安倍晋三政権と財務省は、国有地売却をめぐる決裁文書の改ざんに関し、国会で虚偽とも思われる答弁を繰り返した佐川宣寿前国税庁長官(前理財局長)に総ての責任を被せる手に出て来たようだ。
昨日の衆院財務金融委員会で、太田充理財局長は、自民党議員の質問に対し、文書の改ざんについて、佐川氏の「関与の度合いは大きかったのではないか。知っていたと思っている」と述べた。
太田氏は、改ざん行為があったのは昨年2月下旬から4月までの期間であり、「それまでの国会答弁が誤解を受けないように(改ざんが)行われた。主として答弁していたのは佐川氏だった」と指摘し、佐川氏の答弁に合わせる形で行われた改ざんを佐川氏自身は把握していたとの見方を示した。
また、太田氏は、同日の参院予算委員会で、決裁文書改ざんの背景について、「政府全体の答弁は気にしていたと思う」と述べ、安倍晋三首相が自身の進退に言及した国会答弁の影響を否定しなかった。
太田理財局長の答弁は、これまでの自身の答弁や、佐川前理財局長の答弁に比べると、野党側を納得させる内容になっており、政権と納得づくでなければ出てこない言葉だ。
その意図は、これから厳しく追及される筈の森友問題自体や、文書改ざんについての責任を佐川氏に被せ、今後の検察庁の立ち入り検査に備えるため、政権と歩調を合わせているのだろう。
一方、国有地は、ゴミ処理をするため、8億円以上の大幅な費用を差っ引いた形の超安価で売却されたが、このゴミ処理の見積もりは、近畿財務局と森友学園の要望で、業者がでたらめな見積をしたと真実を述べた。こんなことは、初めから想定されていた。
森友問題は、常識的に考えれば、一番分り易い。財務省は、権力に直接頼まれたが、権力を恐れて忖度したか、それ以外の理由は見つからない。果たして、その分り易そうな真実にたどり着くことができるのか、国会の本気と、実力が試されている。「関連:3月16日」