絵画指導 菅野公夫のブログ

大好きな絵とともに生きてます

具象と抽象について

2009-11-24 | 美術
写実と象徴について考えたので、具象と抽象についても話して置かないと、混乱する人がいるのではないかと心配になりました。

具象絵画とは、具体的に意味のわかるものを描いた絵画です。それに対して、抽象絵画とは、何が描いてあるのか具体的にはわからない絵画のことです。

そう言って分からなければ、抽象絵画とは、色と形の模様だと思えば良いでしょう。具体的に、人間が描いてあるとか、木が描いてあるとか、意味で分かるものが描いてあれば具象絵画です。

よろしいですか?

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そうなると、いままで話してきた写実はもちろん具象ですし、象徴も具象です。
何が描いてあるかわかるからです。

実は、私が写実と象徴という区別で語っている時に、聞いている人が、写実を具象という意味で聞いていないかと心配になったのです。それで、このことをお話ししておこうと思いました。
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全ての絵画は、具象か抽象かという区分けで考えることができます。それはわかりますよね。何が描いてあるかわかるか、わからないかのどちらかですと言っているのと同じですから。

その時に、その中間があるのです。それを反具象という場合があります。非具象という場合は、ほとんど抽象を言っていることが多いでしょう。
私は、中間の物は、半分具象だから「半具象」でいいんじゃないかなと思ったりします。

だから、絵を見る場合、完全に具象だなと言ったり、やや抽象がかっているねと言ったり、完全抽象だねといったりして、区分して話します。

ただし、絵の良さを考えるときは、造形的に見たら良いとか悪いとか言う場合が多くて、その場合には、抽象的に見ます。抽象的に見ると言うのは、造形要素でみるのです。

例えば、調和が取れているとか、バランスが良いとか、リズムが良いとか、アクセントがきいているとか言います。これらが、造形要素です。


造形要素で絵を見るときは、具象であっても、意味を取り払ってみるのです。それによって、絵のレベルがわかります。ただ、そのレベルは形と色では、別個に考えられると思います。
だから形については、なかなかレベルが高いけれど、色のレベルがどうかなあという場合があります。

私はこのように考えています。

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また、すこし別の話をしますが、

私は、抽象絵画の方が、時代的に新しいので、抽象絵画の方が進んでいると考えてきました。しかし、よく考えると、抽象的に見ることはどの絵画にも当てはまるけれど、具象絵画の問題は、抽象的に見ただけでは扱えない部分があることに改めて気付きました。

それは、これまで当たり前のように、話していることなのですが、その問題は抽象絵画では扱えません。

例えば、リアルさの統一です。リアルさのバランスという場合もあるでしょうか。
リアルさの扱いと言った方が良いでしょうか。全体をどのくらいリアルに描くか?

具体例を上げれば、
主役のリアルさと背景のリアルさの違いという場合が出て来ます。主役を目立たせるために、背景を飛ばす。その飛ばし方のさじ加減ということです。

一部をあまりに上手に描いてしまったので、他もそれに合わせてリアルに描かないとバランスがおかしいということが出て来ます。

これは、私がいままで指導していて、いくらでも出てきた問題です。そして、そのように指導してきました。例えば、Sさんの絵の指導で、左上の布があまりに上手に描けてしまったので、他の下手さと合わないということがありましたね。だからその布を下手に戻すか、他をもっと上手に描かないといけないと話しました。

そのような問題は、抽象絵画を指導している場合には出て来ません。

だから、指導という観点で考えると、具象の方が要素が多いかなと思いました。
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そう考えると、まだまだありそうです。
また、考えながら書いてみます。
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