田神六兎の明るい日記帳

田神六兎の過去、現在、そして起こるであろう出来事を楽しく明るくお伝えします。

昨日の続きです なにはともあれ無事で良かった2

2013年09月29日 | 日記
 幼い子は安心したのかとても饒舌になりました。夜更けだというのにとても大きな声で話し続けます。私は「そんなに大声で話したら寝てる人が起きてしまうから、ヒソヒソ、小さな声で話そうな。」と言い、三人の部屋番号を聞き出そうとしました。私も妻も、この子達は三人兄弟で、叱られてでもして家を飛び出し、親を困らせようと公園で野宿をきめこんだと思い込んでいました。しかし、この時間になっても子供たちを捜そうとしない親さんは夜の仕事なのか、それとも複雑な家庭環境の子達か考えをめぐらしました。
 小刻みに震える幼い子のために、妻が息子の古着を倉庫から持ってきました。息子には小さくなってしまった古着でしたが、子供会のバザー用に処分しないで倉庫に保管してありました。濡れた衣類を全部脱がしました。砂がつかないように二人の子達に持たせました。全部脱がした幼い子を妻がタオルでゴシゴシこすりました。「少しは暖かくなるでしょ、乾いたら服を着せてあげるからね。」というと、幼い子はとても恥ずかしそうに、前を小さな手で隠していました。妻が「風邪をひくといけないから、セーターの上でもいいからこのジャンパーも着なさいね。」とキャラクターがついたジャンパーを手渡しました。幼い子の顔に明かりが灯ったように、彼は「おばさん、これいつ返せばいいの?。」と、強く握り締めたジャンパーを妻の前に突き出しました。妻が「ううん、家の子大きくなっからもう着られないの、だから返さなくてもいいよ、お母さんにそう言いなさい。」というと、彼はうれしそうに「ありがとう。」と言いました。
 いよいよ私が彼たちの室番号を聞きださねばなりません。三人の子達を怯えさせないように注意しながら「家の人に叱られたのだろ?。」と聞くと三人とも首を横に振ります。「君らの家は7号館かい?。それとも13号館かい?。」あてずっぽに聞いても首を横に振るばかりです。「じゃぁ、おじさんとおばさんが家の人に、『叱らないで下さい。』ってお願いしてあげるから、おじさんと家までいっしょに行こう。」というと、幼い子が「おじさん、もう電車無いよ。」と言うではありませんか。団地の子ばかりだと思っていたのが間違いでした。
 「そうか、おじさんはてっきり君たちの家がここにあると思っていた。ごめんね、君たちの家はどこにあるの?。」と聞いたら、幼い子は一生懸命言おうとするのですが、口をモゴモゴさせるばかりでなかなか言えません。年長の子が「S市です。」と言いました。「ありゃぁ~、君たち家出か?。」と少しおちょけた調子で言いました。「お家の人が心配してるぞ、もう家に帰りなよ。送ってあげるからさ。」と言うと、幼い子の目から涙が溢れてきました。年長さんも年中さんもしゃくりあげて泣くのを我慢していました。きっと随分心細かったのだろうね。幼い子が妻の手握って「おばさん、僕ら悪いことしたの・・・お店でロウソクとライターを盗った。」と言いながらまた泣き出しました。年長さん年中さんはうな垂れてしまいました。妻が困った目で私を見つめます。またまた長くなりましたので明日に続きます。