ところで、
1.わが国で誰が(どの本が)最初に「蓋棺事定」の出典を『晋書』としたのだろうか。
2.その人(本)は、どの資料を見てそう判断したのだろうか。
わが国で初めに『晋書』を出典として挙げたのは誰(どの本)なのかについて、それらしい古い漢和辞典を見てみると、今のところ、次のものが比較的古そうである。
『漢文故事熟語要解』柿村重松著。弘文書院、明治38年7月1日発行。
ここに、次のように出ている(同書、315頁)。
(葢レ棺事定 クワンヲオホヒテコトサダマル)晋書ノ劉毅傳ニ丈夫ハ棺ヲ葢ヒテ事定ルトアリ棺ヲ葢フハ死スルコトナリ人ノ是非ハタ其人物ノ如何ハ死シテ後始メテ定マルトナリ、
この本より古いものがあるかもしれないが、今のところ分かっているのはここまでである。
次に、何を見て『晋書』劉毅伝と判断したのかだが、もしかしたら中国清代の『通俗編』であろうか。
『通俗編』清代の学者・翟灝(てきこう)の編纂。
ここに、次のように出ている(同書、巻十二)。
【蓋棺事定】〔晉書〕劉毅云、丈夫蓋棺事方定。
しかし、『通俗編』には「事方定」(事(こと)方(まさ)に定まる)とあるのに、『漢文故事熟語要解』には「事定ル」とあるのが合わない。
* * *
まだまだ分からないことが多いが、もし『晋書』に「蓋棺事定」が出ていないとしたら、なぜこの出典がこれほど多くの辞書に広まったのか、はなはだ不思議なことである。
(平成29年3月18日記す)
1.わが国で誰が(どの本が)最初に「蓋棺事定」の出典を『晋書』としたのだろうか。
2.その人(本)は、どの資料を見てそう判断したのだろうか。
わが国で初めに『晋書』を出典として挙げたのは誰(どの本)なのかについて、それらしい古い漢和辞典を見てみると、今のところ、次のものが比較的古そうである。
『漢文故事熟語要解』柿村重松著。弘文書院、明治38年7月1日発行。
ここに、次のように出ている(同書、315頁)。
(葢レ棺事定 クワンヲオホヒテコトサダマル)晋書ノ劉毅傳ニ丈夫ハ棺ヲ葢ヒテ事定ルトアリ棺ヲ葢フハ死スルコトナリ人ノ是非ハタ其人物ノ如何ハ死シテ後始メテ定マルトナリ、
この本より古いものがあるかもしれないが、今のところ分かっているのはここまでである。
次に、何を見て『晋書』劉毅伝と判断したのかだが、もしかしたら中国清代の『通俗編』であろうか。
『通俗編』清代の学者・翟灝(てきこう)の編纂。
ここに、次のように出ている(同書、巻十二)。
【蓋棺事定】〔晉書〕劉毅云、丈夫蓋棺事方定。
しかし、『通俗編』には「事方定」(事(こと)方(まさ)に定まる)とあるのに、『漢文故事熟語要解』には「事定ル」とあるのが合わない。
* * *
まだまだ分からないことが多いが、もし『晋書』に「蓋棺事定」が出ていないとしたら、なぜこの出典がこれほど多くの辞書に広まったのか、はなはだ不思議なことである。
(平成29年3月18日記す)