夏近し其の口たばへ花の風 宗 房(芭蕉)
『犬子(えのこ)集』には、
山風の吹口とぢよ樺桜(かばざくら)
風袋口ぬひとめよいとざくら
のような例が見られる。この句の「口」というのも、風神の持っているという風袋(かざぶくろ)の口であると考えられる。
「たばへ」は、他動詞「たばふ」の命令形で、
①惜しむ。大切に守る。
②大切にしまっておく。たくわえる。
③おおう。かばう。
などの意があるが、ここでは②の意。
「花」も春の季語であるが、この句では「夏近し」が季語で春。
「春はもうすぐ暮れようとして、夏は近い。桜の花も間もなく見られなくなるだろう。
花に吹く風よ、残り少ない花を散らすことなく、その風の袋の口をしっかり閉めて
おいて、夏の涼風として大切にとっておいてくれよ」
夏兆す母の歩幅ものんびりと 季 己
『犬子(えのこ)集』には、
山風の吹口とぢよ樺桜(かばざくら)
風袋口ぬひとめよいとざくら
のような例が見られる。この句の「口」というのも、風神の持っているという風袋(かざぶくろ)の口であると考えられる。
「たばへ」は、他動詞「たばふ」の命令形で、
①惜しむ。大切に守る。
②大切にしまっておく。たくわえる。
③おおう。かばう。
などの意があるが、ここでは②の意。
「花」も春の季語であるが、この句では「夏近し」が季語で春。
「春はもうすぐ暮れようとして、夏は近い。桜の花も間もなく見られなくなるだろう。
花に吹く風よ、残り少ない花を散らすことなく、その風の袋の口をしっかり閉めて
おいて、夏の涼風として大切にとっておいてくれよ」
夏兆す母の歩幅ものんびりと 季 己