「そばつゆ」と表示してある。
分かりにくいですが、容器を逆さまにしたところ
上の写真では、容器の中につゆが少し残っているが、それはどうしても出せなかった。
容器内部の注ぎ口の周りが盛り上がっていて、それが“堤防”になってしまうのだ。つゆが足りないというわけではないが、もどかしい。
稲庭うどんというものは、うどんの中でも繊細で、お店で食べると、まるで絹糸のように美しく巻かれた姿に盛り付けられて出てくる。

この駅弁でも、それなりにきれいに巻かれて収まっている。
駅弁の性格上仕方ないが、水分は少なめで麺どうしがくっついているため、箸で伸ばしたり、めんつゆの中で解きほぐすのは大変。巻いた状態のまま、さっとつゆにつけて食べるのがよさそう。
したがって、稲庭うどんはたった6口で食べ終わってしまうが、ちゃんとした稲庭うどんだと思う。駅弁でこれだけの稲庭うどんなら合格。
天ぷらも普通においしい。【16日追記】関根屋は、法事などの仕出し弁当もやっているので、その定番料理である天ぷらは得意なんでしょう。
味付けごはん
関根屋で「わっぱ舞茸」という駅弁がある(現在は予約制)。それと同じ味だと思う。
花善の(樽でない)今の鶏めしと通ずるような、やや甘めの醤油味。
オマケのような存在の味付けごはん。稲庭うどんだけでは足りないからという配慮なんだろうか。
国鉄時代には、「ご飯(米)」が入っていないと「駅弁」と認めないという、国鉄らしい厳格な決まりがあったそうで、サンドイッチとか麺類だけではダメだったらしい。(売ってはいけなかったということでもないらしいが)
その対策として、常磐線・原ノ町駅では、そばに小さいいなりずし2つをセットにして、正式な駅弁として販売していたと聞く。
稲庭割子が登場した国鉄最末期の昭和61年にその決まりが残っていたかは不明だが、味付けごはんには、そんな思惑もあったのだろうか。
舞茸も秋田でよく食べられるものだし、いい選択だったとは思う。
上記の通り、「そばの駅弁」は古くから存在する。だけど、「うどんの駅弁」は稲庭割子が国内唯一だと、以前聞いたような気がする。
現状はどうかと調べたら、2013年に高松駅で讃岐うどんの駅弁(うどんにおかずを盛り付けた加熱式。うどんの巻きずし付き)が期間限定で売られていたのは分かったが、他にはなさそう。
稲庭うどんは、湯沢市内には複数の製造業者があって乾麺を販売している。最近は湯沢市外・秋田県外の業者が「稲庭風」うどんを製造販売するものがあり、品質低下の懸念が出ている。
この駅弁は、秋田の業者が作る秋田の駅弁なんだから、当然、ちゃんとした製造元の稲庭うどんを使っているのだろう。
ところが、米については「秋田県産米使用」と書いてある(表示位置がシールの住所の後というのはヘンだけど)のに、肝心のうどんについては一切表記がない。この点をちゃんと示せば、さらにこの駅弁のアドバンテージになるのに。
トッピングのトンブリやとろろ昆布も、舞茸も秋田ならでは・秋田らしいもの(とろろ昆布は横手市平鹿地区に製造業者が多いそうだ)。そんなことも表示すれば、ご当地駅弁としての価値が上がるはず。
駅弁味の陣に出陣するんだし、鶏樽めしのように、お品書きなど解説文があれば良かったと思う。
あとは、漬物として最近の関根屋製品では定番の「いぶりがっこ」を入れるのもいいかも。
店で稲庭うどんを食べると、ざるのつけ麺で1000円弱、天ぷら付きで1500円ほどが相場。
量は少し少ないけれど、天ぷらと舞茸ごはんが付いて1000円の駅弁は高くはないのではないだろうか。
秋田に来たけれど稲庭うどんを食べる時間や機会がなかったような時にいいと思う。車内でつけ麺を食べたり、残ったつゆの処理は大変そうですが…

ホームページでの告知、食材の説明や産地の表示、つゆの容器の形状は、要改善かな。
まず、先日食べた「鶏樽めし」の続報2つ。
秋田駅中央改札口前(改札外)のNEWDAYSでは、先週末は先々週よりも大量に入荷しているようで、ケースの4分の1くらいを占めていた。通常の鶏めしと特上鶏めしもあったが、それらはいつもより少なく10個もなかったのではないだろうか。
日頃から鶏めしがわずかに売られる、秋田駅前のフォンテAKITA地階のスーパー「ザ・ガーデン自由が丘 西武 秋田店」でも、鶏樽めしも5個ほど置いてあった。
そんなわけで、期間限定とは言うものの、かなり入手しやすくなっている。
もう1つは、鶏樽めしに入っているカマボコ「いそべあげ」。
秋田市の「宮城屋蒲鉾店」で製造終了となっていた製品を、鶏樽めしのために再度製造してもらっているとのこと。
秋田市の通町にある宮城屋の店舗では、月例の商店街の「通の市」などに合わせて、時々、カマボコのパック詰めを販売している。
「寅巻」のような長いカマボコをカットしたものが何種類か入っているのだが、それに混ざって、

こんな所で会えるとは!
花善向け専用としての復刻ではなく、製造中は一般向けにも発売してくれるのだろうか?
それとも、たまたま余っていたからパックに入れたのだろうか?
この状態で味が付いていたから、鶏樽めしにはそのまま載せているだけなんだろう。
さて、もう1つ復刻されたのが、秋田駅で古くから駅弁を売っている「関根屋」の「稲庭割子」。稲庭うどんの駅弁である。
「稲庭うどん」は最近は全国的にもかなり認知されているようだけど、秋田県内陸南部、湯沢市稲庭地区(平成の大合併前は稲川町)特産のうどん。平らで細くてのどごしが良いのが特徴で、うどんとしては高級品の部類。秋田では贈答品としても用いられる。
関根屋の公式ホームページには、稲庭割子の情報は一切なし。ウェブマガジン「旅色」10月号で牛めしが紹介されたことはアップされているので、「放置」ではないわけだが…
一方、JR東日本「駅弁味の陣」ホームページでは紹介されている(http://www.ekiben-ajinojin.com/ekiben/detail.php?id=9)。「昭和61年頃~平成7年に季節限定商品として販売され好評を博した」とあるが、それ以降もしばらく受注生産はしていて、完全になくなったのはここ10年くらいだろうか。
秋田駅NEWDAYSでは大量入荷の鶏樽めしとは対照的に、今回も昼前の段階で1個だけ売られていた。
製造所が近いので頻繁に納品されるのかもしれないし、麺だからあまり作り置きすると「伸びる」のかもしれないけれど、昼前なのに1個だけとは寂しい。

発泡スチロールと紙でできた平らな黒い容器。消費期限は一般的な駅弁並みの、製造後12時間か。
掛紙には「秋田名物 いなにわうどん 稲庭割子 つけ麺」「三百年の伝統を誇る手造りの味」とある。
品名や原材料が書かれたシールでは「いなにわ割り子」表記となっている。
品書きや復刻版であることを知らせる文言はなく、そっけない。
長らく存在は知っていたものの買う機会がなかった稲庭割子と、念願の対面。

白いトレイで区切られていて、上半分は小さく8区画。ここに一口大の稲庭うどんにトッピングしたものが6種類と、残りの2区画に薬味(刻みネギと袋入りワサビ)と桜漬。
トッピングは、ナメコ2つ、イクラ3粒、山菜の塩漬け?(原材料では「せり」が該当しそうだけど…)、トンブリ、錦糸卵、とろろ昆布。
下の区画には、舞茸が載った秋田県産米の味付け(炊き込み)ご飯、めんつゆ、エビとシシトウの天ぷら。
食べるに当たって、めんつゆをどうするか。うどんの上に「かけて」もよさそうだけど、掛紙には「つけ麺」とある。だから、つゆの容器が入っている部分が深くなっているので、そこに空けて「つけて」食べるのが正しそうに思えたので、そうした。
容器にはなぜか「そばつゆ」と表示してある。

上の写真では、容器の中につゆが少し残っているが、それはどうしても出せなかった。
容器内部の注ぎ口の周りが盛り上がっていて、それが“堤防”になってしまうのだ。つゆが足りないというわけではないが、もどかしい。
稲庭うどんというものは、うどんの中でも繊細で、お店で食べると、まるで絹糸のように美しく巻かれた姿に盛り付けられて出てくる。

この駅弁でも、それなりにきれいに巻かれて収まっている。
駅弁の性格上仕方ないが、水分は少なめで麺どうしがくっついているため、箸で伸ばしたり、めんつゆの中で解きほぐすのは大変。巻いた状態のまま、さっとつゆにつけて食べるのがよさそう。
したがって、稲庭うどんはたった6口で食べ終わってしまうが、ちゃんとした稲庭うどんだと思う。駅弁でこれだけの稲庭うどんなら合格。
天ぷらも普通においしい。【16日追記】関根屋は、法事などの仕出し弁当もやっているので、その定番料理である天ぷらは得意なんでしょう。

関根屋で「わっぱ舞茸」という駅弁がある(現在は予約制)。それと同じ味だと思う。
花善の(樽でない)今の鶏めしと通ずるような、やや甘めの醤油味。
オマケのような存在の味付けごはん。稲庭うどんだけでは足りないからという配慮なんだろうか。
国鉄時代には、「ご飯(米)」が入っていないと「駅弁」と認めないという、国鉄らしい厳格な決まりがあったそうで、サンドイッチとか麺類だけではダメだったらしい。(売ってはいけなかったということでもないらしいが)
その対策として、常磐線・原ノ町駅では、そばに小さいいなりずし2つをセットにして、正式な駅弁として販売していたと聞く。
稲庭割子が登場した国鉄最末期の昭和61年にその決まりが残っていたかは不明だが、味付けごはんには、そんな思惑もあったのだろうか。
舞茸も秋田でよく食べられるものだし、いい選択だったとは思う。
上記の通り、「そばの駅弁」は古くから存在する。だけど、「うどんの駅弁」は稲庭割子が国内唯一だと、以前聞いたような気がする。
現状はどうかと調べたら、2013年に高松駅で讃岐うどんの駅弁(うどんにおかずを盛り付けた加熱式。うどんの巻きずし付き)が期間限定で売られていたのは分かったが、他にはなさそう。
稲庭うどんは、湯沢市内には複数の製造業者があって乾麺を販売している。最近は湯沢市外・秋田県外の業者が「稲庭風」うどんを製造販売するものがあり、品質低下の懸念が出ている。
この駅弁は、秋田の業者が作る秋田の駅弁なんだから、当然、ちゃんとした製造元の稲庭うどんを使っているのだろう。
ところが、米については「秋田県産米使用」と書いてある(表示位置がシールの住所の後というのはヘンだけど)のに、肝心のうどんについては一切表記がない。この点をちゃんと示せば、さらにこの駅弁のアドバンテージになるのに。
トッピングのトンブリやとろろ昆布も、舞茸も秋田ならでは・秋田らしいもの(とろろ昆布は横手市平鹿地区に製造業者が多いそうだ)。そんなことも表示すれば、ご当地駅弁としての価値が上がるはず。
駅弁味の陣に出陣するんだし、鶏樽めしのように、お品書きなど解説文があれば良かったと思う。
あとは、漬物として最近の関根屋製品では定番の「いぶりがっこ」を入れるのもいいかも。
店で稲庭うどんを食べると、ざるのつけ麺で1000円弱、天ぷら付きで1500円ほどが相場。
量は少し少ないけれど、天ぷらと舞茸ごはんが付いて1000円の駅弁は高くはないのではないだろうか。
秋田に来たけれど稲庭うどんを食べる時間や機会がなかったような時にいいと思う。車内でつけ麺を食べたり、残ったつゆの処理は大変そうですが…

ホームページでの告知、食材の説明や産地の表示、つゆの容器の形状は、要改善かな。