秋田市中央地区の旭川沿いの河川管理用通路(≒歩行者用通路)のフェンス。
つる植物がからまっている
4年前に「ガガイモ」という植物を紹介した。最近は見かけなくなってしまった。
そのほぼ対岸、住宅地のフェンス。
街中でもよく見る、つる性の植物としては、いずれもブドウ科のノブドウやヤブガラシが定番。この近辺にも多い。
なお、ヤブガラシの花はスズメバチが好み、9月頃花の時期には、よく見かけた。自分たちの巣の近くではなければ、スズメバチもさほど攻撃はしないらしいが、通りかかると怖い。
このつるはそれらとは違う。ノブドウ・ヤブガラシは、上というより横方向、地上をはうように伸びることも多いが、これは積極的に上へ伸びている。
そして、松ぼっくりのような形の、淡い緑の実のようなものがたくさんぶら下がっている。
ふわふわ柔らかそう
アサ科の「カラハナソウ」という植物。
川のほうにもつるを伸ばしている
カラハナソウの名前は知らなくても、ぶら下がっているものに見覚えがある方もいらっしゃるかもしれない。ビールの原料に欠かせない「ホップ」?
ホップはビールメーカーのホームページやパッケージに写真や絵が出ている。それと比べると、旭川のカラハナソウは、似ているものの全体に丸みを帯びた形状。
また、つる(茎)の色は、ホップでは緑色のようだが、ここのカラハナソウは赤い。個体差かもしれない。
カラハナソウとホップは、まったく同一の種ではないが、かなり近縁種。「変種」という関係になる。動物でいう「亜種」のような位置付け。
ホップは「セイヨウカラハナソウ」とも呼ばれるヨーロッパ原産種。日本では北海道の一部に自生する所もあるとのこと。
カラハナソウは、日本では中部以北と北海道に自生する。山野や林に生えるそうで、このような街中の川沿いというのは、珍しいのかもしれない。
カラハナソウには、20年以上前、秋田市河辺地区の岨谷峡(そやきょう)の、道路からすぐの所で見たことがあって、それ以来2度目の遭遇。
ビールの原料としてのホップは、日本国内でも栽培され、それを売りにしているメーカーや商品もある。
岩手県の遠野、秋田県の横手市大雄などで、やはりカラハナソウの分布域と重なる寒い土地ばかり。
青森県でも栽培されていると聞いたことがあった。三戸町だそうだが、年々生産者が減って、今は皆無という情報もあれば、1軒だけと聞いた気もする。
多年草なので、植え替えなどは要らないが、高いやぐらを組んで育てるので、作業は大変なのかもしれない。
Wikipediaによれば、日本のホップ産地では、外来のホップと区別するために、在来のカラハナソウを「山ホップ」と呼ぶこともあるとのこと。
山ホップにも、同じ苦味成分は含まれるものの、量は少ないらしい。
気候が合って日本でも栽培できるホップだが、カラハナソウがあったために不都合なこともある。
カラハナソウに感染する病気があって、それがホップにも感染してしまう。ビールの本場ヨーロッパでは確認されていない病気。
その病原は「ウイロイド」と呼ばれるもの。「ウイルス」よりもさらに単純な(タンパク質の殻がない)、遺伝情報むき出しの塊のような、植物だけで確認されている病原体。
弘前大学農学生命科学部に、その研究をする教員がいらっしゃる。20年ほど前、そんなお話を伺い、大学の畑にやぐらを立ててホップの栽培を始められたのを拝見した。その後、成果を上げられたようだ。
ホップもカラハナソウも「雌雄異株(関連記事)」。
ビールの原料になる松ぼっくり状のものは雌花で、「毬花(まりばな?【22日補足・「きゅうか」らしい】)」と呼ばれる。ビール用には、基本的に花粉を受粉してしまったものはダメで、受粉していないもの、つまり「果実」ではなく「雌花」を使うそうだ。だから雄株は不要。
周辺の旭川沿いをざっと見た限りでは、これ以外にカラハナソウは見当たらなかった。こんなにたくさん雌花をつけても、種はできなさそう。
ネットで知ったのだが、カラハナソウの茎(つる)や葉を、指先でそっと触れてみた。
写真では分からない、ごく短いながら、硬い毛がびっしりと生えているのが分かる。植物の毛としては、かなり硬いと思う。指に刺さるようなトゲではなかった。※個体差があるかもしれないので、もし触る時は、念のため気をつけてください。
アサガオのつると葉には、目で見える柔らかい毛が生えているけれど、おそらくそれと同じく、つるをしっかりと巻きつけ、固定させるためだろう。
最近は暑さ対策の「緑のカーテン(グリーンカーテン)」として、ホップが使われることもある。
多年草だから手間がかからないかもしれない。
緑のカーテンからビールを作ろうとする人はいないだろうから、雄株でもいいし、カラハナソウだっていいでしょう。でも、むやみにホップを育てると、カラハナソウとの交雑が起きてしまい、純粋な在来種を汚染してしまうこともあるかもしれない(ビール原料としての栽培なら、雌株ばかりで、種にしないでビールにしてしまうのだから、ほぼ影響はないと思う)。
【20日追記】毬花はハーブティー、天ぷらなどにも使え、ポプリや(つるも含めて)リース、アレンジメントといった使いみちもあるとのこと。
10月上旬に見つけた時は、どの花も緑色だった。それから5日ほど経つと、
茶色くなった花も
通路向きの花は緑のままだが、川のほうに伸びたつるの花は枯れ始めていた。
こんな街中に山ホップがあったとは。
【追記】翌2021年のシーズンには、河川管理用通路の除草がされたのか、生えたのは確認できず。2022年も見当たらず。
つる植物がからまっている
4年前に「ガガイモ」という植物を紹介した。最近は見かけなくなってしまった。
そのほぼ対岸、住宅地のフェンス。
街中でもよく見る、つる性の植物としては、いずれもブドウ科のノブドウやヤブガラシが定番。この近辺にも多い。
なお、ヤブガラシの花はスズメバチが好み、9月頃花の時期には、よく見かけた。自分たちの巣の近くではなければ、スズメバチもさほど攻撃はしないらしいが、通りかかると怖い。
このつるはそれらとは違う。ノブドウ・ヤブガラシは、上というより横方向、地上をはうように伸びることも多いが、これは積極的に上へ伸びている。
そして、松ぼっくりのような形の、淡い緑の実のようなものがたくさんぶら下がっている。
ふわふわ柔らかそう
アサ科の「カラハナソウ」という植物。
川のほうにもつるを伸ばしている
カラハナソウの名前は知らなくても、ぶら下がっているものに見覚えがある方もいらっしゃるかもしれない。ビールの原料に欠かせない「ホップ」?
ホップはビールメーカーのホームページやパッケージに写真や絵が出ている。それと比べると、旭川のカラハナソウは、似ているものの全体に丸みを帯びた形状。
また、つる(茎)の色は、ホップでは緑色のようだが、ここのカラハナソウは赤い。個体差かもしれない。
カラハナソウとホップは、まったく同一の種ではないが、かなり近縁種。「変種」という関係になる。動物でいう「亜種」のような位置付け。
ホップは「セイヨウカラハナソウ」とも呼ばれるヨーロッパ原産種。日本では北海道の一部に自生する所もあるとのこと。
カラハナソウは、日本では中部以北と北海道に自生する。山野や林に生えるそうで、このような街中の川沿いというのは、珍しいのかもしれない。
カラハナソウには、20年以上前、秋田市河辺地区の岨谷峡(そやきょう)の、道路からすぐの所で見たことがあって、それ以来2度目の遭遇。
ビールの原料としてのホップは、日本国内でも栽培され、それを売りにしているメーカーや商品もある。
岩手県の遠野、秋田県の横手市大雄などで、やはりカラハナソウの分布域と重なる寒い土地ばかり。
青森県でも栽培されていると聞いたことがあった。三戸町だそうだが、年々生産者が減って、今は皆無という情報もあれば、1軒だけと聞いた気もする。
多年草なので、植え替えなどは要らないが、高いやぐらを組んで育てるので、作業は大変なのかもしれない。
Wikipediaによれば、日本のホップ産地では、外来のホップと区別するために、在来のカラハナソウを「山ホップ」と呼ぶこともあるとのこと。
山ホップにも、同じ苦味成分は含まれるものの、量は少ないらしい。
気候が合って日本でも栽培できるホップだが、カラハナソウがあったために不都合なこともある。
カラハナソウに感染する病気があって、それがホップにも感染してしまう。ビールの本場ヨーロッパでは確認されていない病気。
その病原は「ウイロイド」と呼ばれるもの。「ウイルス」よりもさらに単純な(タンパク質の殻がない)、遺伝情報むき出しの塊のような、植物だけで確認されている病原体。
弘前大学農学生命科学部に、その研究をする教員がいらっしゃる。20年ほど前、そんなお話を伺い、大学の畑にやぐらを立ててホップの栽培を始められたのを拝見した。その後、成果を上げられたようだ。
ホップもカラハナソウも「雌雄異株(関連記事)」。
ビールの原料になる松ぼっくり状のものは雌花で、「毬花(まりばな?【22日補足・「きゅうか」らしい】)」と呼ばれる。ビール用には、基本的に花粉を受粉してしまったものはダメで、受粉していないもの、つまり「果実」ではなく「雌花」を使うそうだ。だから雄株は不要。
周辺の旭川沿いをざっと見た限りでは、これ以外にカラハナソウは見当たらなかった。こんなにたくさん雌花をつけても、種はできなさそう。
ネットで知ったのだが、カラハナソウの茎(つる)や葉を、指先でそっと触れてみた。
写真では分からない、ごく短いながら、硬い毛がびっしりと生えているのが分かる。植物の毛としては、かなり硬いと思う。指に刺さるようなトゲではなかった。※個体差があるかもしれないので、もし触る時は、念のため気をつけてください。
アサガオのつると葉には、目で見える柔らかい毛が生えているけれど、おそらくそれと同じく、つるをしっかりと巻きつけ、固定させるためだろう。
最近は暑さ対策の「緑のカーテン(グリーンカーテン)」として、ホップが使われることもある。
多年草だから手間がかからないかもしれない。
緑のカーテンからビールを作ろうとする人はいないだろうから、雄株でもいいし、カラハナソウだっていいでしょう。でも、むやみにホップを育てると、カラハナソウとの交雑が起きてしまい、純粋な在来種を汚染してしまうこともあるかもしれない(ビール原料としての栽培なら、雌株ばかりで、種にしないでビールにしてしまうのだから、ほぼ影響はないと思う)。
【20日追記】毬花はハーブティー、天ぷらなどにも使え、ポプリや(つるも含めて)リース、アレンジメントといった使いみちもあるとのこと。
10月上旬に見つけた時は、どの花も緑色だった。それから5日ほど経つと、
茶色くなった花も
通路向きの花は緑のままだが、川のほうに伸びたつるの花は枯れ始めていた。
こんな街中に山ホップがあったとは。
【追記】翌2021年のシーズンには、河川管理用通路の除草がされたのか、生えたのは確認できず。2022年も見当たらず。
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