広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

わっぱ舞茸2020

2020-10-30 00:34:39 | 各地お土産・食べ物
久しぶりに秋田駅の駅弁を食べる機会に恵まれた。
大館の花善の鶏めしも頭をよぎったものの、純粋な秋田市の業者である「関根屋」の、とある商品を思い出したので。
現在、恒例のJR東日本の駅弁コンテスト「駅弁味の陣2020」開催中で、今年の関根屋のエントリー商品の1つ(もう1つは「秋田比内地鶏こだわり鶏めし」)だから、秋田駅に入荷していると踏んだ。

昼前の中央改札横のNewDays。新型コロナウイルス流行下のせいか、昼前にしては商品の種類は少ない気がした。たぶん関根屋と花善の2社のみ。ただ、各商品ごとの陳列数(入荷数)としては、いつも並みに見えたので、売れ筋だけを作っている感じか。
お目当ての弁当は5個ほどあった。
わっぱ舞茸 税込み950円 513.2kcal、食塩相当量3.9g
1988年8月発売開始との情報があり、関根屋のロングセラー商品の1つとしていいだろう。
その名の通り、キノコの舞茸(マイタケ)を使って、わっぱ飯風にした弁当。
なお、2014年に復刻販売されていた「稲庭割子」の1区画にも、これと同じと思われるごはんが入っていた。

秋田では大館の「曲げわっぱ」が特産だが、食べ物としての「わっぱ飯」は、それほど名物ではない(新潟とか会津とかが本場?)と思う。秋田以外の他社でもわっぱ風容器の駅弁はある。
マイタケは、秋田では身近で好まれるキノコ。
わっぱ舞茸は一時期は予約制のこともあった。現在は「舞茸(まいたけ)の旬である秋限定となっております。」と関根屋ホームページに出ている。でも、栽培モノのマイタケだろうから、季節はあまり関係なさそうだけど。

現在の関根屋の他の商品同様、掛け紙を紐で結んだものではなく、筒状にしたボール紙の中に、発泡スチロール製のわっぱがぴったり収まった商品形態。
商品構成
おしぼりは、以前は駅弁ならではの小さくて薄いものだったが、コンビニおしぼりタイプになった。
ボール紙裏面は、昔の関根屋の話。写真は大正13年の旅館だった頃の関根屋。

わっぱは内径12センチ、底からの高さ4.5センチといったところ。持つ場所によっては若干、へにゃっと心もとない。
わっぱ舞茸の中身
峠の釜めしなんかと同じように、ごはんの上に具が載っている。
上写真で手前側のいろんなおかずが、こちら向きにそろえて盛られているので、これが正しい向き。
上側ほぼ半分が、煮たマイタケ。
その他おかず
手前側は、煮たタケノコとニンジン、葉やニンジンらしきものが入った卵焼き、栗甘露煮など。
白い紙に入った緑のものは「こごみ胡麻和え」。こごみは山菜で、クサソテツの若芽。たしか3つ。
いちばん下の茶色い海苔巻きみたいに見えるのは「しそ巻大根漬け」。
中央の光沢のある白くて丸いものは「とんぶり入蒲鉾」。トンブリは秋田特産のホウキギの果実。

下のごはんは、秋田県産あきたこまちの味付きの茶色い炊きこみ。
逆側からマイタケをどけて

わっぱ舞茸を食べるのは、2度目か3度目のはず。記憶通りの味だったと思う。
マイタケは柔らかいながらコリコリと食感がいい。
ごはんは、醤油ベースか。若干甘い、秋田人としては親しみがある味。人によっては濃いと思うかな。
その他おかずは、まあ普通。山菜は苦手な人もいるけれど、コゴミごま和えはクセはないと思う。カマボコはつるんとしている。トンブリならではのプチプチは分からず、トンブリの量が少ないのでは。漬け物は大根にしては柔らかめ。

大館の鶏めし(通常品)より50円高いわけだけど、悪くないのではないでしょうか。
おそらく、マイタケメインの駅弁は全国で唯一だろうから、嫌いでなければいかがでしょう。
【2021年5月27日追記・静岡県の第3セクター鉄道・天竜浜名湖鉄道の天竜二俣駅にも「まいたけ弁当」が存在した!
2009年発売開始のようで、2021年時点で同社公式サイトで他2品とともに紹介(製造は地元3店)されているから、JR系ではないものの正式な駅弁となろう。地元産マイタケの炊き込みごはんに、おかずがいろいろ入って1000円。バランスが良くおいしそうだけど、マイタケの量と存在感は、秋田のほうが強そう。】
【2021年5月28日追記・福島県の常磐線の原ノ町駅にも「舞たけごはん」があった。製造元の丸屋(ホテル)は、東日本大震災後は駅弁から実質撤退しているので、現在はなくなった。2005年の情報では、マイタケごはんとおかずの2段重ねで800円と安い。】
【2021年12月13日追記・だるま弁当や鶏めし弁当で有名な、高崎駅の高崎弁当(たかべん)にも「上州舞茸弁当」があった。1984年12月発売で、2021年時点で1230円。「醤油味で炊いた茶飯に舞茸の具を炊き込んだ大変美味しい混ぜ御飯」「香り、味、かみごたえ三拍子そろった群馬名産の舞茸を豊富に使い、天ぷら、和え物、煮物等自社独自の調理法で種々の味付けをしており、舞茸のおいしさを存分に楽しめます。」→この記事にて。】


以上、2020年秋のわっぱ舞茸。
ところで、以前のわっぱ舞茸を知る人なら、昔と変わったと思われたことだろう。

以前はボール紙でなく、掛け紙(現在と同じデザイン)を紐で縛ったものだったが、そのほか中身も何度か変更されている。
まず、少し前にさかのぼれば、トンブリカマボコはなかった。
代わりに、デザートなのだろう「大福餅」が入っていた。大きさも色もカマボコと大して変わらないが、けっこうな違い。
ネットを見ると、公式サイト以外には、カマボコが入っている情報はない。ごく最近、駅弁味の陣に合わせて変更されたのかもしれない。

さらにさかのぼると大きく異なる。少なくとも1998年頃以前、たぶん発売当初もだろう。
おかずがなく、マイタケが全面を覆っていた。
その頃はごはんに鶏肉が入っていたようだ。漬け物は、千枚漬、レンコン酢漬け、紅生姜の3種。
この千枚漬とは、京都のようなカブの酢漬けではなく、菊の花などを大根で巻いた味噌漬け。岩手の金婚漬みたいなもの。
おかずがなくてマイタケだけなのは受けが悪かったのかもしれないが、マイタケのコスト削減もありそう。


ネットで調べると、2004年1月の京王百貨店の駅弁まつりでは、まだおかずなし。容器も一部に木が使われていて、サイズも違いそう。
2005年12月にはおかず入り(大福も)になっていた。その時点では、玉子焼きは混ぜものなし、タケノコではなく細いササダケ1本(秋田ならでは)で、千枚漬けといぶりにんじんが入っていた。

2004~2005年におかず入りに変更され、その後、おかずが一部変更されてきたようだ。
そう言えば、10年くらい前の関根屋の駅弁には、いぶりにんじんがよく入っていた。
【30日追記】2018年春の段階では、大福、ササダケ、具入り玉子焼き、千枚漬、いぶりにんじんだった。


僕がわっぱ舞茸の存在を知ったのは、テレビ番組。
1997年4月から1998年8月まで、TBS水曜22時に「所さんの20世紀解体新書」という番組があって、よく見ていた(ちなみにこの枠の後継番組が「ここがヘンだよ日本人」)。
20世紀末を控えて、毎回のテーマごとに、それがどう変わってきたのかを見るバラエティー番組。

おそらく「駅弁」の回【下の追記参照】があったのだろう。その中で「こんな駅弁もある」と全国いくつかの駅弁が、映像で紹介された。その1つがわっぱ舞茸で、「これでもかとマイタケを散りばめた…」みたいに紹介されて、これはおいしそうと思ったのが最初。その後、おかずが入る前に、1度食べることができた。
【30日追記・ズバリ駅弁ではなく「旅」か「鉄道」がテーマの回だったような気もしてきた。開業したばかりの秋田新幹線「こまち」の愛称公募のことも紹介され、所さんが「応募数で1位の『なまはげ』にならなくてよかったね」と言っていたはず。】



コロナ流行で、駅弁業界も当然厳しいようだ。
岩手県一ノ関駅の2業者あるうちの1つ、以前食べた「あべちう(※“あべうち”ではありません)」は、休業か廃業かは分からないが、春以降、駅弁も駅そばも営業していないという。
関根屋、花善、その他特に地方の駅弁屋さんには、なんとかがんばってもらいたい。

例えば、駅弁まつりを、各地で積極的に開催すれば、業者の売り上げになるし、旅行気分になれていいと思う。
だけど、味の陣主催のJR東日本は、首都圏やせいぜい仙台止まりで、地方ではやってくれない。
駅弁フェアをわりと大きくやっていたイトーヨーカドーは秋田にはなくなった。
ナイスやマルダイで、土曜日に折り込まれるチラシに「今日限り」というのがたまにあるが、(日頃行かない店なので)唐突だし、ラインナップも多くはなさそう。イオン東北さんなんかががんばってくれてもいいのでは。【30日追記】あるいは、個別に注文を受けて輸送費を取って、新幹線で輸送するとか。農産水産物では、新幹線での輸送が試みられつつある。
旅や駅弁が恋しい。
【2021年1月28日追記】↑なんと実現する。2月の6日間、関東方面を中心とした計8種類の駅弁を秋田新幹線で輸送し、秋田駅と秋田生鮮市場保戸野店で販売! 大船、水戸、小淵沢など、駅弁大会の定番ではない業者のものもあって興味深いし、続編にも期待。この記事参照

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