こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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災害時救護拠点、これでいいの??

2012-01-20 23:35:35 | 日々のあれこれ
今日は朝から雪の降る中、災害時救護拠点の訓練?に行ってきました。
訓練って何をするのかと思ったら、予定では段ボールトイレの組み立てをする筈だったようです。
こんな天気なので、外に出れずあきらめたようで、結局顔合わせにとどまるものでした。

2年前くらいから、やっとやっと瀬谷区も重い腰を上げて、救護拠点を作りそこに医療品の備蓄とかを始めました。
そして、医療救護ボランティア対象に、トリアージ訓練も2回ほど行いました。
昨年は、市内順番での大規模防災訓練も某小学校で行ったりもしました。

この大規模防災訓練で、医療救護ボランティアにもかかわらず、まったく見せてもらえなかった医療備品を始めて見せてもらいました。
そして、この備蓄の内容があまりにお粗末なのを目の当たりにして絶句。
しかも、公表では軽度から中等度のけが人を100人分、3日間手当出来ますと公言していました。

おいおい。この備蓄じゃ無理でしょう。
びっくりしたのが、吸引器があるのに、吸引チューブがない。
どうやって吸引するのかな??
点滴は20本くらいあるものの、針は翼状針しかなくて、あの修羅場に留置針は一本もない。
すべてがこんな調子。

とにかく、必要なものはほとんどないと言っていい位でした。

で、それを進言したら、医療品は期限が短いから、そういうものはもったいないので削減されたと言う事でした。おいおい。
3.11があって、さすがに横浜市が2年計画位の気の長い計画で、再度考えますって話らしいです。

ちなみに、ボランティアの登録ナースが少ないと、さんざん募集していますが、じゃあその役割は??というとよくわかりません。

薬剤師と医師は、まかりなりにもウェアみたいなベストとかがありますが、看護師には何にもないです。

泥だらけ血だらけの混乱になる場所で、ディスポの予防衣さえ用意されていないのです。

ボランティアの最も基本的な安全も守れないで、数だけ集めようといっても、私はスタッフを出せません。

このことはもちろん要望しましたが、いまだにどこにも反映されていません。

で、今日。

行政の防災担当者と消防、地域の担当者、ボランティアの数人が集まったわけです。

そして、みんなでご挨拶などをし、医療救護拠点についての話をしていました。
レジメの中には、先日トリアージ訓練で講師の先生が力説していたトリアージのレイアウトについて話し合ったことは一切反映されていない、素人さんの考えた拠点のレイアウトが載っていました。

なので、トリアージ場所は学校の空き地になっていました。(しかも一カ所のみ。)
私は手をあげて質問しました。
「すみません、今日のような天気の時はどこでトリアージするんですか?」
おりしも、外は牡丹雪がぼたぼたと舞い降りていました。
「それは・・、晴天時しか想定していません。いずれ、荒天時のことも考えないといけませんが。」

なるほど。想定外と言う事ですね。

区では、HUMAから講師を招き、医療救護ボランティア対象に、研修を開いていて、そこで実際のトリアージはどうするべきか、混乱を極力避けて人命を守るためにはどうすることが必要か、をものすごくわかりやすく教えてもらったはずなのですが、その内容がまったく反映されていません。

まず、地域の担当者に啓蒙する、だいたいの概要を理解してもらうという基本は全くなされていないのです。出席者は、かなりご高齢の方ばかりで、とにかく人数を揃えました。という感じ。
彼らは、何も知らされず、ただ指示のように動けばいいからと言われているようです。

びっくりしたのは、トリアージの意味をまったく違う形で教えていることです。

「お集まりの地域の皆さんには、医療的なことには一切かかわらなくていいです。
何かあったら、人の命に係わります。
トリアージは、医師と看護師が全部やりますから、何も心配いりません。」
という話になっていました。

それじゃあ、何人集まるかわからない医師と看護師が、大規模災害でどんどんやってくるけが人の、第一トリアージから治療まで全部やるってことなんですね。
そして、「医療者なんだから、命の責任もとれて当然ですよね。」と言う事になるようです。

あのときHUMAの講師が、言ってましたよね。
医師や看護師は少数なので、トリアージした人の治療にあたるのが基本。
トリアージするとしても、ある程度トリアージされた人たちに対して行うのが限度で、最初のトリアージは一般人にやってもらうしかない。
そのために、一般人に出来るトリアージ訓練もしませんでしたっけ?

これらは全部、却下されたようです。

私の発言に、今何もそんなことを・・という不穏な空気が。

「そんなことを聴いていない、あなた、ちゃんとどういう説明がなされているか、知ってってそんなことを言うの?私たちはね、そんなことしないでいいってことになってるんだよ。素人が判断して、何かあったらどうするんだ。」と、担当の役員のおじいさんに憤慨されちゃいました。

「いきなりそんなことを言っても、難しいのでそういう事は今後少しずつ考えようかと・・とりあえず、こうして地域救護拠点が出き、ここにあると言う事を周知して頂けることが大事なんです・」と区。

なるほど、箱モノを設置、立ち上げたことで、お役所はお仕事をしたということになるんですね。

地元の皆さんがわからないのも当然で、本当の地域救護拠点がどういうものなのか、実際どういう事が起こり、どれほど混乱したのか、ならばどうすればいいのかということは、一切伝えないまま「ここに来れば、医者と看護師がいて、3日分の備蓄の医療品を使えば、それなりの治療が受けられる。」と思わせられているわけです。

これが、危機管理なのかと呆然としました。

あまりに、危機管理意識が低くて、神戸も東北もまるで他人事のように聞こえました。

せめて、地域ごとに危機管理の勉強会をしたり、トイレの組み立て方と共に、一般人でも出来るトリアージの方法くらいは、とりあえず体験しておく必要があると思うのです。

現状、看護師はトリアージから治療までの膨大な仕事と、身を守るガウンもない条件での危険性と、医療者だからという重責のみが課せられるようです。
(医療備蓄品も何があるかわからないまま・・)

この状況では、私は職場か自宅付近で、職場にある医療備品でその近所の人の救助に当たったほうがよさそうです。

ボランティアナースとして登録して数年。
やっとトリアージ訓練とかを始めて2年。
いまだ、現実的な具体案は、聞こえてきません。