昨日、安倍晋三内閣は連続在職日数が通算2799日となり、歴代トップになった。
安倍首相は、「みなさんの理解のおかげです」と言いつつ、「長いだけが取り柄ではなく、何をやってきたかという内容が大切です」と語った。全くその通りだ。
安倍首相を評価している側からすると、「アベノミクスによって経済が活性化し、雇用情勢が改善された」「活発な外交によって日本の信頼を高めた」「安全保障について前進させた」などを主張する。
しかし、反面、「実質賃金が低下し庶民の生活はよくなっていない」「企業、国民の間で格差が広がった」「外交ではこれはという成果はない」「国会は首相による不祥事の追及で時間をとり、首相自身のヤジなどで不信感が持たれている」などが指摘されている。
これらについては、今後、安倍長期政権の功罪が議論される中で、歴史的な評価が下される。
安倍長期政権が何故できたのか、いろいろな観点から議論されているが、大きく分けて2つの要素があったからだと思う。
1つは、やはり小選挙区制のためだろう。公認候補1名の推薦は総て首相官邸が握り、官邸に背くものは推薦されない仕組みになっている。
ベテラン議員やそれなりの実績のある議員を除き、まだ経験の浅い議員や、新人などは総て官邸に背けば次の選挙では推薦しないという掟が課せられる。
従って、若手議員や、議員履歴の短い議員などは、総て官邸の言うとおりに動くことになり、自身の信条やアイデェアなどの発揮は難しく、官邸の指示通り右向け右の無力集団に堕落する。
実力、経験豊富な議員でも、参議院選挙広島選挙区の溝手顕生氏ように、安倍首相に背信すると河井案里氏を刺客に送られ落選の憂き目に会うという陰険な手立てを持ち入られる。
安倍首相は、このような形で、自民党内で安定した立場を固めて、長期政権を維持することができた。
2つ目は、内閣府に人事局を設け、国家公務員の幹部職員の人事を一手に握ったことだ。これによって、幹部職員は内閣に追随し、政権に忖度するという空気が蔓延、前川喜平前文部科学事務次官の言う「行政が歪められた」事態に陥っている。
安倍首相は、これら官僚の忖度によって、森友、加計問題などで本来は退陣しなければならない危機を乗り切っている。
安倍首相は、自ら選んだ閣僚が不祥事で責任を問われる度に「責任を痛感している」と言いつつ、これまで一度も具体的に責任を果たしたことは無い。
森加計、桜のような自らの不祥事と閣僚の不祥事の責任をきちっと取っていれば、当然、今回果たしたような歴代最長の政権にはなれなかった。「関連:8月24日」
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