Straight Travel

日々読む本についての感想です。
特に好きな村上春樹さん、柴田元幸さんの著書についてなど。

「小豆島」壺井栄著(光風社出版)

2009-09-09 | エッセイ・実用書・その他
「小豆島」壺井栄著(光風社出版)を読みました。
故郷小豆島の幼い日の思い出、人、風景、風習を語る随筆集です。
「暮しの手帳」編集長の松浦弥太郎さんが「文章に品がある」「できごとを公平にただありのままに描いているのがいい」と薦めていたので読みました。
実は私、有名な「二十四の瞳」の方は未読。

今は通り過ぎた時代の、島の思い出。
著者は10人兄弟で途中実家が倒産し貧しい暮らしをしていたそうですが、その事実は淡々と語られ、むしろ温かい思い出が多く語られます。

祖母が鹿の角を山で拾い、それをなぜとっておかなかったかと少女時代の著者が責めた話。
桃と柳で美しく飾られるひなの節句。
みかんの種を飲むと頭からみかんの木が生えると姉におどかされた夜。
適当ににぎって豆を兄弟によりわけたのに、ぴったり数が同じだったお母さんの不思議な手のひら。

小豆島には行ったことがない私なのに、壺井さんの筆を通して島を見ると、不思議に懐かしさを覚えてしまいます。

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