壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

真の俳諧師

2010年04月19日 23時08分07秒 | Weblog
        ほととぎす今は俳諧師なき世かな     芭 蕉

 「俳諧師」というのは、現代ならさしずめ、広義には詩人、狭義には俳人ということになろう。
 今は真の俳諧師のない世だというのは、世の俳諧師をさげすむ気持ではなく、こういうことで、ホトトギスの趣深いことを強調しているのであろう。真の俳諧を求めようとする決意も働いていると思う。
 発想の性格からみて、天和から貞享ごろまでの間の作、と考えられている。
 ところで、今の世の中、真の政治家、真の芸術家と呼べる人は、はたして何人ぐらいいるだろうか。政治屋がほとんどで、真の政治家はゼロに近いと思うが、そして芸術家もまた……。

 季語は「ほととぎす」で夏。

    「ホトトギスが妙なる音色で鳴き過ぎた。昔はこのホトトギスを聞いてすぐれた句が詠まれたが、
     今はこれを詠み生かすべき真の俳諧師が見当たらなくなった。俳諧も末世である」


      春の鴨 銀座は異邦人の波     季 己