降版時間だ!原稿を早goo!

新聞編集者の、見た、行った、聞いた。
「降版時間」は新聞社整理部の一番イヤな言葉。

★新聞を鉛活字&活版で組んでいた頃(32)

2013年10月25日 | 新聞

【10月20日付の続きです。写真は本文と関係ありません。京都の紅葉色づきなう!です】

つい最近まで、新聞は鉛活字・活版で組んでいたのだよ────後世に書き遺しておこうかな、の第32回。
番外編として、
「2000年初頭、とある新聞社の製作局はこうして活版時代の幕を閉じた」
について、僕自身が忘れないうちに書いておきます、の Part 4。

▼ CTS(コンピューター編集・組み版)始動まで10カ月になった。だから、僕は「ある提案」をした────

製作局はCTS化をにらみ、様々な機器を入れ替えはじめた。
以前は休刊日ごと突貫工事的に端末を搬入していたのだけど、あと10カ月ともなると、かなり急ピッチ。
「ありゃ~、なんでたった1日であんなデカいのが入るのぉ?」
と思える巨大機器が出社時、突然設置されていてビックリしたことも。

────ということは、さておき。
CTS開発室、製作局、編集整理部を交えてのCTS会議で、僕(←一応、開発室委員なんです)は提案をしてみた。
「あの~、ちょっといいでしょうか。
間もなく30年以上にわたって新聞を作ってきた鉛活字と活版が、その役目を終えてしまうわけですが、
やはり今から『鉛活字よ、さようなら』メモリアル的なことを準備すべきではないでしょうか?」
CTS開発室長(副社長)「おおおっ、いーですね。で、具体的には?」
「いろいろ聞いたところでは、CTS先駆者の朝日新聞社では、実際に使用されていた鉛活字見出しを組んで『鉛活字よ、さようなら』という文鎮【 注・下段】を作って関係職員に配布したとか」
開発室長「おおおっ、いーですね。
でも、先日デカ見出し鋳植を停止してしまったので。間に合いますかね、製作さん?」
製作局長「実は、その話は私たちも聞いていたのですが、なにぶん機器撤退が早すぎまして........うーん、なんとか考えてみましょう」

▼「提案」は承認され、ホッ────

「ほかには、活版終了~CTS始動までの全社的な動きを記した『ドキュメント』冊子を作った社もあったそうです」
開発室長「おおおっ、いーですね。
それ、やりましょうよ。それぞれの部署の職員全員の実名出して記録しましょうよ。ねっ」

────というわけで、CTS開発室が冊子を作る予算を改めて計上、開発室スタッフが慌てて議事録や関係者の記憶を調べて記録していくことになった(←まあ、調べて書くのは得意なはずの業種だけど、開発室は理系が多かった、笑)
CTS開発室、製作局、製版・画像部、編集整理部などのほか、
組み版や印刷局など消えていく職場を軸に、役職名・実名でドキュメントを記録しておこう、ということになった。(続く)

【鉛活字で文鎮=なまりかつじでぶんちん】
4倍(32U)以上の活字見出しの場合、アシ(活字部分を支える金属製の柱)がなく、平べったい文字活字を拾い、インテルのような金属板を使って支えていた(→この工程、新聞社によって異なります)。
例えば、8倍活字を使って組み上げると、それなりの重さが出て文鎮状のものができた。
いま考えると、文選棚からデカ活字見出しを数十本チョロまかしておけば良かったなぁ、と思う私(笑)。


( ̄ー ̄)