広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

鶏頭120年

2020-10-14 00:35:20 | 動物・植物
秋の花壇。
今回の写真(最後の1枚以外)は、秋田市土崎地区の駐車場の角の小さな花壇を勝手に撮影させてもらいました。雨上がりに、鮮やかな花を、スマホで撮影したので、写りはいまいちですが。

手前のマリーゴールドは、丈夫で花が長く咲き、昔より花色のバリエーションも増えたためか、あいみょんの歌のためか、最近は人気。

ガーデニングの分野も流行り廃りがある。サルビアは昔ほど見かけなくなった気がするものの、別種のブルーサルビアが現れた。特に品種改良が盛んな秋田では、ダリアも増えた。
上の写真奥の、背の高い赤っぽい植物も、秋ならでは。
左は花盛り、右は終わりかけ。花の形や葉の色も微妙に違う。個体差? 品種が違う?
主に赤い、ふさふさした花を咲かせる「ケイトウ」である。

ケイトウは花の咲き方(花穂の形)の違いで、いくつかに分類される。分類法や名称は統一されていない。
写真のケイトウは、円錐形で「羽毛ケイトウ」「プルモーサ系」に分類されるタイプ。

ほかには「ノゲイトウ(野ケイトウ=後述)」「トサカケイトウ」「久留米ケイトウ」などに分けられる。最近はオレンジ色やピンク色の花や、鉢植えできる小さいもの(羽毛の矮性品種)も出ている。
個人的にはケイトウといえば、手芸用のモールを折り重ねたような久留米ケイトウ。秋の彼岸の供え花に、1本だけ入るのが定番かな。
トサカケイトウというのは、ニワトリのとさかを連想した命名。それ以前に「ケイトウ」は「鶏頭」で、和名そのものがニワトリの頭なのだけど。
羽毛ケイトウでもモールっぽい。触りたくなる
なお、葉が大きく鮮やかな「ハゲイトウ」、花穂が紐状になる「ヒモゲイトウ(名前は今初めて知った)」は、同じヒユ科だが、属が違う別種。ちなみに、スーパーフードと言われる「アマランサス」や、ひたち海浜公園の紅葉でおなじみ“コキア“や秋田名物トンブリのなる「ホウキギ」もヒユ科。

今年、少し意識してケイトウを探してみた。雰囲気が違うノゲイトウや、小型品種は見落としているはずだけど。
大きい品種では、彼岸の花以外では、ここで紹介している駐車場と、泉のハミングロードの一角の2か所しか見つけられなかった。どちらも羽毛ケイトウ。【20日追記・泉のケイトウは羽毛ケイトウではないようだ。この記事後半参照。また、土崎の民家ではとても立派な久留米ケイトウ(茎は緑色で理想的? なケイトウかも)らしきものが咲いていた。】【31日追記・さらに土崎駅前の自転車置き場(図書館側)の横の地域の花壇のようなところにも、泉と同じような茎も赤いケイトウを発見。】
育てるのは難しくないと思うし、見栄えのする花だと思うのに、あまり人気はないのかな。昔から切り花ばかりで、生えているのはあまり見た記憶がない。
どうして今年ケイトウを探したかというと、今年でちょうど120年になることを知ったから。

「鶏頭の十四五本もありぬべし」

正岡子規の俳句。
1900年9月の句会で出され、年内に発表された。

この句は、高校、たしか2年生の国語(現代文)の教科書に載っていた。
先生(前年の入学直後に、入試に「美しい」の書き取りを出題したことを批判した人。当時は若かったが、文学への造詣は深い方)が「『14、5本』としているところがいい。『15本ある』じゃいけない。」と話していたのだけ、強く印象づけられた。その辺はよく分からなかったものの、ただ「ケイトウがまとまって咲いている」という描写だけで、俳句が成り立つことが新鮮に感じられた。

近年知ったのだが、この句の評価は分かれ、戦後には「鶏頭論争」と呼ばれる出来事もあった。
要は、「鶏頭」が「十四五本」である必然性があるか、例えば「菊」「七八本」でもいいのではないか、ということらしい。
それを言ったら、全部の俳句でその指摘ができるように、素人は思ってしまう。高校生の時に感じた、単なる描写でもないようにも感じてしまう。
ほんとに俳句は難しい。だから句の解釈は分かりません。


この句は、東京都台東区根岸にある「子規庵」で、庭に咲くケイトウを見ながら作った(=句会の会場が子規庵)ようだ。
となると気になるのが、120年前に咲いていたケイトウは、どのケイトウか。

数年前、テレビで子規庵が紹介された時、今も庭に、(同じくゆかりがあるヘチマとともに)ケイトウを植えているのを見たが、何ケイトウかは忘れてしまった。
今、画像検索すると、現在の子規庵では羽毛ケイトウとトサカケイトウが混植されている感じ(年によっても違うはず)。そして本数は十四五本よりは多い。

というか、ケイトウは枝分かれして、それぞれに花穂が付く。
十四五本というのは、花穂の数だったのか、株(根本)の数だったのか、そこは論争にならないのでしょうか…
見下ろす羽毛ケイトウもまたきれい
↑つぼみもあって、うまく数えられないが、花穂はかなり多い。

こんな花もあった。最近、そこそこ見かける花だが、名前は知らなかった。
東部ガス秋田支社の花壇
おしゃれなガーデニングといった感じ。上記ブルーサルビアも合いそう。
この花は、花穂が細長く、先がとがり、色は先が濃いピンク、下が白のグラデーション。

実はこれが上で何度か出てきた「ノゲイトウ」らしい。本来の野生種はもっと短くて、赤い花だと思われ、これも品種改良はされているはず。
ノゲイトウは「セロシア」という名で流通することもあるそうだが、本来のセロシアはケイトウ属の学名なので、羽毛やトサカも含まれる。ガーデニング業界ではこういう命名がよくされてしまう。
このような色形の品種名として「ルビーパフェ」というのがあるが、写真がそれかどうかは断言できない。
120年前はたぶんなかった、このケイトウからはどんな句ができるでしょうか。

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