木曽路の旅を思ひ立ちて、大津にとど
まる比、先づ瀬田の蛍を見に出でて
此の蛍田毎の月にくらべみん 芭 蕉
眼前の蛍に見とれながらも、思いは一方、田毎の月に傾いている。いかにも旅に思いあこがれている心がうかがえる作である。
『更級紀行』の旅に出る前、貞享五年夏の作。
「瀬田」は蛍の名所。『滑稽雑談』に、
「江州石山に蛍谷といふ所はべる。この地の蛍火、四月下旬、
五月節に入りて後十日ほどに、盛りに出る」
とある。
季語は「蛍」で夏。
「音にきこえた瀬田の水に映るこの蛍の風情を、心に深くとどめておいて、
この秋に見る予定の、更級の田毎の月の風情と、思いくらべてみよう」
星光りだす空っぽの蛍籠 季 己
まる比、先づ瀬田の蛍を見に出でて
此の蛍田毎の月にくらべみん 芭 蕉
眼前の蛍に見とれながらも、思いは一方、田毎の月に傾いている。いかにも旅に思いあこがれている心がうかがえる作である。
『更級紀行』の旅に出る前、貞享五年夏の作。
「瀬田」は蛍の名所。『滑稽雑談』に、
「江州石山に蛍谷といふ所はべる。この地の蛍火、四月下旬、
五月節に入りて後十日ほどに、盛りに出る」
とある。
季語は「蛍」で夏。
「音にきこえた瀬田の水に映るこの蛍の風情を、心に深くとどめておいて、
この秋に見る予定の、更級の田毎の月の風情と、思いくらべてみよう」
星光りだす空っぽの蛍籠 季 己