こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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入所をめぐるあれこれ

2012-01-30 22:50:31 | 訪問看護、緩和ケア
どんなに家が好きでも、どんなに入所を嫌がっても、それが最善と判断する時があります。

普通に愛情のある親子関係であればなおのこと、子にとって親を老人施設へ入所させるのは、とても辛いことです。

別に親子の縁を切るわけでもないし、家にいるよりはずっと安全で、温かなケアをしてもらえるのだとわかっていても、日本の文化では、まだまだ姥捨て山的なイメージがどこかにこびりついています。

冷静に考えれば、子ども達だっって仕事を抱え、この厳しい時代を乗り越えるために必死に働かなくてはなりませんし、住宅事情や家族の諸事情で、同居することは返って事態を悪化させることだってあります。

今まで、自分たちを支え育ててくれて、老後は一人で頑張ってきた親が、認知症の悪化で火を出しそうになったり、周囲へ迷惑をかけるようになったら、それは家族の責任で安全を確保しなけれればならないですよね。

欧米では、老後に施設に入るのはごく普通の事ですし、普段は一生懸命働いて、休みには家族で会いに行けば、いつまでもいい関係でいられることもわかります。

でも、でも・・・。

小さい時は抱っこをされて、夜は添い寝か川の字で眠り、こじんまりとした日本の家で、いつでも家族が顔を突き合わせていた時代の人たちです。

始めて幼稚園に行くときは、泣いて嫌がる子供を、幼稚園バスの先生に無理やりはがして渡したりもしましたね。

それは、子供のためであり、親のためであり、やがて子供はそこで新しい社会を知って、順応していくのですよね。

そして時はたち、今度は子供が親を、送らなければいけないのです。

認知症の母を、だましてホームに入れなければならないことに、一番傷ついているのは娘さんでした。

好きなようにさせてあげたいし、出来れば一緒にいてあげたい。
でも、どう考えてもそれをするには、失うものが多すぎます。

きっと、明るいお母さんだから、すぐにホームに馴染んで、お友達もたくさん出来るでしょう。
週末には、家族で一緒に食事にも行けると思います。

何もかも犠牲にしたと思いながら、介護をするのもされるのも、決していいことではないと思います。

これから、入所までの間、きっと娘さんは胸を痛めながら準備をするのだと思います。

お互いのために、それが最善と決めたのだから、絶対にそれが正しいのだと信じてほしい。
どれほど、親孝行かなんて、私がよーく知っています。

きっと、あとで笑って話せる日が来ます。

意外に、あっけらかんと、毎日を楽しんじゃう人がたくさんいるのですから。