隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1930.無花果の実のなるころ お蔦さんの神楽坂日記

2019年11月07日 | 連作短編集
無花果の実のなるころに
お蔦さんの神楽坂日記
読了日 2019/08/14
著 者 西條奈加
出版社 東京創元社
形 態 文庫
ページ数 296
発行日 2013/09/20
ISBN 978-4-488-43011-5

 

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日の土曜日は僕の誕生日で、夜食を外食の予定だったが、あいにく娘の勤務日で帰りを待つと遅くなるから、誕生祝の外食は翌日に日延べとなった。我が家は僕とカミさん、息子は障害者で福祉施設に入所しているので、娘との3人暮らしだ。
それぞれの誕生日にはその日の夜食を、ささやかな外食にすることで祝う。前にも何度か書いたことがあるが、今回はすかいらーくグループが運営する“夢庵”がその会場となった。更に夜食ではなく、昼食だ。
と言うのは僕の視力が夜盲症というほどではないが、夜の暗さに少しずつ見えにくくなっているからだ。
祝いの食事とはいっても、大げさなことではなく、ごく普通の食事だ。夢庵木更津店は木更津市ほたる野の交差点角のあり、近くに大型スーパーのアピタや、ユニクロなどもある新興の開拓地だ。
我が家から最短の場所にある店舗だ。日曜だったので混んでいるかと思ったら、それほどでもなく待たずに食事ができた。

 

 

メニューは新聞の折り込みのチラシに載っていたもので、カミさんが前から決めていた。入店して奥の席に案内され着席後まもなく、チャイムを押して係員にオーダーする。
10分ほどで料理が来た。店内は適当な混み具合で、日曜の割には小さな子供の声もせず、静かだ。幼児の泣き声などには、僕の方は一向に気にならないが、カミさんは小さな子供や乳飲み子を抱いた人を見ると、傍によってあやしたりするのだが、就学前の子供のぐずったりする姿に嫌悪感を示す。今回はそうしたことがなく、穏やかに食事を済ますことが出来た。

この本を読んでみようと思ったのは、 “お蔦さんの神楽坂日記”というサブタイトル(もしかしたら、こっちのほうがメインタイトル?どちらでもいいか。)に、惹かれたからだ。
前に、1冊だけ吉永南央氏の『紅雲町珈琲屋こよみ』という、シリーズ作品を読んでいるからだ。どちらも年配の婦人が―いわゆるお婆さんが―主人公の、短編集だ。
そんな作品は、アガサ・クリスティ女史の、ミス・マープルのシリーズを連想して、僕好みのストーリーだと、思ったからぜひ読んでみたいと借りてきた。

 

 

、いろいろ書いたが、要するに僕が好ましいと思う作品は、探せばまだまだ世の中にたくさんあるということなのだろう。だが、気づかずに見逃していることの方が多いから、出会った時の嬉しさはまた格別なのだ。 元芸者のお蔦さんは、息子の家族と同居していたのだが、彼が北海道へと転勤になったため、長男の中学3年生(滝本望)を残して転居した。 お蔦さんにとって孫の望は、結構機転の利く少年で、彼にとってはお祖母さんだが、「お蔦さん」と呼んで彼女の台所仕事を受け持っている。滝本家は代々そうした仕事は男性が受け持つものという不文律があり、望もその例にもれず、腕前を誇っているのだ。 お蔦さんの物言いは、元芸者さんということだけでなく、人におもねることなく思ったことは遠慮なく言うところが、物語を引き締めて心地よく読める。いわゆる“日常の謎派”と言われるジャンルに属するのだろうが、お蔦さんと望少年の息もあって、表題作他6つのミステリーを名探偵お蔦さんの名推理で解かれる。

 

収録作
# タイトル
1 罪かぶりの夜
2 蝉の赤
3 無花果の実のなるころに
4 酸っぱい遺産
5 果てしのない嘘
6 シナガワ戦争

 

 

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