つる性のハンショウヅルです。発見は高知の鳥形山なのだそうですが新潟の山野に広く分布しています。薄黄色い花が半鐘に似ていることからの名付けでしょう。言い得て妙ですね。花は枝や葉の裏に隠されることが多くついつい見逃してしまうことになります。しっかり捜し歩くといろいろなものが見えてきます。
センニンソウ属を学名で言うとクレマチス(Clematis)になります。ハンショウヅルもセンニンソウ属ですからクレマチスの一員。花のきれいな絶滅危惧種のカザグルマ等と一緒の仲間になります。ちょっと不思議な気がしますが、花後の果実を観ると納得します。
しろ池に向かう雑木の林は様々な種が見られます。ヒメコウゾもその中の一つ。花が咲いている時期で雌花と雄花の観察には最適な状態でした。雌雄同株の種ですが、花は別々で枝の先の方に雌花が付きます。クリを小さくしたようなとげとげの球体が雌花序。赤紫の棘のようなものがめしべの花柱ということになります。受粉後橙色の果実になるのですが、クワの仲間でおいしそうに見えますが口に入れると大変なことになります。確かに甘く一瞬はいいのですが、その後が固い棘のような花柱があちこちに刺さってなかなかとれません。でも一度は経験しておいた方がいいのかもしれませんね。有毒ではありません。
クワに似ています。葉の切れ込みもあったりなかったりでかなり変化しています。半つる性の落葉低木。樹皮から紙を作ることができるそうですが、産業としての和紙の原料のコウゾはヒメコウゾとカジノキの雑種なのだそうです。
街路樹などにも利用されていて人々の生活にかなり溶け込んでいるヤマボウシですが、案外知らないのがヤマボウシの花ではないでしょうか。ふつう言われる花は実は総苞片が花弁状見えているものでいわゆる花弁ではありません。花は4枚の総苞片に囲まれている中央の小さな塊の中にあります。
総苞片はすっかり開いていましたが、花本体はまだつぼみのものがほとんど。ただし、先初めの変化を示しているものがパラパラとありました。しかし、赤く見えるのは何でしょうか?開花した花は4枚の緑色をした花弁を持つもの。筒状の構造体は私の知識にはありません。咲きだしの花の様子をもっと丁寧に観察しないとはっきりしたことは言えません。さらには奥には花を覆っていた花皮が帽子のようになっている姿があります。これもまた不思議な造形です。知っているようで知らないことばかり。自然というのは奥の深いものだとまたまた思い知らされています。また宿題ができました。
キンランに続いてギンランが出てきました。実をいうと同属のササバギンランは何度も出会ってはいるのですが、ギンランをしっかり確認できたのは今回が初めてかもしれません。ササバギンランに比べるとやや小さな個体で頂部の葉が短いのが大きな特徴。全国に自生する自生ランとなってはいるものの、経験的に新潟県内では圧倒的に少ないのではないでしょうか。
白い花はなかなかピントが合わせずらく、何度も取り直してもいい写真になりません。この花も全開しない花で咲いているのかすぼんでいるのか定かではありません。全体の花はササバギンランに比べ丸みを持っている感じです。
なんとササバギンランにも出会いました。キンラン属3種に出会えるのは幸運以外何物でもありません。ギンランに比べ草丈は大きく葉が細長い種です。花も細く尖った感じがするものでギンランのやさしさに比べきびきびした鋭さを感じます。