田神六兎の明るい日記帳

田神六兎の過去、現在、そして起こるであろう出来事を楽しく明るくお伝えします。

持ち帰り?

2016年07月07日 | 日記
 昔々、私の親父は地方議員をしていました。4年毎の選挙は家族にとっては試練であり、苦でした。幼いころの私は、期間中の疎開を余儀なくされ、親しい家に預けられました。
 
 選挙法が改正され、18歳に選挙権が与えられことがTVで華々しく伝えられていますが、二十歳を過ぎれば選挙をすることが、至極当たり前のことで記事にもなりません。それよりも毎年成人式で暴れる子達に、選挙の意味が解るのか不安になります。
 
 私の初選挙は親父の選挙、大学2年の秋でした。今は廃校になった小学校の薄暗い昇降口が投票所でした。地元色の濃い田舎の選挙ですから、その投票所で書かれる名前のほとんどは親父の名前だったと思います。とうぜんながら、地元には支持者も多く、立会人も支持者だったと思います。閉鎖的な選挙ですから、支持者が逃げることを防ぐのが最大の選挙活動でしたから、酒席あり食事ありの、今からでは考えられない選挙期間でした。だからこそ子供を疎開させたかったのかもしれません。
 
 そのころまことしやかに噂されていたことは「後ろからだと、投票用紙に記入している肩の動きや手の動きで、誰を書いたのか解る」と、選挙立会人が言ったとか言わないとかの話でした。
 
 親父にとっては間違いない1票だから「六兎は選挙に行ったか?」と人を介して私の投票を確かめるありさまでした。もちろん選挙には行き、父親の名前を書きましたが、立会人の方々が挨拶してくれたり、小声で「息子さん、一番下の息子さ」との声が聞こえて来ました。『父親の名前を書かなかったら、後ろから見破られるかな』と思いました。いっそ投票用紙を持ち帰ろうかと、一瞬思いました。今日はじめて『持ち帰り』の意味を知りました。