隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0339.黒後家蜘蛛の会1

2003年02月07日 | 連作短編集
黒後家蜘蛛の会1
TALES OF THE BLACK WIDOWERS
読了日 2003/02/07
著 者 アイザック・アシモフ
Isaac Asimov
訳 者 池央耿
出版社 東京創元社
形 態 文庫
ページ数 345
発行日 1999/02/10
ISBN 4-488-16701-2

 

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こ何ヶ月か、安楽椅子探偵者を探して読んできたが、国内だけでなくついに海外作品にも手を伸ばすことに。
本書については、かなり前から書店の文庫の棚で、見てタイトルだけは知っていたが、内容を知らないものだから、興味もなく手に取ることもなかった。東京創元社の安楽椅子探偵の系譜という紹介で、はじめて安楽椅子探偵ものだと知り、読む気になった。
本書が創元推理文庫として初版が刊行されたのは、1976年だから、もう27年も前のことになる。
著者のアシモフ氏が作品を書いたのはそれより2年前だろうから、随分古くから読まれている作品で、安楽椅子探偵の定番とも言うべき作品だと知らなかったのは、僕だけかもしれない。

 

今回初めて読んで、本篇も勿論のこと面白いのだが、著者自身のまえがきや、各編の終わりにあるあとがきで、作品の出来たいきさつや、エラリイ・クイーンの一人F・ダネイの事などが語られて、ちょっとした舞台裏を覗くような楽しみを与えてくれる。
黒後家蜘蛛の会は著者のアシモフが属している実在の戸立て蜘蛛の会(Trap Door Spiders)略して(TDS)をモデルにして生まれた、のだそうだ。だが、TDSでは、黒後家蜘蛛の会のような謎解きなどは行われず、メンバーも良識人ばかりだそうだ。

 

て、黒後家蜘蛛の会は、特許弁護士、暗号専門家、作家、有機化学者、画家、数学者という様々な職業の6人のメンバーから成り立っている。このメンバー達、それぞれ、各方面に対して一家言を持つ有識者で、なかなか一筋縄ではいかない人物たちだ。
そこにもう一人給仕のヘンリーが加わる。
このメンバーの中から毎回一人が謎を呈示して、その謎について全員が推理して意見を述べる、というのがストーリーの基本となっている。だが、全員がそろって納得できるような解答が得られず、そうした折に出される給仕・ヘンリーの推理が、全員を納得させてしまうのである。
本編の大半は、E.Q.M.M.(エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン)に発表されたものだが、たまには、F・ダネイに返されることもあったのだそうだ。(エラリイ・クイーンのもう一人マンフレッド・B・リーはこの頃既に亡くなっている―1971年没)

 

収録作と原題
# タイトル 原題
1 会心の笑い The Acquisitive Chuckle
2 贋物(Phony)のPh Ph as in Phony
3 実を言えば Truth to Tell
4 行け小さき書物よ Go, Little Book
5 日曜の朝早く Early Sunday Morning
6 明白な要素 The Obvious Factor
7 指し示す指 The Pointing Finger
8 何国代表 Miss What?
9 ブロードウェイの子守歌 The Lullaby of Broadway
10 ヤンキー・ドゥ・ドゥル都へ行く Yankee Doodle Went to Town
11 不思議な省略 The Curious Omission
12 死角 Out of Sight




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