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広く浅く

今後はhttps://taic02.hatenablog.jp/で更新します

笑顔のテントウムシ

2022-06-21 22:38:06 | 動物・植物
※この記事にはテントウムシの写真があります。昆虫が苦手なかたはご注意ください。

テントウムシがいた。

体長5ミリほどで、光沢のある黒に赤っぽいオレンジ色の点。
「ナミテントウ」。

日本人がテントウムシというと、赤地に黒い点のナナホシテントウを連想することが多い。実際、日本全土に広く分布する種だそうだが、僕は1度、遠目に見たことしかない。小学校1年生の時、教室に入ってきたもの。

一方、我が家の庭など秋田市内では、ナミテントウをよく見る。
ナミとは「並」で、この種も日本では一般的なテントウムシ。

「ナミテントウ」で画像検索すると分かるが、ナミテントウの甲羅(外羽、鞘翅)の模様はバリエーションが多い。
秋田で見たことがあるのは、写真の黒地に赤点(2紋)のほか、薄いオレンジ一色(無紋)、薄いオレンジに小さな点が19個(19紋)、の3パターン。
※19紋は、草食性で害虫とされる28紋のニジュウヤホシテントウと間違えそうだが、草食性は光沢がなく、肉食のナミテントウは光沢がある点で見分けられる。

子どもの頃見た、子ども向け書籍では、黒に赤点の写真しか出ていなかったから、それだけがナミテントウだと思いこんでいた。だから3タイプのテントウムシが同じ場所にいるのを見た時は、異種が仲良く同居しているのだと思ってしまった。
ネットの情報によれば、大別するとその3パターンだが、点の大小や形のバリエーションはとても多い。黒に赤点が4つの4紋もいる。
北日本では19紋型が多く、2~4紋型は九州方面に多いとWikipediaには出ているが、秋田では2紋は皆無ではなくそこそこいる。4紋は見たことがない。

昔図鑑で見たナミテントウは、赤い部分がほぼまん丸だったのだけど、秋田ではそれは少数派なのかもしれない。
冒頭とは別個体。赤の色味も違うかな
赤い部分が黒に侵食されて、ちょっとしたロールシャッハ・テストみたいな形。

そして冒頭の個体は、

きれいな三日月型の赤点。にっこりと笑顔のよう。

こういう柄のナミテントウは、見る位置(例えば頭側から)によっては目玉に見えそう。外敵から身を守る役に立っているのだろうか。
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川反の白鳥

2022-02-01 23:51:39 | 動物・植物
秋田市街地を南北に貫く旭川。歓楽街「川反(かわばた)」の「川」でもある。
竿燈大通りに架かる二丁目橋
旭川を下って、一列で二丁目橋の下をくぐろうとしているのは、
5羽の白鳥!

秋田市にも、越冬なのか、さらに南で越冬する中継点なのか、多くの白鳥が飛来する。旭川では、ここの下流の太平川合流点(2014年の記事)や、上流の旭川地区辺りでは、数十羽程度が休んでいることがある。ここら市街地でも、一家族程度の少数の群れが休んでいるのを、ごくまれに見ることがあった。今回もそうかもしれないが、灰色の幼鳥はいない。
くちばしの色からすると、オオハクチョウ。

川の流れに任せて下っているようで、人が歩くのと同じくらいの速度。急ぎ足で地下横断歩道をくぐって先回り。大きなケヤキが並ぶ(2015年の記事)、那波家の水汲み場跡にさしかかる。


列が崩れて一直線でなくなった
上を並走する怪しい人間に警戒しているのかとも思ったけれど、
さらにバラけて、あちこちきょろきょろ
川反を下から眺めているかのよう。鳴き声も出さず、そのまま下っていった。
どこまで下っていくのやら
旭川ダムの機能が向上したためか、昔と比べて、平常時の水位が低下した旭川。夏場のように一部淀んだり川底が露出したりするほどではないが、大きな白鳥だと、川底に脚が付いてしまうかもしれない。
冬の使者の北帰行は、春のきざし。まだ寒中だし、依然50センチ近く雪が積もり、連日寒いけれど。北帰行は平年だと2月中頃からぼちぼち始まるようだ。気の早い群れは、2月初めでも帰るのかな?
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街中の鷹

2022-01-04 23:35:37 | 動物・植物
※お読みいただく前におことわり※この記事には、鳥が小動物を捕食する写真があります。ご承知おきの上、ごらんください。

昨年末の昼前。自宅にいると、視野の片隅、横の窓の外を、上から斜め下に急降下する物体が見えた。
そこはご近所の庭。柿の木があり、カラスが食事や遊びで飛び回ることがあるので、それかと思ったけど、真っ黒ではなく茶色い気がした。
おそらく着地しているので、こっそりと窓に近寄ると、そこにいたものは…
鳥が何かをつかまえている!!
飛んでいってしまわないうちに、急いでカメラを準備して撮影。

つかまえられているのは、ネズミのようだ。
鳥はカラス級の大きさだけど、肩幅が広いようなどっしりした体型(翼を閉じているとネコより小さい)。目付きはそんなに鋭くないが、ワシとかタカだろう。身近な猛禽類と言えばトビ(トンビ)だけど、これは腹など白いので違う。

最初の写真を見ると、上のほう、庭の隅近くの雪に、ネズミの足としっぽらしき跡が付いている。歩いているところを、上から見ていた鳥に襲われたようだ。
鳥はネズミの毛をむしり取りつつ、食べ始めた。よそへ運ばず、その場で食べてしまうようだ。

ここは仮にも秋田市中央地域。直接面してはいないが、道路を通る車の音や人が動いていることが分かる音が断続的にする場所。鳥はたまにきょろきょろするが驚くこともなく、食事を続ける。
カメラ目線の写真もあるので、こちらにも気付いていたかもしれない。





鳥は休むことなく食べ続けているが、いっこうに終わる気配がない。
つかまえてすぐ丸のみのように食べ終えるのかと思っていたが、とても丁寧に食べるのだった。

その間に、ネットで調べた。
この鳥は鷹の一種「オオタカ」だと思われる。この個体は、黒目の周りが黄色いが、オレンジ色の個体もいる。羽が茶色でなく、グレーの個体もいて、それを青みがかった灰色ととらえて、「蒼鷹(アオタカ)」が転じてオオタカになったとのこと。アオサギと同じだ。したがって「大鷹」ではない。
ハトなど鳥を捕食することが多いが、ネズミなど哺乳類も食べる。食物連鎖・生態ピラミッドの頂点の生物。

JARO(日本広告審査機構)のテレビCMで、「まぎらワシ」というキャラクターが「ワシとタカは同じ種類の鳥なのに 大きさの違いで呼び名が変わる」「ワシにも区別がつかん」というのがある。
たしかに、漠然と思っていた「鷹」よりは小さく感じたが、それは「鷲」あるいはトビと混同していたこともある。実際は、基本的にはタカ類のほうがワシ類より小さいが例外もある。


トビ以外の野生のタカを、それと意識して見たのは初めて。しかもこんな場所に、向こうから来てくれるとは。
ただし、千秋公園では複数のタカ類を見ることができると、聞いたことがあった。ここは千秋公園から容易に飛来できる距離だから不思議でないし、一般的に都市部でも見られる種だそう。雪で食べ物探しに困っていたのかもしれない。
ここにネズミがいたのにもちょっと驚いた。ドブネズミだろうか。鵜の目鷹の目、こんな場所でもネズミはうかうかしていられない。

やがて、雪上に散らばる抜かれた毛と、血に染まった雪だけが残された。じっくり丁寧に、焼き魚をきれいに上手に食べる人のようだった。
降りてから食べ終えるまで、実に丸1時間(ほぼジャスト60分)かかった。
雪をかき分けて歩く
オオタカは飛び去らず、雪上を数歩歩いて数メートル離れた柿の木の低い位置に止まり、じっとした。さっきより道路に近い場所だが、やはり動じない。
オオタカは1日1回食べれば充分だそうで、次の獲物を探しているのではないのか。お腹いっぱいで飛べないのか。
そうこうしているうちに、スズメの群れが飛んできて、オオタカより高い位置の木や屋根でちゅんちゅんやりだした。オオタカに気付いているのか。下から上に向かって襲いかかることはできないはずではあるが。
きょろきょろ

能ある鷹は爪を隠してはいない
今度もなかなか動かない。再び約1時間経過、正午を過ぎた。

すると濡れ雪が降り出した。スズメはいなくなり、オオタカもいつの間にか飛び去った。ネズミの残骸も雪に埋もれた。
一富士二鷹三茄子でめでたいかもしれないけど、昨年の話だからもう関係ないのかも。そんなことよりも、生態系の頂点オオタカの、堂々とした振る舞いに感心させられた【5日・それに月並みだけど、野生の厳しさも見せつけられた】、歳末の2時間だった。
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モミジバフウ2021

2021-11-01 19:52:36 | 動物・植物
広面(ひろおもて)の秋田大学医学部附属病院正面の市道に「モミジバフウ(紅葉葉楓、ただしモミジやカエデの仲間ではない)」が街路樹として植えられ、きれいに紅葉する。遅ればせながら2017年に初めて知って、当ブログでは以後毎年紹介している。

今年は行かないと思っていた(理由は後述)が、ワクチン接種時にシャトルバスの車窓から見えてやはりきれいだと思い直し、出直した。
一斉に紅葉せず、グラデーションになる
これまでは10月末~11月では散り初めていることが多かった。昨2020年は遅めで盛り。今年の紅葉も全体に遅い感じがするが、ここも昨年よりさらに遅れているか。まだ緑の葉もあるし、散っている葉が少ない。

今年、モミジバフウをあきらめかけた原因は、少し前の秋田魁新報の記事。
道路管理者である秋田市が、紅葉前にバッサリと太い枝を切ってしまったとのこと(樹種の言及はなかったと思う)。
この効率優先の管理方法について秋田市議会(の委員会か何か?)で取り沙汰され、今後は見栄えや木の生育にも考慮した管理を行っていくことを、市役所内の関係部署で申し合わせた、といった内容だったと記憶する。

秋田市以外の自治体も含めて、こまめな剪定や落葉の処理が負担といった理由で、バッサリ切り落とすことはされている。剪定には税金が使われるわけだし、落ち葉は沿道・地元の住民が掃除するとしても、高齢化や空き家の増加でままならない場所も増えているはず。
少なくとも今後は、高木になる街路樹を新たに植えることは難しい世の中になるかもしれない。むしろそれが持続可能な道路・街に求められるかもしれない。
ただ、それで「緑豊かな街」などとは言えなくなるだろう。今の秋田市だって、街なかの緑は多いとは言い難い。

そんな記事を読んだ後の接種帰りの車窓(写真は後日再訪時)。切られたモミジバフウなどなく、これまで通りの紅葉。新聞には写真も出ていたのに…と南へ進むと、
これか
「谷内佐渡(やないさど)」バス停のところ。県道28号と交わる「秋田大学付属病院」交差点から、すぐ南の元県道と交わる「大学病院入口」交差点の間の木(7本?)だけが、バッサリだった。1本に葉が10枚くらいしか付いていない状態にされていた。

残りの北側
最近の記事にちなんで地名。上の写真、大学病院に向かって左・西側は広面字蓮沼。右・東側は基本的には広面字糠塚(柳田字糠塚ではない)だが、写真手前の交差点付近では東側も蓮沼。角のローソンが秋田広面蓮沼店なのは間違っていない。

さて、セントラルフィットネスクラブの前のモミジバフウ。
足元も紅葉?
ひざ丈ほどにこんもりと紅葉した植物が茂っていた。それもモミジバフウ。

切り株から生えたひこばえかとも思ったが、現役の木の根本にも茂っている。種が芽生えたにしてはここだけこんなにならないだろうし。

ここの木々は、紅葉時期がずれるし、実がなる木とならない木があるようで、遺伝的に同一ではないようだ。となると、この木だけ、根からブッシュ状に新芽が出やすい性質なんだろうか。

2024年はこの記事後半。
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アジサイさまざま

2021-07-15 23:00:38 | 動物・植物
大雨の危機はとりあえず落ち着いたようで、暑くなった。秋田市は、晴れて連日真夏日。平年には10日以上早いが、梅雨明けしてもおかしくない【16日追記・16日に梅雨明けした。平年より12日早く、史上7番目の早さ。四国、近畿、東海はまだ明けておらず、東北北部が先行するのは24年ぶり(1997年)だそう。】。アブラゼミも鳴き出した。
そんな気候なので、もう終わりつつあるが、秋田市内で見つけたアジサイのある風景。

アジサイは、在来のガクアジサイと、それが改良されたセイヨウアジサイに大別される。昔は、庭植えされるのは赤か青の花、せいぜい葉が斑入り程度だったと思う。
後に、鉢植えで「ヒドランジア/ハイドランジア」などとして、さらに品種改良されたのが出回り、最近はそれが地植えもされるようになったようだ。色の入りかたや八重咲きなどさまざまなアジサイがあるのに気付かされる。

昔ながらのセイヨウアジサイ
こんもりと大玉のアジサイが道端に咲いていた。紫系の花。
アジサイは、土壌のpHで花色が変わると言うけれど、それ以前にそれぞれの株(品種)の固有の色あいがあるので、リトマス試験紙のように、単純に赤と青を行き来するわけでもない(しかもリトマス紙と逆で、酸性土壌で青寄り、アルカリ性土壌で赤寄りになるらしい)。

この場所は、
仲小路のアトリオン駐車場前
アジサイは、花がなくても葉や樹形でそれと分かるが、花がないと存在感が薄くて見落としてしまう。
この辺の半年前は…
再掲)雪の中


何でも植わっていそうな泉のハミングロード。もちろんアジサイがある。
ガクアジサイ
保戸野千代田町から泉へ渡って、泉小学校の手前の区間に多い。品種も複数あるが、20年以上前に植えられたはずで、そう珍しいものはなさそう。葉っぱがキザギザ気味のなどはあった。
ここで取り上げるのは、額が青いガクアジサイなのだけど、
ピンクの花(額も中も)が混在
花の咲き始めと終わりの違いではない。長期間観察してみたが、常に色が違っていたので。
違う株と一体化している可能性もなくはないが、1株の中で部分的に花色が違うのか。枝変わり/芽条変異?
全景
中央付近が全体に赤みがかっているようにも見える。うち2輪が明確にピンク色。
1輪だけまだつぼみのもある


旭川沿いの歩行者が通れる河川管理用通路。その手形側にも、アジサイがまとまって続いていた。
第一新中島踏切

青系セイヨウアジサイが多い
その中に、初めて見たアジサイが。
花は普通

こんなアジサイ見たことない
どこが違うかって、茎(枝)の色。
普通は葉と同じ緑なのに、これは黒い!
【17日追記・第一印象としては、違和感があってぎょっとしてしまった。】

園芸品種に「黒軸アジサイ」とされるグループがあるそうだ。花色は、ほかにもさまざま作られていた。
木質化した木の色ではなく、黒というか濃い紫色。
花は、アントシアニン系色素の中でもデルフィニジンという色素だと思われるが、デルフィニジンではこんな濃い色にはならなそう。茎ではまた違うアントシアニン類が出ているのか。花や葉の色は影響されずに、ごく普通のアジサイというのがおもしろい。


男鹿市のお寺など、同じ色の株ばかりを植えて埋めつくすのもきれいだけど、ひとつひとつの花を見比べるのもいい。それも梅雨時限定の楽しみで、まもなくほかの草木の緑にまぎれてしまう。
アジサイの風景は続く

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初夏のマメ科の花

2021-05-27 23:45:16 | 動物・植物
5月中旬に、秋田市泉地区で見かけた、マメ科植物の花々をまとめて。
マメ科には、この初夏の時期に花を咲かせるものが少なくないが、姿や花の形はさまざま。中には有毒なものもあるので、食べないでください。

マックスバリュ泉店の、道路沿いの植え込み。
本来は何かが植えられていたのか、それとも何もなかったのか。今はいろいろ生えてしまっている。2014年のオープン時からそのままなんだろうか(少なくとも2020年は同じ状況だった)。



この時は、表面を覆うように柔らかい葉が生い茂り、その中に青紫の花がたくさん咲いていた。“雑草”にしては大きくきれいな花。葉の形、花の形は典型的なマメ科植物のもの。

「ハマエンドウ」。
エンドウマメに似た姿で、海辺に咲くから「浜豌豆」なのだけど、エンドウ属でなくレンリソウ属。
秋田市内でも海岸には生えているそうだけど、実物を見たのはここが初めて。ハマヒルガオは、秋田市内では市街地や海から遠いエリアでも、よく見かけるのだけど。植え込みの砂に、根や種子が混ざって増えたのだろうか。
海から遠いハマエンドウ
本家エンドウは、ピンク色か白い花で、形はきれいだけどさほど大きくはない。ハマエンドウのほうが花としては美しい。スイートピーを小さくしたようでもある。スイートピーはレンリソウ属。ハマエンドウに鼻を近づけると、かすかにスイートピーと同じ香りがした。
この後、豆ができるはず。
【29日追記】もう1か所でハマエンドウを発見。秋田駅東口Weロード下の、留置線と道路の間のサツキの植えこみで、泉より遅れて咲いていた。


同じ植え込みでは、ハマエンドウに混ざって、似たようだけど背の高い茎が飛び出て、小さいピンク色の花が咲いていた。同じく葉も花も典型的マメ科。
これは、秋田市内あちこちで見かける。川沿いや空き地などで。
エンドウを小さくしたような花
おそらく「ヤハズエンドウ」、別名「カラスノエンドウ」。カラス~で覚えていたが、標準和名はヤハズ~だそう。
これもエンドウ属でなく、なんとソラマメ属。
やがて小さくて黒いさやの豆ができて、それをカラスに見立てて「烏野豌豆」。「烏/野豌豆」であって「烏の豌豆」ではないようだ。
これより小さいことからスズメを連想した、「スズメノエンドウ」という白っぽい花の植物もあるが、それは見たことがない。


場所変わって、泉菅野のグランマート隣、泉ハイタウン団地前バス停の、幅がとても広い中央分離帯のような草むら。この奥でアンダーパスが建設中で、いずれ道路となるのだろう。
左が秋田菅野郵便局、奥が工事現場
草むらの一角では、若草に混じって花が2種。写真右手前、白いのは、どこからやって来たのか、家庭の庭で見かける「スズラン水仙」こと「スノーフレーク」(スノードロップは似ているが別種)。左側では黄色い花がぽつぽつ。

これもマメ科典型の葉と花。大きめで黄色い花。
これは見覚えが…2019年6月にアップした「ミヤコグサ」か?
時期的に早いが、2019年6月はすでに豆もできていたから、それが2回目以降の開花で、今が初回開花なのか?
(再掲)2019年のミヤコグサ

今回の泉菅野
比較すると、似ているが違う。
2019年のは地面をはうように広がっていたが、今回は立ち上がった感じ。
1本の花茎に付く花は、前回は2個程度、今回は5個以上付いている。それに今回のは葉や茎に毛が生えて、白っぽく見える。
こうした特徴は、外来種「セイヨウミヤコグサ」が該当する(毛は在来種でもある場合もあるそうだが、2019年に見たのはツルツルだった)。


最後は、先日のツツジの記事でも出た、秋操近隣公園。その築山のふもと。
(再掲)下に黄色い塊が
花で真っ黄色になった低木が2株あった。

ミヤコグサの花とそっくり。花色が若干オレンジ色寄り【28日補足・写真は実際よりさらにオレンジ色っぽく写ってしまいました】。葉は細長く見える。出たばかりでまだ小さいこともあるようだが、それでも、マメ科おなじみの3枚1セットの複葉。
咲きすぎじゃないかってほどびっしり
初めて見た木。「エニシダ」の仲間(エニシダ属のどれか)のようだ。
エニシダという植物名は知っていたが、こういうのか。シダ植物などとは関係なく、由来は定かではないが、外国語名が転じたものらしい。
地中海方面原産のようで、常緑種もあるそうだ(ここのはおそらく落葉樹)。魔女の乗るほうきは、エニシダの枝でできているとのこと。季語としては夏。


もう5月末。これら4種の花は、今は終わってしまったと思う。
桜が早く暖かかった4月初めの先入観か、今の時期にしてはやや寒い感じがしなくもないが、初夏から梅雨へ季節が移る。

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水仙の帯化?

2021-04-17 19:47:27 | 動物・植物
春を告げる花の1つがスイセン(水仙)。
秋田市ではソメイヨシノの直前~散った後辺りまで【5月3日訂正・散った後、遅咲き桜の頃まで】咲き、身近で目立つ草本植物の中では、いちばん早い開花だろう。
「ニホンズイセン」という種もあるが、それも含めて、すべて外来種。なお、スイセンは有毒で、ニラと間違えて中毒もよく起こるので、注意。
外花被と内花被で色が違うタイプ。外花被は萼(がく)が花弁に変わったもの
スイセンに関して、昨年アップしそびれていた記事。知識がない分野で、ネットのみが情報源なので、間違っているかもしれません。以下、特記なき写真は昨2020年撮影。
2021年。楢山の旭川岸
スイセンは、民家の庭先のほか、空き地や川辺でもよく見られる。太平川や草生津川では、桜の下で彩りを添えてくれる。旭川では舗装の穴から生えたど根性スイセンがあったが、今年も芽は出てるのは確認。

数年前、変わったスイセンの花の存在に気がついた。その後、秋田市内のあちこちで、同じ花がそこそこ咲いているのを知った。
2021年。千秋地区線路際
スイセン独特ラッパ状の内花被が細かくなっていて、菊のようにも見える。
別の場所
最初は、花弁(花びら)の枚数が多く重なった、「八重咲き」かと思った。でも、花弁が細かくごちゃごちゃっとしていて、違うような。
また別の場所
他の園芸植物同様、品種改良がされて、こういう咲き方のスイセンが出てきたのかと思った。
でも、何年も放ったらかしであろう川岸や空き地でも、この花を見かける。しかも、植えた覚えがない、我が家のスイセンの中にも1株出現。さらに、
普通の花のスイセンの中に1本だけ?

調べると、これは八重咲きではなく、「帯化(たいか)」とか「綴化(てっか)」「石化(せっか、いしか)」と呼ばれる、奇形らしい。通常は「点」である生長点(成長点)が、「線」状になってしまったもの、という説明もされていた。
突然変異、遺伝、細菌感染などが原因で、サボテンやタンポポ、ヒマワリなどキク科などでよく見られるとのこと。花だけでなく茎などでも起きる。「おかしな形の花が咲いた」とか報道される中には、帯化によるものもある。
ケイトウの花(羽毛ではなく、トサカや久留米のことでしょう)も帯化したのが固定されて、広まって一般化したもの。

帯化は奇形と知ってしまうと、偏見で失礼ではあるが、無秩序で気持ち悪く見えてしまわなくもない。
帯化は、主に「植物発生学」の分野になるそう。大学では分子生物学・植物生理学は受けて、ABCモデルによる八重咲きのメカニズムは興味深く聴いたけど、発生学はなかったので…


それにしても、昔はこんな帯化スイセンはなかった気がする。
気づかなかっただけなのかもしれないが、そうでなければ、ここ何年かで、帯化を発生させる因子(感染? 昆虫? 気候?)が秋田市内で広まったなんてことはないかな???

泉のハミングロードにも、帯化らしきスイセンがあった。
周りのだらーんとしている花
帯化すると花弁が増えて重くなってしまうようで、【18日補足・ここでは雨で濡れたこともあって】垂れ下がってしまう。

こんなスイセンも。
 2つは近くだけど別の株
外花被と同じ黄色い花弁が層になり、その間に小さく細かいオレンジ色の花弁がはさまって咲く。
これは秩序がある並び。おしべ・めしべがなさそうなので、これはほんとうの八重咲きなんだろうか? ハミングロードは地域の人たちが手入れしていて、購入したちゃんとした品種の株を植えている可能性はある。
【17日追記】八重咲き品種「タヒチ」というのがあり、それがこれ↑にそっくり。買ったものみたいだ。

上と似ているけど、また違う
これは黄色い花弁が細かくごちゃごちゃしていて、ただの八重咲きではない。帯化なんだろうか。きれいといえばきれいなような。
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土崎の秋楡

2020-12-16 20:19:43 | 動物・植物
植物の話ですが、最初の舞台は前回に続きイオン土崎港店。
前回の通り、店の建物は道路から奥まった位置にある。正面の新国道側だけでなく、もう1つの出入口である南東の市道側(幕洗川街区公園の南隣、店では南入口という扱い?)も同じ。公道から敷地内の駐車場や店入口までは、歩道付きの通路がある。その歩道部分には、街路樹のように木が植えられている。
今年の秋まで、それはケヤキの木だと思っていた。
(再掲)雪が積もった新国道側入口
上の写真で、AEONの看板の左側2本はケヤキ。すっかり落葉している。
しかし、右側の通路の並木は、枯れた葉がまだ枝に付いている木が多い。
11月中旬。南口
南入口は、スロープをはさんで幕洗川街区公園のケヤキも見える。この時点のこちら側でも、ケヤキが紅葉しているのに、通路の木はまだ緑の葉。
条件によってはケヤキでもそうなる場合はあるが、そのほかにもケヤキとは異なる点があるのに気付いた。

さかのぼって10月中旬。
葉の間に果実?!
まず葉がケヤキと違う。形は似ているが、やや小さく光沢がある。
そしてケヤキでは春に付くのとよく似た、緑色で丸くて平らな果実が、秋になっている。並木の中で、果実はなる木とならない木があった(雌雄異株というわけでもないようだ)。
また、樹皮はケヤキよりもごわごわした感じ。
11月中旬

ケヤキはニレ科、ニレ科で秋に果実ができる木はとても少ないはず。考えられるのは、その名も「アキニレ」。
ニレについては、秋田市立保戸野小学校のシンボルツリーである“ニレの木”を取り上げた。保戸野小のニレは、春に果実ができ、葉は小さめ。日本には自生しない「ノニレ」または「マンシュウニレ」という種(しゅ)らしい。札幌の北海道大学植物園にもあったので、寒さには強そう。
その後、土崎の国道7号近くのガス灯通りの街路樹が「ハルニレ」であることを知った。ハルニレとノニレはよく似ているが、ハルニレのほうが葉が大きく、秋田辺りにも自生するようだ。北海道で親しまれる「エルム」のことだし、弘前公園にも大木がある。
それらを調べた時に、アキニレという種の存在を知ったが、日本では西日本に自生するとのことで、ということは寒さや雪に弱いのだろうから、秋田で植えても育たないと決めつけてしまっていた。
開店41年のイオン土崎港店で、これだけ育っているのだから、間違いだった。

福島県を除く東北5県を管轄する、林野庁東北森林管理局(秋田市)森林整備部技術普及課のホームページ「管内の樹木一覧」には、アキニレは管内で山形県東部(の天童市と東根市の水晶山)には自生するらしいことが掲載されていた。それが事実なら秋田市でも無理ではなかろう。
ネットを見ると、秋田県立大学のキャンパス(天王か大潟かどちらか)内にもアキニレが植えられていて、今年はきれいに黄葉したそうだ。
11月下旬。紅葉のような枯れ葉のような(右側では新駐車場造成中)
上記の通り樹皮が特徴的。ハルニレとノニレはゴツゴツと縦方向に筋が入っているし、ケヤキはもっとつるんとしている。アキニレはどちらとも違う。

41年前のジャスコは、どうしてアキニレを選んで植えたのか。ケヤキやハルニレほどの大木にはならないそうなので、後々面倒にならないためかも。
見慣れて知ったつもりでいた木でも、何も知らなかったのだと、土崎の街を眺めていると、さらに別の場所でも…
この街路樹
11月上旬なのに、紅葉していないケヤキ系統の樹形の街路樹の道があった。これもアキニレだと思う。
 
果実を付けた木もあるが、やはり付けない木も。でもイオンよりこっちのほうがたくさん果実が付いていたかも。
たわわに実る

樹皮。松に似ているかな

場所は、五叉路から北税務署・跨線橋の交差点までの間の市道。
左は土崎小学校方向
区間の中間で並木が途切れていて、五差路側の一群と跨線橋側の一群で落葉時期がずれていた。

秋田市内でニレがある場所は、これで4か所知った。保戸野のほかは、3つが土崎。土崎とニレに何かゆかりがあるのか、偶然なのか。
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サイカチ その後

2020-11-15 00:17:52 | 動物・植物
秋田市土崎にサイカチの木があるのを発見して、花が咲いたところまでアップした。その後。
7月下旬
びろーんと平べったい さや(莢)がぶら下がっていた。
なかなかインパクトのあるさやだけど、葉と同色だし、位置的に見上げないと気づかない。

平さやのインゲンマメ(モロッコインゲン)よりは、ずっと大きいが、より平べったそう。実物を見たことないけど、ナタマメよりは小さくて薄い。
別のさや
やや短く、カールというより波打っている【15日補足・必ずカールするとは限らないのだから、ツル植物のように右巻き/左巻きのような決まりはないのだろう】。中の豆の凹凸が少し分かるかな。

サイカチは、1本の木の中で雄花・雌花・両性花があるそうなので、さやの数は咲いていた花の数よりは少ない。路上から確認できたのは数房程度。

8月中旬。たしか最初の画像と同じさやを写したと思う↓。
さらにカールして、厚みが増した

9月頃には、写真を撮影できなかったが、さやが黒っぽくなっていたはず。ネットの画像では赤紫になるのと黒になるのがあるみたいなので、来年以降の課題。

そして10月中頃。
8月とほぼ同じ形で茶色くなっていた
さらに、10月末。
これは2枚目の写真のさや

高い位置のさや
これで完熟した感じ。この時点で落葉も進んでいた。
葉柄は木に残るものもあり、路上には細かい葉(複葉を構成する個々の「小葉」)が散らばっていた

今は全部落葉したことでしょう
また来シーズン。

【追記】12月7日時点では、葉がすべて落ち、豆のさやだけが、全体で10個ほどぶら下がっていた。色は黒っぽい?
【2025年3月23日追記】この後、サイカチは2024年6月までは、変わらない姿だったはず。2024年末に久しぶりに現地を通ると、伐られて切り株になってしまっていた2025年5月28日の記事】。

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続・ムクゲとケイトウ

2020-10-21 00:10:52 | 動物・植物
連日植物の話題で恐縮ですが、季節ものということでご容赦ください。以前の続き2つ。
10月1日に秋田市泉のハミングロードでは、まだムクゲが咲いていると紹介した。こんな秋深くなっても、ムクゲが咲くのは珍しいと思っていた。
その後、市内の民家などを見ると、市街地でも紅葉が始まった10月下旬になっても、それなりにムクゲが咲いている。毎年こうだったっけ? 9月頭が猛暑だった今年だけ?

現時点では、ハミングロードの泉小グラウンドの植えこみは、だいぶ花が少なくなってきた。まだ多少は咲いている。
そこから少し離れた、保戸野千代田町と対面する押しボタン信号のところに、1本だけ大きめのムクゲがあり、こちらはまだたくさん咲いている。
右奥は紅葉し始めたソメイヨシノ
八重咲きで、かつ白地にピンクの濃淡の“絞り咲き”のような花弁。そこそこ珍しい。
あと、八重咲きでも、前回のグラウンドの白い八重咲きよりも、“ちゃんとした八重咲き”のような雰囲気。


別の某所。
低い場所に小さいムクゲ
最初はムクゲと気づかず、何の花かと思ってよく見ると、ムクゲだった。
葉はムクゲだけど、こんな青紫の花のムクゲは初めて。
葉と比べると、花は小さめ?
しかも(ちゃんとした)八重咲き。
ハナアブらしき虫が来ているけど、そこには蜜も花粉もないよ


もう1つは、先日のケイトウ
ハミングロード内に、羽毛ケイトウが咲いていたとしていた。ところがその後、花の形が変わったように思える。当初の観察不足でなければ。
花壇の一角
上にぴょんぴょん飛び出ているのはセイヨウフウチョウソウ(クレオメ)。
スマホのカメラにはちょっと厳しく“赤飛び”してしまった下奥は、おなじみサルビア。
そして手前に1本(?)、葉も赤いケイトウ。
「まっかな秋」の歌詞には出てこないけれど、サルビアもケイトウも真っ赤だな。
ケイトウの花
最初見た時は、上部・先端が目に留まり、突き出した花だったので羽毛ケイトウかと思った。
それも今見ると、ところどころ扇形の花になっていて、それではトサカケイトウっぽい。
そして右下、これはもう、久留米ケイトウでは。

ケイトウを育てたことも、他でもあまり見たこともないので分からないが、こういうふうに徐々に花の形を変えながら、最終的に久留米ケイトウになるのだろうか。いずれにせよ、なかなか奥が深い植物だ。※この場所の翌2021年のケイトウ

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旭川に“山ホップ”

2020-10-19 23:59:41 | 動物・植物
秋田市中央地区の旭川沿いの河川管理用通路(≒歩行者用通路)のフェンス。
つる植物がからまっている
4年前に「ガガイモ」という植物を紹介した。最近は見かけなくなってしまった。
そのほぼ対岸、住宅地のフェンス。

街中でもよく見る、つる性の植物としては、いずれもブドウ科のノブドウやヤブガラシが定番。この近辺にも多い。
なお、ヤブガラシの花はスズメバチが好み、9月頃花の時期には、よく見かけた。自分たちの巣の近くではなければ、スズメバチもさほど攻撃はしないらしいが、通りかかると怖い。

このつるはそれらとは違う。ノブドウ・ヤブガラシは、上というより横方向、地上をはうように伸びることも多いが、これは積極的に上へ伸びている。
そして、松ぼっくりのような形の、淡い緑の実のようなものがたくさんぶら下がっている。




ふわふわ柔らかそう

アサ科の「カラハナソウ」という植物。

川のほうにもつるを伸ばしている

カラハナソウの名前は知らなくても、ぶら下がっているものに見覚えがある方もいらっしゃるかもしれない。ビールの原料に欠かせない「ホップ」?
ホップはビールメーカーのホームページやパッケージに写真や絵が出ている。それと比べると、旭川のカラハナソウは、似ているものの全体に丸みを帯びた形状。
また、つる(茎)の色は、ホップでは緑色のようだが、ここのカラハナソウは赤い。個体差かもしれない。

カラハナソウとホップは、まったく同一の種ではないが、かなり近縁種。「変種」という関係になる。動物でいう「亜種」のような位置付け。
ホップは「セイヨウカラハナソウ」とも呼ばれるヨーロッパ原産種。日本では北海道の一部に自生する所もあるとのこと。
カラハナソウは、日本では中部以北と北海道に自生する。山野や林に生えるそうで、このような街中の川沿いというのは、珍しいのかもしれない。
カラハナソウには、20年以上前、秋田市河辺地区の岨谷峡(そやきょう)の、道路からすぐの所で見たことがあって、それ以来2度目の遭遇。

ビールの原料としてのホップは、日本国内でも栽培され、それを売りにしているメーカーや商品もある。
岩手県の遠野、秋田県の横手市大雄などで、やはりカラハナソウの分布域と重なる寒い土地ばかり。
青森県でも栽培されていると聞いたことがあった。三戸町だそうだが、年々生産者が減って、今は皆無という情報もあれば、1軒だけと聞いた気もする。
多年草なので、植え替えなどは要らないが、高いやぐらを組んで育てるので、作業は大変なのかもしれない。
Wikipediaによれば、日本のホップ産地では、外来のホップと区別するために、在来のカラハナソウを「山ホップ」と呼ぶこともあるとのこと。
山ホップにも、同じ苦味成分は含まれるものの、量は少ないらしい。

気候が合って日本でも栽培できるホップだが、カラハナソウがあったために不都合なこともある。
カラハナソウに感染する病気があって、それがホップにも感染してしまう。ビールの本場ヨーロッパでは確認されていない病気。
その病原は「ウイロイド」と呼ばれるもの。「ウイルス」よりもさらに単純な(タンパク質の殻がない)、遺伝情報むき出しの塊のような、植物だけで確認されている病原体。
弘前大学農学生命科学部に、その研究をする教員がいらっしゃる。20年ほど前、そんなお話を伺い、大学の畑にやぐらを立ててホップの栽培を始められたのを拝見した。その後、成果を上げられたようだ。


ホップもカラハナソウも「雌雄異株(関連記事)」。
ビールの原料になる松ぼっくり状のものは雌花で、「毬花(まりばな?【22日補足・「きゅうか」らしい】)」と呼ばれる。ビール用には、基本的に花粉を受粉してしまったものはダメで、受粉していないもの、つまり「果実」ではなく「雌花」を使うそうだ。だから雄株は不要。

周辺の旭川沿いをざっと見た限りでは、これ以外にカラハナソウは見当たらなかった。こんなにたくさん雌花をつけても、種はできなさそう。


ネットで知ったのだが、カラハナソウの茎(つる)や葉を、指先でそっと触れてみた。
写真では分からない、ごく短いながら、硬い毛がびっしりと生えているのが分かる。植物の毛としては、かなり硬いと思う。指に刺さるようなトゲではなかった。※個体差があるかもしれないので、もし触る時は、念のため気をつけてください。
アサガオのつると葉には、目で見える柔らかい毛が生えているけれど、おそらくそれと同じく、つるをしっかりと巻きつけ、固定させるためだろう。

最近は暑さ対策の「緑のカーテン(グリーンカーテン)」として、ホップが使われることもある。
多年草だから手間がかからないかもしれない。
緑のカーテンからビールを作ろうとする人はいないだろうから、雄株でもいいし、カラハナソウだっていいでしょう。でも、むやみにホップを育てると、カラハナソウとの交雑が起きてしまい、純粋な在来種を汚染してしまうこともあるかもしれない(ビール原料としての栽培なら、雌株ばかりで、種にしないでビールにしてしまうのだから、ほぼ影響はないと思う)。
【20日追記】毬花はハーブティー、天ぷらなどにも使え、ポプリや(つるも含めて)リース、アレンジメントといった使いみちもあるとのこと。


10月上旬に見つけた時は、どの花も緑色だった。それから5日ほど経つと、
茶色くなった花も
通路向きの花は緑のままだが、川のほうに伸びたつるの花は枯れ始めていた。

こんな街中に山ホップがあったとは。

【追記】翌2021年のシーズンには、河川管理用通路の除草がされたのか、生えたのは確認できず。2022年も見当たらず。

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冬に備えて出没

2020-10-18 00:06:31 | 動物・植物
秋田市中央地区某所。
曇りの昼下がり、少し高い位置から、民家の庭を見下ろすと…
何かがもそもそ
ネコにしては大きく太った動物がいた。時折移動しながら、頭を落ち葉の中に出し入れしている。
落ち葉に頭を突っこむ

目のところが黒くて視線が分かりづらい
この動物は、ニホンアナグマ。
ニホンアナグマ
2011年春にも目撃したが、その時とだいたい同じ場所。その後にも何度か、この周辺でアナグマを目撃しているので、あまり驚かなかった。
でも、これまでは、いずれも夕方~夜で、短時間の遭遇。今回は、午後早い時間で、気づかれなかったこともあって10分ほど見ることができた。

アナグマは、ツキノワグマのような「熊」ではなく、イタチの仲間。近縁ではないがタヌキに姿や生態が似ている。
アナグマは人を襲うようなことはなく、人に気づけば逃げる(かいわゆる狸寝入りをする)。
アライグマのように凶暴でもなく、ハクビシンのように屋根裏に上がりこむことはできない(床下には入るかも)、日本在来の臆病な動物である。【18日補足・熊=ニホンツキノワグマも本来は臆病な動物ではある。】
【18日補足】この記事のタイトルは「冬に備えて出没」としたが、アナグマの生態からして、通年で生息して日常的に出没しているはず。アナグマがひっそりと行動し、人間は気づかないでいるというだけだと思う。ツキノワグマと人間は基本的には生活圏が重ならないものだが、アナグマと人間は実は共生している。

落ち葉に頭を突っこんでいたのは、ミミズや虫、あるいは草の実や根を探して食べていたのだろう。
こちらを向いてくれた
上の写真では、オレンジ色のものをくわえている。
ここには柿の木がある。落ち葉の多くがその葉。その中に、色は着いたものの落ちてしまった果実があって、それを見つけた。その場で食べずに、くわえて少し移動。
右下に柿を置いて一休み?
でも、この柿(寒冷地の柿はほぼすべて)って、渋柿。樹上でぐじゅぐじゅの熟柿にならない限り、動物は食べられないかと思うのですが、大丈夫?
食べたかどうかは確認できなかった。
【18日補足・アナグマは木登りは苦手。似たような動物が登って実を食べていたとすれば、ハクビシンかもしれない。】

今回、じっくりアナグマを観察できたが、今までよりも太っていて、顔(頭)がとても小さいように感じた。
考えてみれば、今は秋。アナグマはまもなく冬眠に入るはず。たくさん食べて備えていたのだろう。
(再掲)2011年春のアナグマ
あと、2011年に見たアナグマは、体毛の色が薄かった。当時もイメージや図鑑と比べても薄いと感じた。
今回の個体のほうが色が濃く、目の周りや鼻がより黒く、より標準的なニホンアナグマに見えた。個体差か、季節の違いか。

薄暗い時に行動するはずのアナグマにしては早いお出まし。車の走る音、人の声も時々していたが、警戒するそぶりはなく、大胆な行動だと思った。
この庭は開けているものの、四方を民家や塀に囲まれて隔絶されている。車は来ないし、人もほとんど現れないから、警戒心が薄れるのだろうか。
何より、冬に備えてたくさん食べたいアナグマさんは、食べ物探しに熱中していたのでしょうね。

柿の後、再び柿が埋もれていた辺りへ戻って、また探し始めた。
すると、どこかの家の工事だろうか「コンコンコン」と何かをたたく音が響いた(現場は見えない)。一瞬、動きを止めたが、再び食べ物探索。
2度目の「コンコンコン」が聞こえると、アナグマにしては急ぎ足で、音と逆方向の草むらのほうへ移動して、姿を消した。

この辺で最初にアナグマを見たのは、30年以上昔。脈々と確実にアナグマが息づいている。
以前と同じ結びになるけれど、アナグマは臆病だけど街なかでしたたかに生きている。
コメント (2)
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鶏頭120年

2020-10-14 00:35:20 | 動物・植物
秋の花壇。
今回の写真(最後の1枚以外)は、秋田市土崎地区の駐車場の角の小さな花壇を勝手に撮影させてもらいました。雨上がりに、鮮やかな花を、スマホで撮影したので、写りはいまいちですが。

手前のマリーゴールドは、丈夫で花が長く咲き、昔より花色のバリエーションも増えたためか、あいみょんの歌のためか、最近は人気。

ガーデニングの分野も流行り廃りがある。サルビアは昔ほど見かけなくなった気がするものの、別種のブルーサルビアが現れた。特に品種改良が盛んな秋田では、ダリアも増えた。
上の写真奥の、背の高い赤っぽい植物も、秋ならでは。
左は花盛り、右は終わりかけ。花の形や葉の色も微妙に違う。個体差? 品種が違う?
主に赤い、ふさふさした花を咲かせる「ケイトウ」である。

ケイトウは花の咲き方(花穂の形)の違いで、いくつかに分類される。分類法や名称は統一されていない。
写真のケイトウは、円錐形で「羽毛ケイトウ」「プルモーサ系」に分類されるタイプ。

ほかには「ノゲイトウ(野ケイトウ=後述)」「トサカケイトウ」「久留米ケイトウ」などに分けられる。最近はオレンジ色やピンク色の花や、鉢植えできる小さいもの(羽毛の矮性品種)も出ている。
個人的にはケイトウといえば、手芸用のモールを折り重ねたような久留米ケイトウ。秋の彼岸の供え花に、1本だけ入るのが定番かな。
トサカケイトウというのは、ニワトリのとさかを連想した命名。それ以前に「ケイトウ」は「鶏頭」で、和名そのものがニワトリの頭なのだけど。
羽毛ケイトウでもモールっぽい。触りたくなる
なお、葉が大きく鮮やかな「ハゲイトウ」、花穂が紐状になる「ヒモゲイトウ(名前は今初めて知った)」は、同じヒユ科だが、属が違う別種。ちなみに、スーパーフードと言われる「アマランサス」や、ひたち海浜公園の紅葉でおなじみ“コキア“や秋田名物トンブリのなる「ホウキギ」もヒユ科。

今年、少し意識してケイトウを探してみた。雰囲気が違うノゲイトウや、小型品種は見落としているはずだけど。
大きい品種では、彼岸の花以外では、ここで紹介している駐車場と、泉のハミングロードの一角の2か所しか見つけられなかった。どちらも羽毛ケイトウ。【20日追記・泉のケイトウは羽毛ケイトウではないようだ。この記事後半参照。また、土崎の民家ではとても立派な久留米ケイトウ(茎は緑色で理想的? なケイトウかも)らしきものが咲いていた。】【31日追記・さらに土崎駅前の自転車置き場(図書館側)の横の地域の花壇のようなところにも、泉と同じような茎も赤いケイトウを発見。】
育てるのは難しくないと思うし、見栄えのする花だと思うのに、あまり人気はないのかな。昔から切り花ばかりで、生えているのはあまり見た記憶がない。
どうして今年ケイトウを探したかというと、今年でちょうど120年になることを知ったから。

「鶏頭の十四五本もありぬべし」

正岡子規の俳句。
1900年9月の句会で出され、年内に発表された。

この句は、高校、たしか2年生の国語(現代文)の教科書に載っていた。
先生(前年の入学直後に、入試に「美しい」の書き取りを出題したことを批判した人。当時は若かったが、文学への造詣は深い方)が「『14、5本』としているところがいい。『15本ある』じゃいけない。」と話していたのだけ、強く印象づけられた。その辺はよく分からなかったものの、ただ「ケイトウがまとまって咲いている」という描写だけで、俳句が成り立つことが新鮮に感じられた。

近年知ったのだが、この句の評価は分かれ、戦後には「鶏頭論争」と呼ばれる出来事もあった。
要は、「鶏頭」が「十四五本」である必然性があるか、例えば「菊」「七八本」でもいいのではないか、ということらしい。
それを言ったら、全部の俳句でその指摘ができるように、素人は思ってしまう。高校生の時に感じた、単なる描写でもないようにも感じてしまう。
ほんとに俳句は難しい。だから句の解釈は分かりません。


この句は、東京都台東区根岸にある「子規庵」で、庭に咲くケイトウを見ながら作った(=句会の会場が子規庵)ようだ。
となると気になるのが、120年前に咲いていたケイトウは、どのケイトウか。

数年前、テレビで子規庵が紹介された時、今も庭に、(同じくゆかりがあるヘチマとともに)ケイトウを植えているのを見たが、何ケイトウかは忘れてしまった。
今、画像検索すると、現在の子規庵では羽毛ケイトウとトサカケイトウが混植されている感じ(年によっても違うはず)。そして本数は十四五本よりは多い。

というか、ケイトウは枝分かれして、それぞれに花穂が付く。
十四五本というのは、花穂の数だったのか、株(根本)の数だったのか、そこは論争にならないのでしょうか…
見下ろす羽毛ケイトウもまたきれい
↑つぼみもあって、うまく数えられないが、花穂はかなり多い。

こんな花もあった。最近、そこそこ見かける花だが、名前は知らなかった。
東部ガス秋田支社の花壇
おしゃれなガーデニングといった感じ。上記ブルーサルビアも合いそう。
この花は、花穂が細長く、先がとがり、色は先が濃いピンク、下が白のグラデーション。

実はこれが上で何度か出てきた「ノゲイトウ」らしい。本来の野生種はもっと短くて、赤い花だと思われ、これも品種改良はされているはず。
ノゲイトウは「セロシア」という名で流通することもあるそうだが、本来のセロシアはケイトウ属の学名なので、羽毛やトサカも含まれる。ガーデニング業界ではこういう命名がよくされてしまう。
このような色形の品種名として「ルビーパフェ」というのがあるが、写真がそれかどうかは断言できない。
120年前はたぶんなかった、このケイトウからはどんな句ができるでしょうか。

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10月の八重ムクゲ

2020-10-01 23:59:59 | 動物・植物
もう10月。
9月の秋田市は、猛暑日が2日もあり、夜間に豪雨になるような雨が多かった。
2020年9月の月間降水量は297.0ミリ。平年値は160.3ミリだから1.8倍。今年は7月も337.0ミリと平年の1.8倍降っている。

季節ごとに咲く花々。
多少なりとも植物に興味のある者として、「もうこの花の時期になったか」と季節の移ろいを思わされることは多いけれど、「この時期に(まだ or もう)この花が咲いている」と驚くこともある。それが異常気象のせいだと、決めつけてしまいそうだけど、実際には思いこみということもあるはず。そんな話。

秋田市保戸野千代田町から泉にかけての住宅街の遊歩道「ハミングロード」。地域の人たちの力もあって、さまざまな植物を見られる。
泉小北側。ピンクのオオケタデが咲いた
上の写真右側は、市立泉小学校グラウンド北辺のネット。
そこに生け垣風の低木が連続してあり、白い花が点々と咲いていた。
 

気付いたのは数年前なのだけど、おそらくハミングロードができた時(1983年に一部開通、1992年完成)から植えられていたのだろう。
(再掲)2011年早春。まだ葉が出ていないけどたしかにある

これはムクゲ。ムクゲは中国原産、大韓民国のシンボルでもあるが、日本でも親しまれる植物。丈夫で大木にはならず育てやすいこともあり、民家の庭によく植えられている。ムクゲの生け垣はあまり見ないし、公的な場所ではあまり見ない。生け垣としての維持や、落ちた花の処理は面倒だからかな。
ムクゲは、春に葉が出るのが遅い。秋田の屋外で越冬できる木としては、ネムノキとともにいちばん遅いと思う。そのわりには、花は初夏から夏中咲き続けている印象。
ムクゲの花は、1日で散る一日花かと思っていたが、実際には2日以上咲くこともあるそうだ。いずれにしても、散っても後から次々に咲く。
秋になると花は終わると思っていたのだが、上の写真は9月末撮影。秋と呼べる季節に、まだこんなに咲くもんだっけ?

ハミングロードでは、保戸野千代田町側にも少しムクゲがある。日当たりはいい場所なのに、泉側ほど茂っていないし、9月末でも花はだいぶ少なくなっていた。民家のムクゲもここまで咲いているのは見当たらず。泉のムクゲは、特に元気ではあるようだ。【2日追記・よそでは葉の一部が黄色くなってきている(=落葉態勢に入りつつある)ムクゲもあるが、泉のはどれも青々としている。】
茶道では夏の花として好んで飾られるそうだが、俳句では秋の季語とのこと。
今年だけたまたまなのか、来年もこうなのか。そして今年はいつまで咲き続けるか?

泉のムクゲは、全部が一体となった1本の木かのように見えるが、実際には本数多く密に植えられている。その証拠が花の違い。
白い花弁で中心部が赤い模様
ムクゲの花といえば、↑これと、ピンク地に赤模様、真っ白の3タイプをよく見る。
泉では、このほか、もう1種類の花もある。交互・半々に近い割合。
白の八重咲き
わりと珍しい、八重のムクゲ。
本来の外側の5枚の花弁はそのまま、中心部に小さい花弁がたくさんできて、八重咲きとなっている。
ムクゲ(あるいはハイビスカスなどアオイ科)独特の、突き出したおしべ・めしべが目立たなくなっているが、増えた花弁に埋もれて、いちおう存在するようだ。
今年の最後のセンター試験の生物でも出題(アサガオ)された「花の器官形成のABCモデル」に従うものの、変則的におしべの一部だけが、花弁に変化したのかな?

民家の庭では、このような八重咲きや、2色が混ざった花弁のムクゲを見ることがあるが、1種類ながらこんなにまとまって八重咲きがあるのは見たことがない。
この花は中の花弁が少なめ?
植える時に、意図して八重咲きを選んだのだろうか。

ムクゲは「木槿」と書く。樹皮やつぼみは漢方薬になり木槿皮、木槿花と呼ばれ、「もくきん」と読むそうだ。
そう言えば、中国や漢方とは縁がないはずのうちのばあさんは、ムクゲのことを「モッキン」と呼んでいた。

その後のムクゲ

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土崎のサイカチ

2020-06-28 20:26:39 | 動物・植物
ごくたまに通る、秋田市土崎の裏道。
先日、その沿道にある神社の敷地、町内会館的建物と道路の間のわずかなスペースに、大きな木があるのに気付いた。
今までも漠然と目に入っていたが、神社正面にある桜とまとめて認識してしまい、何の木か気にも留めないでいた。
逆光です
路上を覆うように伸びた枝に付いた葉を見ると、
桜などじゃない!
若葉ということもあるが、柔らかそうな羽のような葉。「羽状複葉」という構造。枝にはトゲもある。

ということは、秋田では珍しくもない、通称「アカシア」ことニセアカシア/ハリエンジュかと思いかけた。
だけど、幹は大木の風情があるどっしりとしたものだし、そもそもこういう場所にニセアカシアが生えているのって見たことがない。さらに、

「羽状複葉」は、軸の先端に1枚葉(頂小葉)が付く「奇数羽状複葉」と、それがない「偶数羽状複葉」に分けられる。※実際の枚数が偶数奇数かではなく、あくまでも頂小葉の有無で判断。
この木は偶数羽状複葉だが、ニセアカシアは奇数羽状複葉だったはず。

それ以前に、幹に目をやると、
トゲトゲ
栗のイガのようなトゲが密集している。いや、トゲの途中から向きが違うトゲが生えているから、栗などより手強い。

これはもしや、話には聞いていた「サイカチ」?
いつか実物、特に花を見てみたいと思っていたが、こんな所にあったとは。つぼみがあるから、もう少しすれば花が見られる?
房状のつぼみ
この時、クマバチが飛び交っていたので、よく探してみると、
低い位置に花が咲いていた!
これがサイカチの花か!
花弁は目立たず緑色に近い黄色、おしべめしべがブラシのように目立ち、葉より短い(10センチ強)房。強い香りはなかったと思う。

想像していたサイカチの花と、けっこう違う。
ニセアカシア、フジ、キングサリなど、初夏に咲く、比較的近縁の植物たちの先入観があって、もっと色鮮やかな花弁で、もっと長い房だと思いこんでいた。
なお、黄色い鮮やかなキングサリのような花が咲く「ナンバンサイカチ」というのもあるが、サイカチとは別属なので直接の関係はないはず。

この写真は6月中旬撮影。先週末再訪したところ、もう花はなくなっていた。
ネットによればサイカチは、1つの株で雄花、雌花、おしべめしべ両方ある両性花の3種類が咲き、年によって雌雄のバランスが偏るのだそう。
ちなみにケヤキも3種の花が咲くが、これは位置(枝先とは上下とか)で決まるらしい。

花後は、マメ科らしく豆ができる。赤い色(ツタンカーメンのエンドウっぽい色)で、らせん状にカールした、長いさやだそうで、花より目立ちそう。
このさやには、サポニンが含まれて泡立つため、昔は石鹸代わりに使われ、庭などに植えられることもあったそうだ。
なお、条件や個体差なのか、トゲも赤くなるサイカチもあるようだ。


さらに調べると、サイカチはいろいろとおもしろい木。
まず、クヌギ、コナラ同様に樹液がしみ出しやすく、カブトムシやクワガタムシが集まるそうだ。
久保田藩(秋田藩)では、一里塚に植える樹木としてエノキ(秋田市八橋はエノキ)よりも、サイカチを多く植えたとのこと。今も大仙市神岡町・道の駅かみおか付近の「三本杉一里塚」、さらに大仙市豊岡で残っており、豊岡のは「(大きさが?)日本一」とする書籍もあるそうだ。【←29日地名をいろいろ間違っていたので、修正】
横手市増田の内蔵の町並み近くには、江戸時代に菅江真澄も描いた「舟つなぎのサイカチ」も現存。潟上市天王の東湖八坂神社には20本ほど群生する。
「秋田市木かげマップ」によれば、下新城岩城の庚申塚と下北手宝川の県道沿いにある。
土崎の裏道も、明治時代頃は町と田んぼの境の道だったようだから、もしかしたら、下新城や下北手のような、沿道のランドマークのような意味で植えられたのかもしれない。
また、土崎神明社隣、D51のある「土崎街区公園」にも、昔はサイカチがあったとのこと。

それにしても、一里塚とか舟つなぎとか不特定多数が利用する場所に、こんなトゲの多い木を植えたら、今の感覚では危なっかしくてしょうがない。うっかりもたれかかったりして、痛い思いをした人はいなかったのだろうか。


ところで、2017年末の記事で、サイカチのことに触れていた。
レレレのおじさんの初代などを務めた声優・槐 柳二さんが亡くなったこと。
昔、「槐」が気になって調べて、「さいかち」であることを知り、それはこのサイカチであると思いこんで(花は上記の通りさらに勘違い)いた。トゲトゲの姿を見れば「木偏に鬼」が正しそうだが、違うのだった。
読みは「さいかち」だけど、意味としては「エンジュ」を指すそうだ。ややこしい。
ニセアカシア=ハリエンジュとは別に、エンジュという種もあるのだが、これまたややこしい。

「槐」で調べると、秋田市に「雄和妙法字槐下」という地名があった。「さいかちした」。
雄物川沿いで、秋田市街地から空港へ向かう県道でも通過する。雄和市民サービスセンターを過ぎて秋田国際ダリア園の手前、田んぼに民家が点在する辺り。じゃあ、エンジュの木が生えていたということ?
【10月23日】能代市にはズバリ「槐」という大字が存在した。奥羽本線鶴形駅の米代川対岸から山側にかけての一帯。両隣の轟地区と常盤地区は見聞きする地名だが、槐は知らなかった。



Googleストリートビューで、土崎のサイカチを見ると、2015年夏にはばっさりと剪定され(トゲ対応で割り増し料金取られそう?)、2019年秋には現在並みの枝ぶりになっていた。
今もしっかりと管理され、木も元気ということになろう。また観察させてもらいます。続きはこちら
コメント (4)
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