ちょうど花の季節のアケビがありました。アケビは新潟にもある種ですが海岸に近いエリアを中心にし分布していますから普段は馴染みのない種です。丘陵公園にはミツバアケビとの雑種であるゴヨウアケビが見られますがアケビはありません。もちろんミツバアケビは自生しています。
アケビは花は同じ個体でも雌雄異花です。花軸の基部のものが雌花、先にある花が雄花。花弁のない花で花弁様のものはがくです。アケビのがくは薄い紫色で雄花も雌花の同じ色です。ミツバアケビはこれが濃い紫色で、ゴヨウアケビは雌花が濃い紫色雄花は薄い紫色になっていて、花で種を区別できます。
自生のアリドウシを久しぶりに見ました。二次林の林床に生育しています。残念ながら赤い実は残っていませんでした。千両や万両の系列で一両に位置づけられる種です。新潟では自生は見られませんから、ヤブコウジの十両までの話はよく聞きますが一両のことになると話が途切れます。
銚子の犬吠埼の近くに常緑樹林の極相林と考えられている神社林があると知り訪れました。タブノキ、ヤブニッケイ、スダジイ、モチノキ、カクレミノ、ヤブツバキなどで構成される森は数百年以上火災や伐採を受けていないものだそうです。目立った巨樹は見当たらず径のさほど差のない高木が樹高およそ20ⅿ以上なのではないかと思われる神秘的な森でした。それぞれの種を特定し写真に収めようとしてもどれも高木でうまくいきません。
常緑樹林の大きな特徴で生育するそれぞれの林冠の占有エリアが決まっています。一種のテリトリーで隣接する樹木との葉の生育するエリアが仕切られているのです。このような占有空間を持てないとこの世界では生きていけないことになります。高木が死にギャップができると空白ができますが、その時とばかり林床で耐えていた幼木が一気に生育して自らの空間を占有しようとします。もちろん隣接する高木の方からも枝が伸びてきて激しい競争になることでしょう。しかし、力学上の問題もありますから極端に長い枝が伸びだしてくることもないと思います。
このようなすみ分けに似た現象は落葉樹林では観察できません。明確な生育エリアの区別がなく重なり合う部分があるためと思われます。
このようなすみ分けに似た現象は落葉樹林では観察できません。明確な生育エリアの区別がなく重なり合う部分があるためと思われます。