真福田が袴よそふかつくづくし 芭 蕉
見立てによる発想をとっている。その点では、談林的なものの名残が感じられる。しかし、単なるおかしみをねらうものではなく、土筆(つくし)の可憐なさまをとらえ、語りかけるような口ぶりが詩として生かされていることに注目したい。
「真福田(まふくだ)が袴」は、『今昔物語』や『奥義抄(おうぎしょう)』などにある行基菩薩(ぎょうきぼさつ)の話で、
行基が前世に和泉(いずみ)の国の人の娘だったとき、仏道に志した下童(しもわらわ
=雑事に召し使う子供)の真福田丸のために、片袴を仕立ててやり、その修行を励ま
した。
ことをさす。そこで土筆のさまから、真福田丸が袴を着けた姿が連想されたもの。
「よそふ」は、装(よそお)う意で、(身なりなどを)つくろう、飾ること。
「つくづくし」は土筆のこと。「つくしんぼ」・「筆の花」とも言う。春の季語。
「今、土筆が萌え出たのを見ると、坊主頭に、みな節のところに小さな袴のようなものを
つけている。なるほど、お前たちはみな、あの真福田丸で、それで、それぞれに小さな
袴を身につけているのだな」
つくしんぼ揃ふ田道や幼稚園 季 己
見立てによる発想をとっている。その点では、談林的なものの名残が感じられる。しかし、単なるおかしみをねらうものではなく、土筆(つくし)の可憐なさまをとらえ、語りかけるような口ぶりが詩として生かされていることに注目したい。
「真福田(まふくだ)が袴」は、『今昔物語』や『奥義抄(おうぎしょう)』などにある行基菩薩(ぎょうきぼさつ)の話で、
行基が前世に和泉(いずみ)の国の人の娘だったとき、仏道に志した下童(しもわらわ
=雑事に召し使う子供)の真福田丸のために、片袴を仕立ててやり、その修行を励ま
した。
ことをさす。そこで土筆のさまから、真福田丸が袴を着けた姿が連想されたもの。
「よそふ」は、装(よそお)う意で、(身なりなどを)つくろう、飾ること。
「つくづくし」は土筆のこと。「つくしんぼ」・「筆の花」とも言う。春の季語。
「今、土筆が萌え出たのを見ると、坊主頭に、みな節のところに小さな袴のようなものを
つけている。なるほど、お前たちはみな、あの真福田丸で、それで、それぞれに小さな
袴を身につけているのだな」
つくしんぼ揃ふ田道や幼稚園 季 己