隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1621.その日のまえに

2016年04月22日 | 連作短編集
その日のまえに
読 了 日 2016/04/22
著  者 重松清
出 版 社 文藝春秋
形  態 文庫
ページ数 365
発 行 日 2008/09/10
ISBN 978-4-16-766907-2

 

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はミステリーを読むのと同じくらいに、テレビドラマや映画を観ることが好きだ。もっとも映画はもうかなり前から映画館に行くことはなくなり、もっぱらテレビで鑑賞になってしまった。
ドラマや映画はミステリー系統が多いが、たまにはそれ以外の話題の作品なども見ることはある。できるだけ好きな番組を見逃さないように、毎月月刊のテレビ番組誌を買って、1か月の録画予定をカレンダーに書き込んでいる。購読している東京新聞が毎月25日前後に織り込む、一枚物のカレンダーを使っていることは、ずっと以前ここにも書いたことがあるが、そうしたことは10年以上続いていて、初めからの数年分は捨ててしまったが、今手元には2005年10月からの物が閉じて保存してある。
何でもかんでも取っておくのはいいことではないが、それほどスペースをとるわけでもないので、なんとなくとってある。そんなことで先月末に、4月の番組誌とテレビの番組表を見ながら、録画予定を付けていたら、NHKのBSプレミアムで、「その日のまえに」と言うドラマのタイトルが目についた。

 

 

NHKオンラインで検索すると2014年3月に、2回に分けて放送されたものの再放送らしい。そこで重松清氏の同盟の作品が原作と分かり、録画することにした。著者の名前は前から知ってはいたが、ミステリー作品ではないから、あまり興味を持ったこともなかったのだが、タイトルからある種の想像を喚起されてのことだ。
そしてつい先ごろBOOKOFFで本書を見かけて、原作を先に読んでおこうと買うことにした。
少し買うことを控えようなどと言う、僕の決心はすぐに揺らいでしまう。意志の弱さを暴露するようだが、どうしても読みたいと思う気持ちを抑えるのは難しい。
番組表のドラマが2回(前・後編)だったので、長編だと思っていたら下表の通り短編集だった。終わりの3篇は連作だということがすぐに想像できるが、前の4篇はそれぞれ一話完結の短編だ。だがおしまいまで読んで、実は前の4篇も後の話に収束されるということがわかって、少し驚く。

 

 

像通りすべてのエピソードは涙を誘うストーリーなのだが、生きて生活していくということと、誰しもがいずれは死へと向かうことの現実の中に、人それぞれの人生の重みを感じて、思わず自分の生き方の来し方行く末を考えさせる。
ここに描かれた人間ドラマは、特別なものではなくどこかで出会ったことがあるか、あるいは知人の誰かを思い浮かべられるような、身近な人生とも考えられるところが、余計に感情移入させるのだろう。
僕も今年の誕生日が来ると77歳になるが、これまでに何人かの親しい友人を見送り、両親も亡くした。中にはドラマチックなエピソードもないではなかったが、この本の中で人の優しさの表し方が、いろいろあってそれらが描かれた人生を輝かせていると感じる。

 

初出誌(別冊文藝春秋)
# タイトル 発行月・号
1 ひこうき雲 2004年5月号
2 朝日の当たる家 2004年3月号
3 潮騒(「誰かがいた家」改題) 2004年9月号
4 ヒア・カムズ・ザ・サン(「小春日和」改題) 2005年1月号
5 その日のまえに 2005年3月号
6 その日 2005年5月号
7 その日のあとで 2005年7月号

 

 

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