カエデの仲間もいくつか観ました。コミネカエデは結構大木になりますが目の高さに花が付いていた低木状態の個体がありました。ミネカエデに比べ葉が小さ目で、先端が鋭くとがった形状になるのが特徴です。ブナ帯に普通にあるという感じで、ミネカエデより低所に多いようです。上高地内ではミネカエデも自生しています。
雌雄異株と雌雄同株が混在する種です。この花序を観るとすべて雄花ですから雄株のようです。花弁とがくが5枚ずつありますが花弁が目立ちがくは小さい。長いおしべが印象的です。ちなみに、ミネカエデの花は花弁とがくが長さが同じくらいですから花弁が十枚あるように見えてしまいます。
アサノハカエデの幼木もありました。カエデ類の葉はよく似たものが多いのですが、花がなくても葉に差が出ていますから微妙な質感の違いを見極めるように訓練しています。この種も深山から亜高山帯で見かけることが多い種です。不思議と花のタイミングを逃しています。もう少し大きめの個体なら花も見られたかもしれません。
亜高山帯で見られるコマガタケスグリが小沢の縁に生育していました。他の草木に紛れてあまり気づくことのない低木です。花も小さく地味で花期でもほとんど目立ちません。この時は花は終わって細長い花序にぽつぽつと青い果実が見られる時期でした。
赤黒く熟すはずですがなんとなく思い出せません。どこかで観た記憶があるようなそして口に入れて味わったような定かではありません。スグリの仲間ですから食用になるはずです。近縁種のザリコミも上高地で見られました。これも熟期には出会っていませんから、甘酸っぱさを体験していません。
上高地にもササバギンランが住んでいました。丘陵公園にも自生する種で里山のような低地の種の印象を抱いているところがあります。植物によって垂直分布がたいへん広いものも多くありますからそれほど不思議なことではありませんが、里山のキンランとギンラン(orササバギンラン)は対になっていて一つのイメージを作っています。
花がないので少し自信がないのですが、アケボノシュスランがありました。大きな群落を作っていることが多いのですが、今回はごく小さな個体群。そういう点でもアケボノかなぁ?しかし、葉の質感は経験的にアケボノシュスランです。もっと丁寧に探せばラン科植物もたくさん出てくると思いますが、森の内部には踏み込めませんから今回見つけた種はそれほど多くはありません。
木道から少し離れているのではっきりとしたことは言えないところがあるのですが、写真を見るカギ入りバイケイソウと思います。花がまだ咲かない状態で決め手に欠くのですが草丈や葉の様子などで過去の記憶と照らし合わせて判断しました。
葉の形質からヒロハカツラと思われる低木がありました。カツラは時々見ますがヒロハカツラは今まで一度だけ記憶がある程度で珍しい種です。高木になる種ですが上高地内にも大木があると思います。中部以北の亜高山帯に生育するとされる種です。花や実の状態を観察してみたい種です。