壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

CT検査

2010年04月12日 22時50分55秒 | Weblog
        比良三上雪指し渡せ鷺の橋     芭 蕉

 「ひら みかみ ゆきさしわたせ さぎのはし」と読む。
 白鷺の渡るのを見て、七夕の鵲(かささぎ)の橋が連想され、さらにこれを鷺の橋と俳諧的に興じたもので、豊かな空想力を駆使している。現代の写実風の詠み方とちがって、鷺の背後には鵲の伝説が層をなしていて、それが句の厚さを生んでいるのである。

 「比良三上」は、比良岳と三上山のこと。それぞれ西の滋賀郡と東南の野洲郡とにあって、相対して琵琶湖を抱いているので、その間をつなぐ白鷺の橋をおもいえがいて、「雪指し渡せ」といったものである。
 季語は「雪」で冬。白鷺と雪の白さという、色彩を中心とした発想になっている。

    「雪をいただいた比良岳と三上山にいだかれた琵琶湖の上を、今しも白鷺が渡ってゆく。
     七夕の宵は、鵲が橋をかけるといわれるが、雪のときである今は、鷺よ、このふたつの
     山に純白の鷺の橋を架け渡してくれよ」


 まるで真冬に戻ったような寒さである。午後3時の気温が6.7度であったという。
 午後1時10分からのCT検査のため、正午前に家を出、駒込病院へ向かった。春雨ならぬ氷雨に打たれながら。抗ガン剤の副作用で、顔はピリピリ、手の指先はビリビリとしびれっぱなし。革の手袋をしてもだ。おまけに鼻水がツツーっと垂れてくる。
 CT検査は、X線を用いて身体の断面を撮影し、病気の診断に役立てるものという。今日、実際に検査台の上に乗って検査を受けた時間は20分ほどだったが、さまざまな前処置をするので、待ち時間が長いのが困る。それでも今回は待ち時間が短く、1時間程度であった。
 わたしの場合、脊柱から骨盤までの検査なので、前処置が当然多い。
 腹部の検査のため、まず造影剤入りの麦茶800mlを30分かけて飲んだ。これは、腸の中を造影剤で置き換えて、腫瘍や腫大したリンパ節などとの区別を容易にするためとのこと。
 つぎに、骨盤部の検査のため、肛門から管を入れて造影剤を注入された。女性の場合は、膣にタンポンを挿入することもあるという。これらの前処置は、膀胱をいっぱいにするために、尿をためて、病変をわかりやすくするために行なうものだ。
 最後に肺に転移した癌を検査するため、検査台で造影剤の注射を打たれ、造影剤を入れながらの検査となる。これをすると、身体がすこしほてってくる。
 造影剤による副作用は、2万人に一人くらい、血圧低下・呼吸困難・意識混濁などがおこることがあるという。万が一、副作用が起こっても、駒込病院はすぐ適切な処置を行なえるように万全の体制がとられているので安心である。
 もちろん、今になっても副作用が起こらないので、どうぞご安心ください。
 なお参考までに、検査料は保険3割負担で、8,480円であった。

 今朝、日本画家の菅田友子先生から「桜」の[はがき絵]が届いた。おそらく、このCT検査にあわせて描いてくださったものと思う。力強い桜の幹が、神々しく見え、非常に勇気づけられた。いつもいつも本当にありがとう。

      はげましの声か落花の中に幹     季 己